思い出の賞味期限について

2023年1月11日に“tonari no Hanako”がMajor 3rd Digital Single「ぜんぶ忘れてしまうって」をリリース!一生、愛する人を忘れないという幻想についてなど、人の本質を提唱した新曲。軽快なリズムに女性の心の芯に刺す歌詞が付け加えられた、ame(Vo.)の真骨頂となる作品に仕上がっております。

 今日のうたコラムでは、そんな“tonari no Hanako”のameによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾です。綴っていただいたのは、新曲「ぜんぶ忘れてしまうって」にまつわるお話。形のない関係に、付かず離れずの距離感の恋に、葛藤しているあなたへ。この歌詞とエッセイを受け取ってください。



これが最終宣告です。
 
思い出の賞味期限はせいぜい3年です。
 
4度目の季節じゃもう見る夢もない。
 
これ以上私を泳がせておくと、そろそろ記憶もタイムリミットを迎えます。
 
一緒に過ごして楽しかったこと、切なかったこと、
 
あなたのこと、ぜんぶ忘れてしまうけど、それでいいの?
 
言っておくけど、女性の脳の記憶システムは“上書き保存”だし、
 
形のない関係は、形ある関係には敵わないもの。
 
これ以上放っておくなら、他の恋を探してあなたを記憶から抹消しますけど、いいの?
 
この先もふらふら浮ついてるなら、もうぜんぶ忘れてサヨナラにします。
 
どうするか、今すぐ心を決めてください。
 
 
 
なんて、ハッキリ詰められる性格なら、こんな苦労も時間の浪費もしていない気がする。
 
付かず離れずの距離が一番都合良く心地良いと思っている男がいるとして、世の中も女もそんなに甘くねえよ、と声を大にして言いたいっちゃ言いたい。
 
だから仕方なく曲にしてみた。
タイトルは『ぜんぶ忘れてしまうって』。
 
「もうあんたなんて忘れちゃうよ、嫌なら早く心を決めろ、って叫んでいる脅迫の歌じゃんこれ」と言う人もいる。
「美しい思い出を並べているように見せかけて、実は圧をかけまくっている歌じゃんこれ」と言う人もいる。
 
もはや私自身がどういう意図でこの曲を作ったのかは、とうに忘れたけど、いつかこの音楽がどこか街中で流れて、聞いたあなたが耳を塞ぎますように、と密かに願っていることだけは確かです。
 
世の中の男性の皆さん、こんな曲が生まれなくていいように、女性を大切にしてください。
 
 
いくら仕事が大事だと言われても、
いくら責任をとる自信がないと言われても、
いくら形に縛られない関係が心地良いと言われても、
女性の身体にも思い出にもトキメキにもタイムリミットがあるのだ。
 
365日毎日訪れる深夜だけど、その辺を歩けば当たるコンビニだけど、
2人揃って一緒に深夜のコンビニに行けるという現実が、どれほどの奇跡なのか。
あなたはきっと知らなかったと思う。
私は知ってたよ。
 
何度終電を爆破したいと思ったことか、
何度笑って見送るだけの自分を呪ったことか。
私が踏み込んでこないのをいいことに、あなたはそれに甘えていたことも知ってたよ。
結局は私が甘やかしていたってことも。自分に度胸がなかったことも。
 
 
なんだかんだ会えない夜に思い出を掘り返して曲にしてしまったせいで
あなたのことを忘れる方法を失ってしまったからもうどうしようもない。
 
 
ただ、なんでモルディブに行きたかったのか、今では思い出せもしないです。
 
<tonari no Hanako・ame>



◆紹介曲「ぜんぶ忘れてしまうって
作詞:ame
作曲:ame