人生と生活 -「Life Goes On」回 -

 2026年1月14日に“サカグチアミ”が日本クラウンへレーベル移籍後、初の作品となるEP『名前』をリリースしました。楽曲ごとに異なる制作陣が参加し、柿澤秀吉、ひぐちけい、野村陽一郎がそれぞれアレンジを担当。さらに再出発する決意を込めたリード曲である「名前」は、奥田民生と斎藤有太がサウンドプロデュースを手掛けています。
 
 さて、今日のうたではそんな“サカグチアミ”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。第2弾は収録曲「Life Goes On」にまつわるお話です。“Life”は、「人生」と「生活」の二つの意味を持つ。人生=生活ではない。それでも同曲で「Life Goes On」と歌う理由は…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。



前回の「名前」についてのエッセイを、追追伸まで書いてしまったので、今回はなるべく簡潔にまとめられるよう努める。努めてはみる。
 
日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を同時に使いこなし、敬語、独自のカタカナ英語など、かなり複雑な表現を持つ、世界的にみても最上級に難しい言語だと聞いたことがある。日本に生まれて、第一言語がたまたま日本語だったわたしのような人々にとっては、実感がないまま習得したのが正直なところだと思う。
 
でも、そのうち英語という比較対象が出てくると、話は変わってくる。はじめてのカルチャーショックと呼ぶべきだろうか。小学6年生の時、「恋」も「愛」も「恋愛」も全部“LOVE”で訳されると知り、なんや英語はテキトーやなぁと思ったのを覚えている(小学生アミちゃんの個人的感想です)。
 
のちに、作詞するようになってからは、それを逆手にとって、1ワードで複数の日本語の意味を込めるという裏技を手に入れた。それが、今回リリースされた「Life Goes On」だ。“Life”は、「人生」と「生活」の二つの意味を持つ。個人的には、それぞれに英単語があってもいいのに…と思ってしまうのだが。
 
人生=生活ではないとわたしに教えてくれたのは、最も敬愛する作家、遠藤周作先生のご著書たち。自身の大病の経験を通して、「生活から距離を置いて、初めて自分の人生が見えてくる」と綴っている。
 
また、対人関係においても生活上/人生上のそれぞれの関わり方があり、例えば、会ったことすらなく、生活に何ら影響を与えない人、たとえ相手が生きてなくとも、自分の心の支えや師範となっている場合には、人生における大切な人だと言える、と。 
 
このように人生と生活は、全く別の顔を持っていて、それでもわたしがひとえに“Life 
Goes On”と歌うのは「生活を続ける」、するといつの間にか「人生は続く」という両方の意味を込めたかったからだ。
 
わたしなりの、みなさんに贈りたいエールはこれに尽きるなぁ。頑張ろう、じゃなく生活を続けよう。そうして、続いていく人生のポイントポイントで、待ち合わせしよう。わたしにとって、ライブとはそのための場所だ。何かしらのきっかけで、わたしの音楽に共鳴してくれた人たちは、先程の話に戻るが、人生上の大切な友達だと思っている。思っていますよ? そこのあなた! 1月30日は、ワンマンライブに遊びに来るように! 
 
P.S 無論、これからもこのややこしくて、無駄に同音異義語が多い、日本語という厄介な言語を、愛でていきたいと思っている。
 
<サカグチアミ>



◆紹介曲「Life Goes On
作詞:坂口有望
作曲:坂口有望

◆EP『名前』
2026年1月14日発売
 
<収録曲>
1.黒蝶
2.名前
3.Life Goes On
4.歌を歌わなければ