過去まで丸っと愛せるね。②

 2025年2月5日に“Bye-Bye-Handの方程式”がEP『nostalgic lovers』をリリースしました。今作には、自主制作音源を再録&初音源化した全5曲が収録されております。これまでのBye-Bye-Handの方程式を彩ってきた楽曲を最新アレンジでご堪能ください。
 
 さて、今日のうたではそんな“Bye-Bye-Handの方程式”汐田泰輝による歌詞エッセイを2週連続でお届け! 今回は第1弾に続く第2弾です。自分にとっての歌詞とは、バンドとは。そしてBye-Bye-Handの方程式というバンドにおいて、ノスタルジーとは…。また、今回も音声版がございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。


汐田泰輝の朗読を聞く

エッセイという文章形態は今回初めて書く。
それは小説でもなくポエムでもなく
短歌でも詩でもない。
 
いつもは歌詞という枠組みの中で
そこに誰かを入れて遊ばせてみたり、自分のリアルを切り取ってみたり、と様々。
歌詞はメロディが乗っかった言葉が必ずしも歌詞だとは思わない。それは読んだだけでこれは詩ではなく歌詞だと思えるものが確かにある気がするから。
 
昔からモノ作りが好きな子どもだった。でも完成してしまうと咄嗟に飽きてしまうのも自分なのである。常に自分の今つくる新しいモノに興味があった。
だからきっとあの頃の曲も同じ様にもう2度と開けることのないおもちゃ箱にしまっておいたはずだった。
 
それは昔のアルバムを見返す様な
校庭のタイムカプセルを掘り起こす様な
部屋の押し入れから何かを見つける様な
あの感じにもしかしたら近いのかもしれない
 
確かに自分が書いたモノ、作ったモノ
それは過去から未来の自分に託された
何かをそこから感じ取れたそんな感覚
 
だからふと思い出した、小学生の頃に埋めたタイムカプセルの事。今頃、大人になったあの時の同級生はもう掘り返したのだろうか。そんな事をそもそも思い出したりしているのだろうか。
気にしているのは自分だけだとするならこんな事続けて当たり前だ、当然の結果だ。
だから自分にとってのバンドは、そんなあの頃終わるべきだった、終わるはずだったほんの小さな遊びが、今もここでただ続いてるだけなのだ。
 
Bye-Bye-Handの方程式というバンドにおいて、ノスタルジーとは切って切り離せないものだと思う。だってずっと今の事よりも過去を歌ってきた僕らだから。
1秒先は未来で1秒前は過去だとすれば
本当の今というのは、過去を承認して認めていく先にあるものが“今”なのだと思う。
 
できれば花丸をあげたい。二重丸でも嬉しい
採点は誰にも任せちゃいけない、自分でやるから意味があるのだ。今日も満点じゃなくて良い、狙うはギリギリ合格点だ。
 
<Bye-Bye-Handの方程式・汐田泰輝>



◆EP『nostalgic lovers』
2025年2月5日発売

<収録曲>
1 熱帯夜と遊覧船
2 湿恋
3 自論文
4 君と星座の距離
5 Flower Dance