自分を愛する=自分を許すこと

 2023年11月22日に“Furui Riho”が新曲「LOA」をリリースしました。“LOA=Love one another”。自身のルーツであるゴスペルを彷彿とさせるサウンドにのせて、Furui Rihoがいま思う「愛」を歌った楽曲。他者と比べざるをえないような時代の今、自分を愛することの大切さを歌っております。
 
 さて、今日のうたコラムでは“Furui Riho”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「LOA」にまつわるお話です。自身のコンプレックスをうまく受け入れられない。理想は高く現実は難しい。そんなあなたへ…。この歌詞とエッセイを受け取ってください。



(♪♪♪)
 
23時30分
友達の結婚式の2次会で大騒ぎ中、妹からの電話が鳴った。
普段はあまり電話はかかってこないので珍しいなあと思いながらも電話に出てみた。
 
「...ここから逃げだしたい...」
 
妹はしくしく泣いていた。
どうやら長年抱えているトラウマがまた爆発したらしい。妹は私以上にコンプレックスを抱えるタイプで、今でもよく悩んでいる。
 
わたしは、宴会カラオケの人気曲「ドリフの早口言葉」で「生麦生米生卵!」をなんとか言い終えたばかりだったので、この状況の違いに頭を抱えたが、抱きしめてあげる代わりになんとか外に出て妹の話に耳を傾けた。
 
コンプレックスは積み重なって、まるで自分に何の価値もないように感じてしまう。
 
そんな気持ちを思い出し、ただ話を聞くだけの時間に無力さを感じた私は、この曲を書くことに決めた。
 
LOAというのは“Love one another”の略で
「互いに愛し合う」という意味。
わたしの人生の目標でもあり、レーベル名にもなっている大切な言葉。
 
最近はSNSでなんでも見える時代だし、
争いも頻繁に起こる世界で、この言葉の意味を考えていた。
 
初めはそんなことを書こうと思ったけれど
妹の話を聞いた時に諦めた。
他人を愛するどうこう以前に、まずこの子は自分を愛してあげられてないと気づいたから。
 
人間はきっと自分の心に余裕のある時じゃないと人に優しくできない。思い返せば気分が悪い時や、忙しい時には他人への優しさなんて意識出来てないように思う。私が掲げるLOAはまだその先にあることに気づき、まずは自分を愛することについて書いてみた。
 
私は昔から童顔がコンプレックスで
高校生の時に「中学生ですか?」と言われただけで1日中泣くくらい自分が嫌いだった。
丸い顔を隠したくて、いつも下を向いて歩いていたりもした(姿勢が悪くなったのはそのせい!ということにしておく)。
 
最近だと、この2年間ステージ恐怖症になってしまい、ステージに立つと怖くて頭が真っ白になることが多々あった。
 
ああなれればいいな。こうなりたいな。
理想は高く現実は難しい。この自分を受け入れていくことは本当にとても難しい。
 
その時にとあるインタビュー記事を読んだ。
女優の広瀬アリスさんの記事だった。
それには「100ではなく80の力で良いんだ」と書いてあった。
 
わたしは完璧主義なところがあるのでよく完璧を求めたがる。
名声が欲しい、美しさが欲しい、友達が欲しい。そんな望みはつきないけれど
一度そんな足りない自分を抱きしめてあげてみるのはどうだろう。だってよく頑張ってるじゃない。80点でもいいんだよ。せめて自分は自分を許してあげられたらどうだろう。
 
20パーセントの綻びは
痛みを知ることで他人への優しさになる
 
20パーセントの綻びは
理想の自分になれる伸び代でもある
 
20パーセントの綻びは
気づいてないだけで、その不完全さがむしろ自由をもたらすかもしれない。
 
弱さを認める事は恥じゃない。
むしろ強い武器になることを知った。
 
弱い自分に目をつぶって逃げ出しても
またいつかそんな自分に出会ってしまうなら
 
弱い自分を抱きしめて「これがわたしだ」
と言えるようになればきっとこの先
前よりも簡単に乗り越えられるようになると思う。
 
自分を愛する=自分を許すこと
それがこの先“Love one another”に
つながっていくんじゃないだろうか。
 
 
そんなことを思いながらあの日のカラオケの動画を見てみた。
 
「生麦 生米 なめたまご!」
 
全然言えてない。
80点。そんな自分を今日も抱きしめてあげよう。
 
<Furui Riho>


◆紹介曲「LOA
作詞:Furui Riho
作曲:Furui Riho・knoak・Sayo Oyama