新しい、は、いつか古くなるから。

 2024年5月22日にニューシングル「ワルツ」をリリース! 同曲は松本まりかの主演ドラマ『ミス・ターゲット』主題歌として書き下ろされました。作詞・作曲を家入が手がけた、真っ直ぐな恋愛ソング。愛することの切なさを歌いながらも、どこか芯の強さと光を内包したヴォーカル、アレンジのミディアムバラードとなっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“家入レオ”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け! 今回は第2弾です。約3年ぶりとなるCDという形でのシングルリリース。より“ぬくもり”を大切に届けるため、写真家・佐内正史に撮影を依頼したジャケ写とミュージックビデオについての想いを綴っていただきました。



CDシングルをリリースするのは2021年の「空と青」以降、約3年ぶり。新曲「ワルツ」はドラマ『ミス・ターゲット』の主題歌で、その初回放送に先駆けて既に4月から先行配信がスタートとなっている。形に残る盤として皆様の手元にお届けするのが5月22日。
 
私がデビューした2012年。CDが売れなくなったという声を耳にすることはあれど、今よりずっと街にCDショップがあったし、もうほとんど目にすることがなくなったレンタルビデオ店もたくさんあった。
 
歌詞カードの中面の写真を眺めたり、歌詞を読みながら好きな音楽を聴く時間は、紡がれた言葉とメロディが静かに心にプレスされていくようで大切だった。食べた物で体が作られるのと同じように、観た映画や聴いた音楽で目に見えない私は作られていくんだろうなーと渋谷のTSUTAYAに何時間でもいられた。
 
好きなものはなるだけ買ったけど、開拓にはCD、DVD10枚1000円のレンタルサービス。おすすめされたCDをカゴに入れ、DVDの裏面のあらすじを読み。あーこれは新作だから対象外だ…と泣く泣く棚に戻したりして。選りすぐった10枚を大事に家まで持って帰った。そんな記憶も愛おしい。
 
 
いつの間にか時は流れ、「普通」や「常識」と言われたものこそ1番はじめに変化していくんだなってことを知った。配信シングルをリリースすることが多かった昨今、CDをリリースするなら、今まで以上にぬくもりのあるものを作りたいと思った。
 
ジャケ写とミュージックビデオの撮影をお願いしたのは写真家の佐内正史さん。佐内さんが撮る写真はノスタルジックで。打ち合わせの時に、「なんだか、閉ざされた、すごく狭い空間にいる感じがする」という言葉は曲が纏っている雰囲気そのもので。
 
生活の影を感じる場所で撮影した。デジタルでもシャッターを切ってもらったけれど、CDジャケ写にはフィルムを選んだ。「もっと明るく…」っていつもだったらバランスを整えることが、フィルムだとできない。そのコントロールできない歯痒さも、終わった恋をまだ受け入れられずにいる気持ちとリンクするような気がして。先行配信のジャケ写もフィルムで撮影していただいた1枚にした。時代と心に逆行するように。
 
そのノスタルジックが、わからない、けどなんか良い、が届くと良いなと思う。時代に置いてけぼりになったものだけが、年を取らない。新しい、は、いつか古くなるから。
 
<家入レオ>



◆紹介曲「ワルツ
作詞:Leo Ieiri
作曲:Leo Ieiri


◆ニューシングル「ワルツ」
2024年5月22日発売