表を見ると、なんとTOP15作中、SEKAI NO OWARI、back number、RADWIMPSといった3組の人気バンドが半数以上の8作を占めるという結果になった。彼らのファンからは、「歌詞の世界観が好き」や「歌詞を読み返したくなる」といった歌詞を高く評価する声がよく聞かれるが、これだけタイトルに「の」を多用していることを考えると、“「の」の法則”がJ-POPにも通用するようにも思えてしまう。(無論、彼らにはセカオワ「RPG」、back number「花束」、RADWIMPS「君と羊と青」といった超ロングヒット作もあるので、この法則がすべての楽曲に当てはまる訳ではない。)ちなみに、同じく上位常連のソナーポケットも8位「好きだよ。〜100回の後悔〜」のほか、「365日のラブストーリー。」もロングヒット中で、バンド以外でもこの法則は通用している。
また、今回の1位は法則以前にディズニー映画『アナと雪の女王』(ここにも「の」が!)の大ヒットによるものだが、それでも、サビの部分で歌声をより豊かにする為に「ありのーーー」「ままのーーー」と、語尾を「の」にしたことが、日本での楽曲ヒットに大きく貢献したであろう。他にも、今年ブレイクが期待される片平里菜の1月シングル名も「女子は泣かない」ではなく「女の子は泣かない」とすることで、見た目は勝気だけど実は繊細で純真なイメージを抱く人も多いのではないだろうか。つまり、見た目にも言葉の響きにも「の」はプラスに作用しているように感じる。
しかし、その一方で、歌詞人気常連の西野カナは「さよなら」「涙色」「Believe」「Always」「GO FOR IT!!」「私たち」と、09年ブレイク以降、「の」の法則は一切通用しない。むしろ「の」の文字が邪魔になるほどシンプルなタイトルが多い事が、彼女の歌詞世界を明解にしているほどだ。考えてみれば、「の」の法則を多用しているのは、いずれも男性アーティスト。そう考えると、「の」の文字は、「おやっ?」と考えさせる一方で、女性アーティストが使いすぎると「ちょっと小難しいかも・・・」と敬遠されるかもという諸刃の剣となりそうだ。(その意味で、E-girlsの「ごめんなさいのKissing You」は、「の」を使いながらもコミカルさも醸し出していて、実に上手い。)
以上のように、“「の」の法則”は、J-POPにもある程度通用していることが分かった。今後、西野カナのシングル曲が、「の」を使った長文になった時、音楽性も大きく変わるだろうし、きっと彼女の中で何か大きな変化があった時だと妄想してみるのもJ-POPの楽しみ方の一つだろう。