作詞家をはじめ、音楽プロデューサー、ミュージシャン、詩人、などなど【作詞】を行う“言葉の達人”たちが独自の作詞論・作詞術を語るこのコーナー。歌詞愛好家のあなたも、プロの作詞家を目指すあなたも、是非ご堪能あれ! 今回は、音楽プロデューサー/音楽制作集団"SCRAMBLES"代表の「松隈ケンタ」さんをゲストにお迎え…!
作詞論

僕の場合は“自分が好きな言葉”ではなく、歌い手さんがこの言葉を発した時にどのようなストーリーが広がるか?を想像して歌詞を作ってます。

例えば、“何度でも頑張ろう!” という言葉も、10代の女性グループが歌う場合と、40代の男性シンガーが歌う場合と全く違うストーリーになります。

前者の場合は、オーディションやライブ活動の中で苦悩しながら夢に向かってキラキラしている絵が見えますし、後者の場合は、一度完全に打ちのめされた社会人の方などへの応援歌になります。 同じ言葉でも、歌う人によってストーリーが広がるのが作詞家としてとても楽しいです。

提供するアーティストの人生や、キャラクター、歩んできたストーリーなどを考えながら曲を作ることにこだわっています。

技術的なことでいうと、紙にいい言葉、ストーリー書き出しただけでは“詩”になってしまうので、“歌詞”である以上、メロディや楽器との絡み方も重要視しています。

言葉の語感とメロディの気持ちいいはまり方はもちろんですが、メロディを長めのスパン(8小節くらい)で考え、その流れの中でいい言葉をいいタイミングで来るように考えて作ります。

例えば曲の中盤あたりで、楽器がおとなしくなるパートにあわせてしっとりとした歌詞を入れたり、逆にあえて激情な雰囲気を入れたりするときもあります。伴奏との対比によってぐっと聞き手の感情に訴えかける技など、作曲家、編曲家的な視点での歌詞作りをこだわっています。
[ 松隈ケンタさんに伺いました ]
歌 手
BiSH
タイトル
プロミスザスター
キングダムの作者 原泰久先生が、自分の作品を書きながら泣くことがあるというエピソードをテレビで見た時に、自分もそんな曲を作りたいと思いました。当時のBiSHメンバーと僕の思いを重ねて作り、書き終えた瞬間泣きました。さらに数年後キングダムの主題歌も書かせてもらうことができ、そこでも泣きました。
1979年生まれ、福岡県出身。
音楽プロデューサー/音楽制作集団"SCRAMBLES"代表

福岡で結成したロックバンド"Buzz72+"のギタリストとして2005年に上京。
その後作曲家として"BiS""BiSH"の立ち上げから携わり、2019年に拠点を福岡に戻す。


帰福後は活動の幅を広げ、"香取慎吾""豆柴の大群"など数々のアーティストの楽曲プロデュースを手掛けるかたわら、インディレーベル"BAD KNee"を立ち上げ地元アーティストの発掘/育成にも力を入れている。

2022年公開の"仮面ライダーBLACK SUN"の音楽に抜擢されるなど、音楽界注目のアーティストである。
INFORMATION
超学生「超」
2023年2月15日発売
PCCA-06180 ¥3,300(税込)
アルバム収録曲 ※2022年10月28日にデジタルシングルとしてリリース
Did you see the sunrise?
(仮面ライダーBLACK SUN主題歌)
作曲、作詞

BiSHZUTTO
2022年12月21日発売
AVCD-61276 ¥1,100(税込)
楽曲プロデュース、作曲