僕の私の歌詞の庭

 2024年10月7日に“harha”1st e.p.『未来再来』をリリースしました。彼らは、トラックメイカー・ハルハとシンガー・ヨナべによる音楽ユニット。曲を作ることが好きな男の子と歌うことが好きな女の子、そしてさまざまなクリエイターたちが出会いながらリリースを重ね、活動2周年。その節目に初のe.p.をリリース。結成前夜に二人の未来をテーマに制作された「草縁」を含む、出会いと始まりの5曲入り短編作品となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“harha”のハルハによる歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、今作『未来再来』にも通ずる作詞の軌跡のお話です。中学二年生から書き始めた歌詞。そこから今に至るまでに、自身の歌詞の“軸”はどのように培われてきたのでしょうか…。ぜひ、今作と併せて、エッセイをお楽しみください。



初めまして、harhaのハルハです。今回『未来再来』というEPをリリースしました。沢山聴いてください。そしてみんなの感想待ってるんでDMでもメンションでも好きなだけ送ってください、秒速で見に行くんで!(見落としがなければ)
 
文章を書くのは難しい。歌詞に比べて行間という隠れ蓑に身を秘められないから、常に語り部が僕自身であることを強制されている圧迫感がある。その点、歌詞や詩は急に一人称が私や俺や拙者に変わったとしてもそれを咎められはしないし、急にカタカナで喋りだしたって構わない。それ故に生まれる意図も存在する。ざっくり言うと、気が楽ってやつです。文章もそれくらいルーズにのらりくらり書けたらなぁ。しみじみ。
 
そんなおいどんが歌詞を書き始めたのは中学二年生のさむーい冬のこと。
当時、ラップをやってみないかと僕を誘ってくれた仲間と、一緒に曲を作ろうという話になったのがきっかけだった。すぐ家に帰ってその辺のノートを拾って歌詞を書いた。書き方なんて知らなかったが、幸い韻を踏むということだけ考えればよかったから割と手は動いた。
 
その日から憑りつかれたように歌詞を書いた。授業中に休憩時間、休みの日も常にノートの切れ端を持ち歩いて思いつくだけ、好きなだけ書いた。なぜそんなに夢中になれたのかというと、当時の僕を取り巻く環境にあったと思う。金銭的な事情で家の中は少しギスギスしていたし、友達関係でのいざこざや中学生特有の空気感みたいなものからも逃げ出したかった。
 
だから「歌詞を書く」という行為は僕の逃げ場であり、だれにも邪魔されない自分だけの言葉と感情の箱庭だった。それがある種の救いで全てのはけ口に出来たから、口に出せなかったことや、思いの丈が自然と歌詞に変わっていった。この前母が、「昔はいつも、もの悲しい歌詞ばっかり書いてたよね」って言っていたことを思い出したが、その当時の僕が心の中ではそういうやつだったってだけなんだよね。これ意外っしょ。
 
僕の歌詞の根幹は常にそこにあって、今harhaで描く歌詞もその軸があって初めて機能していると思う。ちなみに韻も踏めと言われたら今でも踏めるよ。歌ネット、ブランケット、フラメンコ。ただ、あの当時から変わったのは「逃げたくて何が悪い!!やんのか!!」という刹那的で、欲張りで、自分勝手な感情を愛せるようになったことだ。馬鹿げた夢も高すぎる理想もあり得ない未来も歌詞の中では全て大歓迎。
 
今回のEPの楽曲達もそんな僕のワガママがふんだんに、ギュウギュウに、お弁当のごとく詰め込まれている。
お弁当で思い出したけどグラタンとかの下に占い書いてあるやつ、やりたいなぁ。
 
<harha・ハルハ>



◆1st EP「未来再来」
2024年10月7日(月) 配信リリース
 
<収録曲>
 
1. おかえり、未来
2.草縁
3.恋はずみ
4.すてきなぼくら
5.現し世
 
 
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