なのに、なぜ私は今日もステージに立つのか?

 2024年10月2日に“アマイワナ”が2枚組のEP『新渋谷』『新電波』を配信リリース!渋谷系、ニューウェーブ、テクノポップから影響を受けた作品となっており、『新渋谷』は渋谷系のインスピレーションからアマイワナが生み出した個性派の楽曲を収録、『新電波』は『新渋谷』収録曲をテクノポップ、ニューウェーブにセルフリミックスした楽曲を収録しており、それぞれのEPの曲がリンクするユニークな構成となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“アマイワナ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「無期限のビオラ」にまつわるお話です。ライブの帰りに泣くことがお決まりだったあの頃。その涙がだんだんなくなっていった理由とは。そして、今も自身がステージに立ち、音楽を続けている理由とは…。



14才の夏。ひょんなことからライブハウスで初めて弾き語りライブをすることになったの。その日以来、ずっとライブハウスで歌っているわけなのですが、10代の頃は思うように歌えなかったり、演奏も上手くいかなかったりして、ライブの帰りに泣きべそかきながら家路に着くのがお決まりでした。
 
やはりそれでは悔しいので、練習するのだけど、練習しても思うように歌えず、スタジオでもよく泣いていたわ。こんなに悔しくて、恥ずかしくて、苦しい思いをしているというのに、なぜ音楽をしているの? とたまに考えてみるけれど、これはもう、神様に選ばれたからだとしか言いようがないと思っていたのよ。
 
当時はアコースティックギターで弾き語るというシンプルなスタイルで、いつもテクニックや歌唱力を求められました。他にも、面白いおしゃべりとか、手拍子とか、コールアンドレスポンスとか。私は全て苦手でした。今でも全部苦手です。なのに、なぜ私は今日もステージに立つのか? それは神様に選ばれたからとしか言いようがないのです。
 
兎に角、風変わりな曲ばかり作って歌っていたので、かなり人気はありませんでした。ある日のライブ終わりに、「君の音楽はニューウェーブだね」と誰かが言ったので、帰りに「ニューウェーブ」という音楽を聴いてみました。この日から私のニューウェーブな日々が始まったのよ。
 
私のニューウェーブ熱はとどまらず、その後のアコースティックライブで、コンピューターやらエフェクターを持ち込み、一応アコースティックギターを弾きながらも、打ち込んだビートをバックに踊って歌うという、妙な1人ニューウェーブ弾き語りを開始したのです。アコースティックな弾き語りを期待していたお客さんはキョトンとしていたし、機材は多く、セッティングには時間がかかり、面倒な演者となり、それ以降お声がかからなくなったライブハウスが続出したとか、してないとか。しかし、その頃からライブの帰りに泣くことがだんだんとなくなっていきました。
 
今は、1人ニューウェーブではなく、サポートメンバーを交えて、より理想に近いライブをしているのですが、あの頃よく泣いていたのは、本来の姿とは何か違う自分が歌っていたからなのかなと、時々思い出すのです。
 
今回の「無期限のビオラ」は、あの日初めて「ニューウェーブ」を聴いた時のあのジャパニーズニューウェーブの衝撃を再現したものです。これを歌う時が一番私らしいんじゃないかなと思います。そんなこんなをしながら、今でもまだ、相変わらず歌っているわけは、神様に選ばれたからとしか言いようがないと思っているのです。

<アマイワナ>



◆『新渋谷』
2024年10月2日リリース

<収録曲>
1.不機嫌なピーチ
2.上海少女(先行配信:https://amaiwana.lnk.to/syojyo)
3.ファーストデート
4.COVER GIRLS feat. 野宮真貴
◆『新電波』
2024年10月2日リリース


<収録曲>
1.無期限のビオラ
2.台湾少女
3.ヴァーチャルデート
4.LOVELY BOY
配信リンク:https://amaiwana.lnk.to/NEWWAVE