好きなのに分かり合えない、そんなことあるよね。

 2023年5月31日に“平理央”がDigital Single「やさしい嘘」をリリースしました。1番は女性目線、2番は男性目線で綴られた、リスナーの共感度の高い歌詞となっております。アレンジ、プロデュースは1st シングルから手がけている、CANDYGIRL・detchが担当。洋楽的なトラックに耳残りのあるメロディを乗せたサウンドに仕上がっている、孤独な夜に聴いてほしい1曲です。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“平理央”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「やさしい嘘」にまつわるお話。歌詞に込めた物語と想いを明かしてくださいました。また、今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。好きなのに分かり合えない、そんな恋愛に疲れてしまったあなたへ。


平理央の朗読を聞く

最新作「やさしい嘘」は、恋人同士の気持ちのすれ違いについて、女性男性それぞれの視点から書いた曲です。好きなのに分かり合えない、そんなことあるよね。
 
舞台は大学四年の春。リクルートスーツを着て就活を頑張る彼女は、ギターを背負ってまだ現実離れした夢を追いかける彼氏のことを見て、不安で胸がいっぱいです。
 
“いったい彼はこの先どう生きていくつもりなんだろう。私との未来のこと、真剣に考えてくれているのかな”
 
次会ったとき相談しよう。そう決心しても、いざ彼を目の前にすると、“傷つけたくない”の気持ちが勝ってしまって、なかなか本音で話すことができない。
 
「幸せにするよ、心配しないで」本気でそう思ってそうな、根拠のない自信に満ちた彼のキラキラした笑顔。そういうところが好きで付き合ったはずなのに、彼のこういうところが、今の彼女にとってはすごく、苦しい。。。
 
対する彼氏の方は、自分の夢を応援できない彼女の気持ちに実は気づいています。
“彼女の思い描くような自分にはなれない”
“だけどやっぱりどうしようもなく彼女のことが好きだ”。
ふたつの気持ちの狭間で苦しむ彼は、またつい耳触りのいい言葉(やさしい嘘)でやり過ごしてしまうのです。
 
“音楽を続けたい”と、いつまでも自分ひとりの夢を追いかける彼氏と、“家族になりたい”と、ふたりでひとつの夢を描こうとする彼女。価値観が決定的に合わないふたりは、やがて避けられない運命を悟り、そして、恋人として過ごす最後の夜に、一生分のハグをします。
 
曲中に何度も出てくる<抱きしめて、ぎゅっと>というフレーズは、そんなふたりにとっての、唯一の共通言語。楽曲の“後半=別れ”に向かって、同じ<ぎゅっと>でも歌唱がドラマチックになっていくのが、本作品をより楽しんでいただけるポイントになってます。
 
大人になると気付かされること。
それは、「好き」という気持ちだけでは一緒にはいられない、ということ。
なぜなら、恋愛と結婚はまったくの別物だから。
向かい合ってお互いの夢を応援し合えるのが恋愛。
そして、同じ方向をみて、ふたりでひとつの夢にむかって足並み揃えていくのが結婚…。なんて。
 
思いの丈をいっぱい、この曲に綴じ込めました。
恋愛に疲れてしまった人へ。
この歌がきっと、あなたのやるせない気持ちに寄り添って、背中をさすってくれると思う。

<平理央>



◆紹介曲「やさしい嘘
作詞:平理央
作曲:平理央



◆Digital Single「やさしい嘘」
2023年5月31日発売