住む場所が変わり、生活も変わり、自分も少しずつ変わっている。

 2021年12月15日に“上野大樹”がニューアルバム『帆がた』をリリースしました。独特な空気を纏ったバラード「波に木」、今までにはないメロウなバンドサウンドを奏でる「朝が来る」、四つ打ちで心を高揚させるサウンドに包まれた「揺れる」、上野大樹の王道ポップス「航る」、情景を鬱陶しくもリアルなまでに思い浮かばせる「フィルム」。新曲の中にひっそりと佇む、ファンの中ではすでに人気曲でもある「白花」「アカネ」。 今の上野大樹を深く、そして広く知ることができる渾身の1枚となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“上野大樹”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回。綴っていただいたのは、今作『帆がた』レコーディング期間中の引っ越しのお話です。住む場所や生活の変化に伴う、自身の変化とは一体どんなものだったのでしょうか。そして、そこから繋がる、これからへの想いとは…。是非、今作と併せて、エッセイをお楽しみください。



3週に渡り書かせていただいたエッセイも今回で最後となった。文章を書くことは元々好きだったのでとても楽しかった! またこんな機会を頂けたらいいな、と思いつつ第1弾・第2弾を振り返り閲覧してみたら、とても固い文章! こんな所にも格好付けの性格は出るんだなぁと、今一度自分の性格を再認識したところで最後は何について書こうかなと。
 
 
最近、引っ越しをした。最近というか、正確には昨年の夏の終わり頃。音楽に集中するために、色々と都合の良い場所に住処を移した。家の広さは前の半分くらい。と言っても、前に住んでいた場所がありえないくらい広かったので身の丈にあった広さの家。
 
この前発売した『帆がた』のレコーディング期間中に引っ越した。
 
生活も一変。大体の場所は歩いて行き帰り出来るようになった。街は少しうるさいけど、人が感じられて寂しくはない。最近知り合った人とは、家が近くて嬉しかった。
 
幼少期。実家は学校の同級生達の家からかなり離れたところにポツンとあり、誰かと家が近いというだけで今でも少し嬉しくなる。
 
家にいるのが飽きたら、歩いて20分の神社にお賽銭を投げに行く。行き帰りで新曲のデモを聴いたり、家族や友達に電話をかけたり。深夜ラジオをアーカイヴで聴いたり、あの人は今何をしているんだろうとふと昔を思い出したり。ジッとしているのが得意ではないので家で作業の時は大体このルーティン。1日3回神社に行くこともある。
 
 
引っ越すタイミングで色々と整理した。洋服、本、CD、家具、家電。単純に家が狭くなるので、必要ならまた新しいものを買えばいいやくらいのテンションで沢山のモノを断捨離した。それと同時に、連絡先とか写真とか。尾を引くようなものも整理した。
 
引っ越しは色々と感慨深かった。前の家は今思えば下積み、みたいな何年間だった。勿論今もそうだけど。ひとりであらゆる出来ることには手を出してみた何年間だった。失敗を沢山経験したし、もどかしいことの方が多かった。バイトもしてたなぁ。
 
次の場所には要らないなと思うような自分の好きじゃない一面。いつまでも引きずっていても仕方のない思い出。良い意味で切り替えも早い性格なので、人間が変われるチャンスだと思いそのきっかけにした。昔の自分はあまり好きじゃなくて、人を妬むことも多かったし、すぐに敵を作るような思考だった。
 
そんな過去を断ち切るではないけど。音楽だけを頑張るわけではなく、トータルで成長できるよう、次のステップに。
 
 
新居生活も5ヶ月。当たり前だけど荷物はまた増えつつある。身軽になったけど「あ、やっぱり必要だったわ」と買い直した家具や家電。何かの縁や向こうから連絡をくれて、再度繋がった友人。そして新しく知り合った人や場所。
 
 
最後のエッセイ、脈絡がない文章になってしまったが、何を書きたかったかと言うと。
 
 
住む場所が変わり、生活も変わり、自分も少しずつ変わっている。出来なかったことを出来ないと決めつけるのではなく、やってみるんだと。自分らしさを自分で決めつけて可能性を狭めてしまわないように。
 
改めて、そんな意味での『帆がた』リリースだった。春から全国ツアー『帆走ツアー』が始まる。まだまだ変われる! まだまだギターも歌も上手くなれるし、かっこいい人になれる!

ここから、また更に上野大樹をよろしくお願いします!

<上野大樹>


◆ニューアルバム『帆がた』
2021年12月15日発売
ANXZ-25620 ¥3,300(税込)

<収録曲>
1.航る
2.波に木
3.白花
4.揺れる
5.朝が来る
6.フィルム
7.アカネ
8.彼方
9.リジー
10.合い着
BT.ラブソング(ライブバージョン)