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Q1. 歌詞を書くことになった、最初のきっかけを教えてください。
もともと、コラムやエッセイなど短い文章を書くことが多かったのですが、短い文字数にリズムと世界観を詰め込む歌詞という世界に憧れて、ビクター音楽カレッジで作詞の勉強を始めました。
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Q2. 歌詞を書く時には、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?
自分が良いなと思った表現などは常にストックしています。友人や同僚との会話の中から、「いいな」と思うものが生まれることもよくあります。また、テレビドラマをよく見るので、歌詞の中のキャラクターをイメージするときにドラマの登場人物を思い浮かべることも多いです。
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Q3. 普段、どのように歌詞を構成していきますか?
サビから作ることが多いですが、サビの中でも「ここだ!」とわかる特殊な音(繰り返しだったり、急に音が高くなるところだったり、不思議なリズムのメロディーだったり)にまず言葉を当てはめるところから始めます。
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Q4. お気に入りの仕事道具や、作詞の際に必要な環境、場所などがあれば教えてください。
イヤホンとiPhoneがあればどこでも仕事できてしまうのが作詞の良いところ。私は会社員でもあるので、通勤中や移動中の時間に作詞していることが多いです。あとは集中して「歌うことができる」自分の部屋は必須。歩きながらアイデアを出したあと、部屋で集中して歌いながら仕上げるというのが基本の流れです。
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Q5. ご自身が手掛けた歌詞に関して、今だから言える裏話、エピソードはありますか?
会社の昼休み、モスバーガーで30分程度で歌詞のほとんどを仕上げた曲があります。
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Q6. 自分が思う「良い歌詞」とは?
ついつい口ずさんでしまう歌詞。そして、「共感」を越えて、「自分のものにできる歌詞」。 こういう気分の時はこの曲!と、何度も引き出しから取り出してもらえるような歌は素晴らしいと思います。
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Q7. 「やられた!」と思わされた1曲を教えてください。
たくさんありますが、最近だと、Official髭男dism「Pretender」ですね。衝撃的な歌詞に出会うと、ブログで歌詞分析したりするのですが、この曲はまさに衝撃でした。爆発的に流行ったのも納得です。音と歌詞の馴染みがものすごく良い。それも全体を通して。藤原聡さんの書く歌詞は他の曲もそうですが、耳馴染みが良い。それでいてしっかりとキャラクターやストーリーを描かれているので、作詞家としても尊敬しています。
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Q8. 歌詞を書く際、よく使う言葉、
または、使わないように意識している言葉はありますか?「日本語っぽい英語」をよく使うかもしれません。意味を調べないとわからない英語ではなく、カタカナ英語というか、日常的に使っているような英語のフレーズは好きでよく使いますね。
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Q9. 言葉を届けるために、アーティスト、クリエイターに求められる資質とは?
作詞家は特に、歌い手さんやテーマに寄り添って書くのが基本にはなりますが、そこに媚びすぎてはいけないと思っています。求められているものに対してきちんと答えることだけではなく、ひとりのアーティストとして、自分らしい表現、自分が伝えたいことの軸を忘れないことが大事だと思っています。
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Q10. 歌詞を書きたいと思っている人へのアドバイスをお願いします。
「作詞家を目指すのに、最近の曲を聞かない人が多すぎる」。これはスクールに通っていたころに言われてはっとした言葉です。とにかく歌を聞いて、いい歌に出会うことが第一歩だと思います。
あとは、背伸びするよりも、好きを極めること。私も、自分にどんな歌詞が向いているのかわからず、最初の頃は悩んで幅広くチャレンジしていましたが、振り返ってみると、自分の好きなジャンルや影響を受けてきた音楽に無意識のうちに引き寄せられているように思います。
ビクター音楽カレッジ卒業後、歌詞コンペに参加しながら作詞講師のキャリアを積み、2015年、チャン・グンソク「淡い雪のように」で作詞家メジャーデビュー。
事務所を通した作詞コンペとフリーでの活動を並行、下積み時代からの歌詞提供数は100を超える。
また、作詞家を招いたイベントや作詞講座、ワークショップなどを自身で企画・運営。2020年からはラジオ番組「Happy Our Songs」で割田康彦、田口エリとともにパーソナリティを務めている。