僕らの季節に、僕らの恋人達に

 2024年10月16日に“鉄風東京”がミニアルバム『Our Seasons Our Lovers』をリリースしました。今作には、すでに配信リリースされている「Dazzling!!」、「スプリング」、「Sing Alone」と新曲4曲を含む全7曲が収録。また10月27日(日)札幌SPiCEからリリースツアー「鉄風東京 presents Our Seasons Our Lovers Tour 2024」も開催!
 
 さて、今日のうたではそんな“鉄風東京”の大黒崚吾による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、今作『Our Seasons Our Lovers』にまつわるお話です。春夏秋冬、いろんなことに頭を巡らせ、いろんなひとと別れ、出会ってきたなかで今伝えたい歌は…。ぜひ今作と併せて、エッセイを受け取ってください。



何かが終わる時、また何かが始まる前兆で
 
なんて使い古された言葉を最近になって共感することが多くなった
当たり前に続くなんて思ってなかったけど
それは確かに終わりを告げて、また来世で会いましょうなんて約束をして、無くなっていく
きっとこんな歌で別れを告げたのは、一番最後の歌が悲しい歌なんて嫌だったからだと思う。
 
そうして春が来て漠然とした未来に期待を馳せている。
花粉以外は最高な季節に去年と同じように、理由もなく浮かれているのが嬉しかった
永遠のように感じた冬は終わりを告げて、軽くなった服装と切り立ての髪が風に揺れている
 
そんなのも束の間、次は夏が来る
いつかの非日常が日常になってしまった時、僕らが憧れたライブハウスは奪われて それでも心の中は歌を歌い 体を振り回して音楽に向き合っていた 時間は経って少しずつ取り戻して昔と今の違いに悩みながらライブハウスは形を取り返した
 
そうして汗をかき叫んだ季節も終わり 次は秋が来る
毎年忘れている金木犀の匂いを嗅いで ただ思い出すと忘れるを繰り返していた香りも その匂いと重なる人が出来て、忘れることを出来なくなった きっと来年になってもこの匂いは忘れないと思う、そうやって今年も新しく握りしめていたいものが増えた
 
街はどんどんと寒くなってホコリ臭いクローゼットの中を漁り始める
中学生の頃 友達同士でオーラは何色だろう? なんて話をしていた 今でもまだあの子の色は覚えていて 自分が見ている視界は他の誰かより 少し紫がかっている 僕にとっては今を生きる理由はその子がくれた紫色の世界にしか存在できなかった
 
そうこうしているともう、外は雪が降り始める
あの子のことを思い出して 誰もいない部屋でずっとパソコンの画面を眺めている
こんな夜に君がいたらなんて思っているけど実際のところは四六時中 隣にいてほしくて 
今ではもう話した時間よりも、頭の中でその人を想像している時間の方が遥かに長くなってしまった
 
私 会いたい 渡し合いたい
話し足りない 離したりしない
 
こんな言葉がリフレインする
 
 
そして今年も終わりを迎える
色んなことに頭を巡らせ、色んな人と別れて、色んな人と出会ってきた
 
助けを求めたら誰かがいてくれる人間と
助けを求めても助けたくならない人間
 
僕は悲しいことに後者の人間で、それを受け入れて足をどうにか前に出して続けてきた そんな時に僕を救ってくれたのは憧れの音楽とあの時の記憶で どん底にいた自分に見えたのはなぜか黄色い太陽の光だった
これ以上立ち直ることなんて出来ないくらい絶望して書いた歌詞は誰よりもまず先に自分を救ってくれた
 
あの空の向こう側 黄色い光が見えた
塞ぎ込んだ君と僕は手を取り笑いたい
今がだめなら今を救おう
眩しいほどに光ってたあの光は
 
そうやって僕は僕を取り戻した
移り変わる季節を愛して
恋しい人たちの言葉と顔を思い出して
また何かの終わりを何かの始まりにするべく歩き始める
 
 
この音楽がきっと届きますように
僕らの季節に、僕らの恋人達に
 
<鉄風東京・大黒崚吾>



◆2nd Mini Album『Our Seasons Our Lovers』
2024年10月16日発売
配信リンク:https://teppu.lnk.to/OSOL
 
<収録曲>
1.Dazzling!!
2.スプリング
3.Sing Alone
4.金木星
5.Purple
6.Remember my snow?
7.Not end,now I run.