上野大樹は絶対に売れたいし、みんなに最高!と思ってもらいたい。

 2023年4月5日に“上野大樹”がメジャーデビューアルバム『新緑』をリリースしました。春を彩る出会いと別れをテーマに作られた今作。タイトル曲「新緑」を含む6曲と、Disc2には代表曲「ラブソング」「NAVY」などインディーズ時代の集大成とも言えるインディーズベスト8曲を合わせた全14曲の2枚組アルバムとなっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“上野大樹”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作に収録されている各新曲にまつわるお話。楽曲誕生のきっかけや、歌詞に込めた想い、そしてこれからの意志…。ぜひ『新緑』と併せてエッセイをお楽しみください!



新緑
【新緑とは一般的に4~5月頃の若葉の緑色や、木々が芽吹く“現象”そのものを指した言葉である】
 
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メジャーデビューアルバム『新緑』は新曲6曲とインディーズ時代のベスト8曲の全14曲入りアルバムという、この時代にはとても珍しく豪華なALを作らせて貰った。しかもデビュー作品でだ。
 
「上野大樹というアーティストをより広める為に沢山の幅広いリスナーと出会える1枚にしたい」
 
そんな想いを込めてバラエティに富んだALが出来上がった。
だけど確実に自分の血が流れている、自分の一部のような作品に仕上がった。
 
 
あまり真面目に紹介してもつまらないので、ラジオや雑誌などで話したこととは違う目線で、各曲の思いの丈を綴ろうと思う。
 
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・M-1 夏風を待って
 
みんなの中で風ってどういうものだろうか。僕は、流れが変わる瞬間やその流れに乗る瞬間をイメージする。そんなメジャーデビュー作品の1曲目。僕は今、確実に流れに乗っているのだ。
 
洋楽を聴いていてふと(僕も本来持つ自分の譜割を最大限に活かし、且つ誰もその通り歌えないグルーヴの曲を書きたい!)と思って書き始めた。
破裂音や濁音、自分の舌足らずになる瞬間、それらを全て音ハメしながら気持ち良いところを探した記憶がある。
 
個人的には、<君の短い髪の毛が>という歌詞が好き。長い髪の毛でも、ショートカット、でもなく短い髪の毛。とても動物的で、神秘的で、丁度良い場所をくすぐられる!
 
・M-2 新緑
 
生かされている僕ら。メジャーデビューという華やかなスタートに似つかわしくない言葉やもどかしさが詰まっている楽曲。
 
日々を眺めて育ってく
一緒に変わっていくんだと
明け方 街は眩しくて
身体は少しだけ重かった
 
僕らの日常はきっと何か足りないくらいが丁度良い。うまくいかないくらいが良い。
人に優しく出来るバランス、人の優しさに気付けるバランス、驕ることのないバランス。
その絶妙なバランスで僕らはきっと明日に向かって一歩踏み出すし、誰かと手と手を取り、それを素晴らしいと思える。不安な僕と、不安なみんなに贈る、僕なりのメジャーデビュー曲です。
 
これから一緒に変わっていきましょう。
 
・M-3 ランタナ
 
よく通る路地裏にひっそりと佇む中華料理屋「らんたな」からこのランタナという言葉に出会い生まれた曲。スカートとPUNPEE-ODDTAXIの『THE FIRST TAKE』をみて、(そうそう!僕もこういう曲やりたいんだよ!!)なんて思って書き始めた。
 
この曲はレコーディングでどれだけ小さな声で歌えるか、にトライした。初めての試み。
気怠さや、ビートに乗らない独り言というか、心境が声になっているくらいのニュアンスを目指した。
 
思い出の一挙手一投足
風で揺れる水面に映り込む
君の悲しい顔をいつまで経っても
ずっと眺めてる 
 
水面越しにしか視ることのできないそんな状況。状況は違えどきっとみんなにもそんな日々や思い出があったのではないかと想像する。風に揺れる水面だからこそ本質はきっと見えていなくて、彼と彼女の間には想像以上の溝がある。人間って後から気づくんですよね。あのときちゃんと向き合っていればー!って。そんなあなたの主題歌です。
 
・M-4 予感
 
アコギジャカジャカでストリングス壮大でドラムドコドコでかっこいい曲!!!!
難しいことは考えずにこのかっこよさと泥臭さに耳うずめて大声で泣きながら聴いて欲しいです。
 
僕らの一番美しかった時代を謳っています。予感、っていつからかわからなくなるんです。
賢くなると逆算したり、根拠を求めたり、臆病になったり。
悩んで選んで間違ったり正しかったり、自分を犠牲にして飛び込めることって素晴らしいんです。
 
これは紛れもなく僕の歌です。インディーズ時代から何度も悩み選んできた、いやもっともっと前もずっとそうしていた、僕らの歌です。
だからこそ何も考えずに馬鹿になって聴いて泣いてください!
 
・M-5 遠い国
 
僕の中では珍しく書いた時の記憶がない曲。
それくらい素直にまっすぐ書けました。でもその割に色々な可能性を秘めている詞。
 
自分でも誇らしくなります、この曲。
だから敢えて何も言いません。みんな解釈を当てはめてみてください!
 
・M-6 ざわめき
 
僕の備忘録です。アーティストでも何でもない人間の詞です。願いでもあり希望でもあり願望でもある。ずっとこれが続きますようにって。自分でも自分が変わることが怖いんです。きっとみんなそう。でも守るべきものは本質だけで、僕らは変わっていくことでその本質を守ることにつながる。
 
上野大樹は絶対に売れたいし、みんなに最高!と思ってもらいたい。
時代にそぐわなくてもみんながライバルで、常に闘争心に燃えている。
このざわめきはまだまだ続きます。
 
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ここまで読んでくれた皆様、本当にありがとうございます。
メジャーデビューの発表がすこし早かったせいか、みんなとその日に向かっているような気持ちです。だけどここは始まりの扉を開ける瞬間に過ぎないので。
 
ここからは一味違う新しい空気を吸いながら今まで以上に胸を張り、努力をして、僕の信じる音楽を全うします。しかしそれに驕らずしっかりと名前を広め掲げてみせます。
 
またとないこんな機会にコラムを書かせて頂き僕自身も楽しく、また身も引き締まりました。
欲を言うなら、文章を書くこと大好きだからこれからもお仕事として続くといいな。
 
僕には音楽だけじゃなくやりたいこと関わりたい人が沢山います。
きっとみんなも、年齢や性別は違えどあるよね。
僕の活動がすこしでも力や励みになるよう、作品以外の上野大樹はいつまでも変わらず等身大の上野大樹でいようと思いますので、またこれからも親しみを持って応援してください!
 
喜びの春が今年もやってくる!!!

<上野大樹>


◆メジャーデビューアルバム『新緑』
2023年4月5日発売
 
<収録曲>
CD/Disc1
1. 夏風を待って
2. 新緑
3. ランタナ
4. 予感
5. 遠い国
6. ざわめき
 
CD/Disc2
1. ラブソング
2. て
3. おぼせ
4. 波に木
5. NAVY
6. 面影
7. 東京
8. 愛のまま