2024年11月27日に“シユイ”がニューシングル「ホロウ」をリリースしました。タイトル曲は、アニメ『魔王2099』オープニングテーマ。シンガーソングライター・須田景凪による提供楽曲です。さらに今作には、メジャーデビュー曲の新アレンジ「君よ 気高くあれ (Matiere ver.)」(読み:マチエールバージョン)もカップリングとして収録!
さて、今日のうたではそんな“シユイ”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、収録曲「ホロウ」にまつわるお話です。この楽曲から広がる景色。その世界のなか、シユイは何を想い、どのように歌ったのか…。ぜひ楽曲と併せて、エッセイを受け取ってください。
この音は、粒子のように見えました。近づくと、雨粒のように見えました。
空から何かが降っている、その現象に心を打たれました。釈迦が誕生した時も天は雨を降らせた。
シユイという思考が生きる世界の地面は、雨に打たれ続けている。
長い、雨の中にいました。沼に似たアスファルトや、こちらに頭を垂れる葉や、細長い命の残す足跡。目が合ったそれらのすべてに鮮烈な生命力を感じ、剥き出しの内臓を彷彿とさせました。
そのなかに溶けてしまうのではないか、溶かされて、私もこの闇に覆い隠された怪物の一部となってしまうのではないか。不安は、足元から傘の先まで、瞬く間に満ち満ちるのでした。
いや、もしかしたら、もう私の皮膚という世界との境界はとうに消えていて、雨によって満遍なく融合されたひとつに、なってしまっているのかもしれない。と、想像は夢のように際限なく続きました。
ホロウ。
空虚の中では、歌でさえ、ただの青い粒子なのでした。
まるで星が爆ぜるときみたいな、エネルギーの粒子の、その自由な散乱を目で追った。それは瞬間的、そして衝動的。
脈打ち巡る血のように宿命を持つ粒子の軌道を、追いかけ辿るように歌った。
煌びやかな装飾は一つもない。ただ真っ直ぐで洗練された詩は、そのまま真っ直ぐ、決意のようでした。あるべき未来を見据える強い意志、揺るがない己の核。苦しみも幸せも何もかもを底にしまって、祈ることもせずに唱える詩。
あなたのために、ではなく、シユイは、あなたのためだけに歌う。
<シユイ>
◆ニューシングル「ホロウ」
2024年11月27日発売
<収録曲>
M1. ホロウ
M2. 君よ 気高くあれ (Matiere ver.)
M3. ホロウ (Instrumental)
M4. ホロウ (TV Size)