2023年10月11日に“鷲尾伶菜”がニューアルバム『For My Dear』をリリースしました。身近な人たちや応援してくれる人たちのために歌い続ける、鷲尾の音楽の原動力からタイトルが名付けられた今作。これまでの配信シングルに加え、新録オリジナル楽曲8曲を含む全10曲が収録されております。
さて、今日のうたコラムではそんな“鷲尾伶菜”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、今作の収録曲であり作詞家・小竹正人が歌詞を手掛けた新曲「銀色」のお話です。20代ラストイヤーの“今の自分”に刺さったラブソングへの想い。そしてこれからの意志を明かしてくださいました。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
12年音楽活動をしてきた私が、最近
新たに衝撃を受けた曲が
アルバムに収録している「銀色」という曲です。
作詞家、小竹正人氏渾身の
この曲を紐解くのはきっと難しいと思う。
けれど彼の詩を一番歌ってきた私が感じる「銀色」について、今回は書きたいと思います。
曲や歌詞を聴いていて自然と体に溶け込んでくるような
その経験を自分がしたかのような
そんな不思議な気持ちや感覚を味わえるのは、
小竹正人さんの歌詞だけ。
アーティストやミュージシャンはきっと
音楽制作において、様々な概念があり
拘りがあると思う。
その中でわたしが思う音楽美学は、
誰の作詞、作曲であろうと
自主制作であろうと
それはかけがえのない作品で、
エンターテイメントだということ。
自分が作詞した曲しか歌わないし伝わらない。
そんな概念を大切にされているシンガーも多いと思う。
けれど、私は
自主制作の楽曲を歌うことも、誰かに提供していただくことも、
どちらも大切で大事。
自分にない世界観や引き出しを
「音」を通して味わえたり、経験を知ることができたり、
そこに必ず「学び」がある。
そんな中で「銀色」というタイトルとそのストーリーは、不思議と自分を掻き立てるものがありました。
“白でもなく黒でもない”
それは決してグレーでもない。
人が人を想い、愛し合う事
その中で生まれる葛藤やもどかしさ、
切なさや苦しさ。そして愛おしさ。
「銀色」それは不慥かで曖昧。
だけどそこには微かにも煌めきが確かにあって
黒と白が混ざり合い
艶のある光沢感が重なると銀色になる。
その感情や状況を色で表現するセンスが小竹正人さんならではだと思いました。
グループ時代とは一味違うこのラブソングは、
29歳の自分にとって凄く刺さるものがありました。
“一番暑い夏に 綺麗に咲いていた 若さという名の
花を摘みとった君は
私に光も 水も優しさも くれなかった人”
というフレーズ。
30を手前にして思う事と凄く重なり、
自分の一番綺麗で美しい時期を共に過ごしてきたのに、気がつけば隣には
昔のように愛し合ったあなたはもういない。
そんな恋を、きっと沢山の女性が経験したんだと思う。
この歌詞や表現は
私にとってリアルな“今”を悲しいくらいに描いてくれている。
だからこそ、20代ラストイヤーに
銀色という曲に出会えて私は幸せ者です。
これから先も、“歌うこと”は私の全てです。
自分で綴る言葉もメロディも
出会う新しい曲達も
ひっくるめてわたしの表現。
音楽、それはいつでも寄り添ってくれて
一番近くにあるもの。
嬉しい時も、苦しい時も
遠くにいたとしても
あなたに寄り添っていける
そんな音楽を私は歌い続けていきたい。
◆ニューアルバム『For My Dear』
2023年10月11日発売
<収録曲>
1 銀色
2 So Addictive
3 Say No
4 煌めき
5 強く儚い者たち
6 残留思念
7 Noisy
8 Always I'm into you
9 Photogenic Boy
10 For My Dear