2021年10月6日に“ベリーグッドマン”がニューアルバム『必ず何かの天才』をリリース!タイトルナンバー「必ず何かの天才」は、彼らの真骨頂である人生の応援歌。そして、今年の夏にピッタリの応援歌「ナツノオモイデ」、史上最愛のラブソング「それ以外の人生なんてありえないや」、テンポのいい人生讃歌「散々」、新曲「new era」など、ベリーグッドマンの“ありのまま”を詰め込んだバラエティ豊かなフルアルバムです。
さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ベリーグッドマン”のRoverによる歌詞エッセイをお届け!今回は第2弾。第1弾では、少年が“人の前で演奏したい”と思い立った瞬間とその夢が少しずつ膨らんでゆく様子を綴ってくださいました。では、高校3年生の進路決めで彼はどんな決断をし、そこからどんな道を進んだのでしょうか。物語の続きをお楽しみください。
~歌詞エッセイ第2弾~
―希望を失った僕は弱かった―
学力や経済力がなくて。
音楽を武器みたいにしてここまで来ました。
高3の冬、早めに決めていた進路は
“音楽を仕事”にするか
“仕事と音楽”をするか。
音楽しか主張しきれるものがなかった。
名門音楽大学
有名音楽専門学校
楽曲制作プロダクション
レーベルや出版社
“うちの工業高校には前例がない”
こういうことを言われると
さすがに高校生は凹む。
仕方なく“アルバイトと弾き語り”
を選択したのです。
中学の同期・HiDEXは
音楽専門学校に行ったみたいで、羨ましい。
音楽の全てに触れられるような学校。
とにかくお金に嫉妬しました。
「よし、アルバイトから社員になろう。」
18歳でしゃぶしゃぶ店に入社。
仕事中にメロディが思いつくと
ポケットに入れてあるレコーダーに吹き込む。
バリバリ仕事できるタイプで良かった。
「西村くんまたやってるわ」
で済ませてくれてました。
「すみません、いま新曲作ってて…」
誰に聴かせる誰のための曲でもなかったけど。
「出来上がったら聴かせてね」
みんな笑わずに応援してくださった。
―絶対売れたる―
怖いくらい念じていた。
怖いくらい怯えてもいた。
“いい歌を書いて、うまく歌ったら売れる”
このヤバさに気づき始めた。
どれだけ難しいことかっていうヤバさに。
それでも作って作って。
誰が聴くわけでもないが歌い続け。
まぁ下手くそで、下手くそでした。
HiDEXというメンバーがいます。
初めて僕の才能に“張った”友人。
「俺は曲作られへんから」と
よく言っていたのは18歳のHiDEX。
だから作ってくれ。
そして一緒に歌おうと。
それはそれは嬉しかった。
“めっちゃいい曲やな”って。
“めっちゃええ声や”って。
こんな気持ち初めてで、
自分は天才なんじゃないかって思えた瞬間でした。
そしてユニットを組むことにしました。
―希望を持った僕らは強すぎた―
すぐにワンマンライブを。
小さなカフェに80名。
自分たちでイベントってやつを開催。
いっぱいファンを呼べて
先輩たちが褒めてくれた。
お客さんがニコニコ楽しんでいました。
最高だった。
これがミュージシャンってやつか。
相方のHiDEXに内緒で
1人でアコースティックライブを主催。
人を集めることが得意だったから。
たくさんの人が遊びに来てくれた。
ギャラもけっこう持って帰った。
打ち上げで後輩には音楽論を唱えた。
朝まで夢と酒を飲んだ。
そして周りの愚痴やダメ出しが楽しかった。
ある日 HiDEXからの電話。
「勝手にイベントやってんのか?」
「何様やねん」
無意識にキレ返す。
だってそこそこ成功している。
俺たちはビジネスパートナーだろ。
俺は曲も書いてる。
そっちこそ何様や。
「もうええわ」
これが僕の人生です。
調子に乗りくさっていた。
周りが引いていきました。
ひどく若かった。
たぶん強すぎたのか。
―絶対売れたる―
が。
希望をはき違えたのか。
妙な感じで掲げていた。
―自分は弱い人間なんだ―
音楽という宇宙にただ浮いているような
無気力感が続いて、僕たちは別れたのです。
―このままひれ伏せようか―
23歳になっていた僕は
俺はどこに行くのか、
一体何者なのか、
そんな歌をギターを弾きながら練習。
音楽を前に、それに伴う夢に
もはやひれ伏しまいとする気力さえ、
あったのか無かったのか。
“何のために”
“誰のために”
これらに引っかかりながら。
とにかく来月も
人の前で演奏しなきゃいけなかったから。
<ベリーグッドマン・Rover>
◆ニューアルバム『必ず何かの天才』
初回限定盤 CRCP-40625 ¥3,500+税
通常盤 CRCP-40626 ¥2,545+税
<収録曲>
01. Intro ~必ず何かの天才~
02. 必ず何かの天才
03. new era ※eオールスター2021最終決戦テーマソング
04. それ以外の人生なんてありえないや
05. baby you
06. ナツノオモイデ
07. GroovyでDancingなParty
08. Alarm
09. 散々
10. Distance