私はその横顔をとてもとても、愛おしくて美しいと思った。

 2022年2月2日に“eill”が、メジャー1stアルバム『PALETTE』(読み:パレット)をリリースしました。今作には、TVアニメ『東京リベンジャーズ』のエンディング主題歌となったメジャーデビュー曲「ここで息をして」を始め、月9ドラマ・映画・Abemaドラマなどの大型タイアップ楽曲と、新たにレコーディングされABEMA『私が獣になった夜~名前のない関係~』主題歌に起用された「片っぽ - Acoustic Version」に加え、CD商品でしか聴くことのできない「ここで息をして - Extended Version」など全13曲を収録!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“eill”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲「いけないbaby」にまつわるお話。みなさんは今、好きなひとはいますか? 本当に会いたいと思うひとは誰ですか? 自分にとっての<君>を頭に浮かべながら、このエッセイと歌詞を受け取ってください。



いけないbaby

少し寒い
冬のはじまり
 
世の中が少し落ち着きはじめた頃
 
コロナ禍で会えていなかった友達と久々に会った。
 
恋話で盛り上がる夜。
 
「ねえねえ、今まで好きになった人のなかで一番好きなひといる? 私はね…」
 
「実はあの時、彼のことが好きだったんだ…!てか今もかも!あはは」
 
「大好きな人がいてね、でも好きって言えないの、でも気持ちも消えないの。どうしたらいいのかな。」
 
「ずっとずっと好きだったよ。」
 
会えない間に紡がれた沢山の物語と想いが
色んな人から溢れ出した。
 
そんな夜の帰り道は
みんなおんなじような顔をする。
隣にいる私じゃない、誰かを思い浮かべてる顔。
 
きっと私もそう。
 
それぞれ、心の中にいる誰かを思い浮かべて、優しい表情で、少し涙目で、空に浮かんだ星を数えてる。
 
張り裂けそうに切ないはずなのに
なぜか心は前を向いている。
 
私はその横顔を
とてもとても、愛おしくて美しいと思った。
人を好きになること。奇跡みたいだった。
 
 
会えない時間に気づいた自分の気持ち。
本当に会いたいと思う人の存在。
 
運命でも
運命じゃなくても
そんなのどうだっていいの。
 
たった一度の私の人生で
あなたと出会えて
あなたに恋に落ちて
あなたを想う夜がここにあってよかった。
 
だからね
 
「幸せならそれでいい」
 
笑顔で伝えた。
 
言葉の裏側には
 
「あなたと幸せになりたかった。」
 
だってあなたに敵うもんなんてなにもないから。
 
そんな願いが隠れてるのかな。
 
 
久しぶりのラブソングを描きはじめる。
 
叶わない恋じゃない。
どこにでもいるふたりじゃない。
 
どうかどうか幸せに。
ふたりでなって。
 
はじめてのねつを
おなじねつを
半分こできますように。
 
最後はそんな願いを込めて歌詞を描いた。
 
 
 
あれから少し時間が経って
 
アルバムがリリースされて
 
冬の真ん中になった。
 
また
会いたい人に会いづらい世の中になった今
 
違うひとの隣にいることを選んだ恋
 
ずっとずっとねつを持ったまま、あたためている恋
 
冷めてしまった恋
 
ねつを半分こした恋
 
幾千もの想いが交差する中で
 
いま、一番会いたい人に
 
題名をつけました。
 
「いけないbaby」
 
あなたが会いたい人は誰ですか?

<eill>



◆紹介曲「いけないbaby
作詞:eill
作曲:eill

◆メジャー1stアルバム『PALETTE』
2022年2月2日発売
CD PCCA-06106 ¥3,300(税込)
CD+Blu-ray PCCA-06105 ¥4,500(税込)
 
<収録曲>
1. いけないbaby
2. ここで息をして
3. 23
4. palette
5. hikari
6. 花のように
7. プラスティック・ラブ
8. ただのギャル
9. honey-cage
10. 片っぽ - Acoustic Version 
11. letter...
12. HARU
13. ここで息をして - Extended Version ※パッケージにのみ収録。