初めてエレキギターをアンプに繋いだ日。

 2024年9月11日に“Half time Old”がニューアルバム『私の風采』をリリースしました。今作には、TVアニメ『シャドウバース』OP主題歌「灯火」、東海テレビ開局65周年記念ドラマ『江戸からきたキラくん』主題歌「革命の音」、「モラトリアムカレソ」「透明(にされた)人間」「stand by me」「トリノフライト」に、新曲4曲を加えた全10曲が収録されております。
 
 さて、今日のうたではそんな“Half time Old”の鬼頭大晴による歌詞エッセイを2回に渡りお届け。今回は第1弾です。綴っていただいたのは、収録曲「フラミンゴ」にまつわるお話です。初めてエレキギターをアンプに繋いだ日、初めてスタジオに入った日、バンドの楽しさを模索し続け、今たどり着いた思いは…。今作と併せて、エッセイを受け取ってください。



バンドの楽しさをずっと模索し続けてきた。
初めてエレキギターをアンプに繋いだ日。
何が弾けるわけでもないのに、ただ大きな音が鳴るだけで全身に衝撃が走った。
 
バンドを組んで初めてスタジオに入った日のことは今でもたまにメンバーで話したりする程鮮明に覚えている。
周りは怖そうなバンドマン達、如何にもバンドマン風の見た目をした店員さん。受付を済ませてコソコソしながら部屋に入り、なんだかよく分からないままミキサーのフェーダーを上げた。
初めてのことばかりで戸惑いながら、家にある初心者用の小さなアンプの数倍大きなアンプに感動しながらセッティングした。
徐に「やってみるか…」なんて誰かが言ったと思う。
今じゃ聴くに耐えないような演奏だっただろうし、音もデカくて歌が全然聴こえないなとか思ってたと思う。
でも心が震えた。音が重なるのが楽しかった。
 
それから現在までバンドを続けてきて、できることも増えた。
楽しいことを探して常に進化し続けることを意識してきて、今行き着いたのはバンドを始めた高校生当時、感じていたその“楽しさ”でした。
 
あの頃の衝動を完全に再現するのは不可能だけど、あの頃にはなかったものが今は沢山ある。
だからこそ、このシンプルなバンドサウンドと歌詞が腑に落ちたんだと思う。
こういう音がずっと僕の味方だったし、そんなふうに自分自身なりたいと思って始めたバンドだった。
この先何人が僕達の音に出会ってくれるかは分からないけど、出会ってくれた一人残らず味方でいたい。
 
<Half time Old・鬼頭大晴>



◆紹介曲「フラミンゴ
作詞:鬼頭大晴
作曲:鬼頭大晴

 
◆ニューアルバム『私の風采』
2024年9月11日発売
 
<収録曲>
01. フラミンゴ
02. 灯火 
03. モラトリアムカレソウ
04. いつかの太陽
05. 革命の音
06. 透明(にされた)人間
07. SENPAI NO UTA
08. ハルアレ
09. stand by me
10. トリノフライト