生まれてしまったから、どうせなら信じていたい。

 2024年8月9日に“詩羽”がソロファーストアルバム『うたうように、ほがらかに』をリリースしました。今作には全8曲が収録、作詞作曲は詩羽が手掛けております。水曜日のカンパネラのサウンドとは異なり、バンドサウンドを軸にした楽曲達を収録。プロデューサーに、ソロ名義の吉田一郎不可触世界で活動する吉田一郎を迎え、ドラムを担当したBOBO、サウンドエンジニアの井上うにと共に詩羽のサウンドを強固に支える作品に。
 
 さて、今日のうたではそんな“詩羽”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、収録曲「MY BODY IS CUTE」にまつわるお話です。自分の身体が大嫌い。ルッキズム社会に、時代に、翻弄される。でも、だからこそ、信じたいことを込めた歌…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



私にとって歌詞は、理想で夢で願いだ。
そうであってほしいと信じたいことをわざわざ口にする。
占いみたいなもので、自己啓発本でもあり、ただのカルト。
 
私の身体は可愛いのだろうか?美しいだろうか?
女で生まれて良かったことってあっただろうか?
 
自分の身体が大嫌いだ。
クソルッキズム社会に翻弄される。
低い身長も、大きな胸も、柔らかい腕も、太い足と大きな尻も、全部嫌いだ。
短所が長所で長所は短所、それはあながち間違いではない。
だが短所はどこまでいっても短所だったりする。
みんながみんなを評価している。
そのみんなにもちろん自分自身も入っている。
神様みたいなみんな様が、正解をつくり拝め、間違いを咎めバカにする。
気づいたらそんなことばっかりだ。
多様性っていっそギャグだから。
特別なんてない。
普通なんてものも、もちろんない。
 
そんな時代に生まれてきてしまったから、仕方がないことばかりだ。
時代を変えるより自分が変わる方が簡単だし、終わるより続ける方が楽だ。
でもただ諦めるより、ちょっと悪口を言って小さな抵抗はしていたい。
「MY BODY IS CUTE」は、社会に対する悪口なのかもしれない。
生まれてしまったから、どうせなら信じていたい。

<詩羽>



◆紹介曲「MY BODY IS CUTE
作詞:詩羽
作曲:詩羽

◆ソロファーストアルバム『うたうように、ほがらかに』
2024年8月9日発売
 
<収録曲>
01. MY BODY IS CUTE
02. 人間LOVER
03. magichour
04. トワイライト逃避行
05. メリーゴーランド
06. teenager
07. あとがき
08. deny