2023年2月8日に“オレンジスパイニクラブ”が新曲「パピコ」をリリースしました。同曲は、メンバーのスズキナオト(gt/cho)が作詞作曲を手掛け、2つに分けて食べるパピコになぞらえて男女の淡い恋愛模様を表した楽曲。MVは過去に「ガマズミ」でも監督を手掛けた倉本雷大氏が監督し、画面を2分割させ、左右の画面で男女2人の物語を描いた印象的な作品となっております。
さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“オレンジスパイニクラブ”のスズキナオトによる歌詞エッセイをお届け! 歌詞には実体験を書かないという彼。自分で物語や主人公を紡ぐものの、その結末や心境についてうまく答えられない理由とは…。ぜひ今作「パピコ」の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください!
<オレンジスパイニクラブ・スズキナオト>
◆紹介曲「パピコ」
作詞:スズキナオト
作曲:スズキナオト
僕は実体験の曲を書かない。
だから「あの歌詞ってどういう意味なんですか?」とか「あの曲の最後ってどうなったんですか?」とか、歌詞について聞かれる事が多い。
その時は気分で「こういう意味だよ」とか「あれはハッピーエンドなんだよ」みたいに、割とテキトーに? テキトーって事もないけど、自分でも納得いかないまま答えてて、なんでこんなに自分でも分からないのかずっと不思議だったんだけど、最近そのモヤモヤの正体が分かった。気がする。
僕の曲に出てくる彼や彼女は、想像上の人ではなく、この日本のどこかに本当に存在していて、今も普通に生活をしている気がするから、他人である僕には彼らの心境や結末を上手く答えられないんだと。
頭おかしいって思いますか?
僕は思います。我ながらどうかしてるって。
でも本当にそんな気がするんですよね。
今回の新曲「パピコ」も、ある時は別れの歌ですと言ってみたり、2人は別れてません、やら支離滅裂な言動を繰り返してしまった。
そりゃ、まあ今思うと仕方ない。
だって分からないから。
分からないけど、彼らはなんとなく元気にやってるんだろうなとは思う。
欠伸しいしいバイトしたり、昼下がりスーパーで買い物したり、たまに焼き鳥屋で飲んじゃったり、二日酔いで寝坊しちゃったりしながら、よろしくやってるんじゃないかな。
多分、笹塚あたりで。
知らないけど。
今も2人でいるのか、もう1人なのかはさておき。
とりあえず何が言いたいかというと
昨日同じ車両にいた誰かが
今日道ですれ違った誰かが
明日話しをするかも知れない誰かが
あの日書いた歌の誰かだと考えるととっても素敵だよねって事。
そんでもって、それが一生分からない、答えの合わせようの無いって事もロマンだなって思うって事。
なんか難しくて自分でもよくわからなくなってしまった。
ひとつ言える事は、これからも知らない誰かの事を歌っていくんだろうなあ。って思った。
パピコという曲を書き終えて改めて。
彼らは今日の月もみているんだろうね。
とりあえずみんな元気に過ごしマショー。
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<オレンジスパイニクラブ・スズキナオト>
作詞:スズキナオト
作曲:スズキナオト