焦らさず、待っていてね

 2025年8月20日に“Bye-Bye-Handの方程式”が新曲「夢夏」(読み:ゆめか)を配信リリースしました。どこか懐かしさを感じるメロディーと爽快なJ-POPサウンドが心地いいサマーチューン。明るくキラキラした清夏の爽やかさを凝縮したポップなサウンドで、夏を存分に感じられるナンバーとなっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“Bye-Bye-Handの方程式”の汐田泰輝(Vo&Gt.)による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「夢夏」にまつわるお話です。今の時代だからこそ、唄いたかった“あの頃みたいな夏”を描いた歌。楽曲誕生のきっかけは…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。



2025年8月20日「夢夏」という楽曲を世に放つことが出来ました。
自分たちとしては、これまでも色んな節目やターニングポイントを楽曲と共に作ってきたが、未来に先回りすれば、今もまたそのうちの一つになっている気がする。
 
この曲が出来たキッカケは、とあるコンペに出すための楽曲制作を始めて、
いつも通り限られた期間の中、今からゼロイチを作り出すのか、
はたまた数あるストックの中から可能性のありそうなものを探るのか。
その2択に迫られた時だった。
 
しかし、その2つに当てはまるものはなく、どうしようかと考えていた時に、
ボツ曲のファイルをふと思い出した。
その中に入っている、タイトルもない楽曲と初めて目が合う瞬間だった。
 
楽曲のカケラは、カケラで終わる時もあれば、
思いもよらぬカタチで完成までこじつける、成り上がりスタイルも存在する。
 
その上で「夢夏」 は今までのどの楽曲よりも、
地底から地上まで這い上がった距離としては長く、
けれども速いスピードで完成した。
 
このタイミングで何を出すのか、どんな楽曲リリースするのかは、
その少し先の未来の自分を示すもの。
 
いつも曲は自分よりも1歩、2歩先回りして、
時にリアルタイムの自分とフィットしない時だってある。
そんな中、ここに辿り着いたのは何かのキッカケだと、心から思う。
 
楽曲の中では夏の心地よい瞬間を集めたかった。
夏は暑くても、涼しい場所にいても、なぜか夏だと感じられる季節な気がする。
 
昨今の温暖化でとても例年の様に軽々しく乗り越えられない猛暑の中、
それでも何処かで誰かが恋に落ちたり
結ばれたり
不本意に背中を押されてしまったり
その恋が本物なのかどうかを浮き彫りにしてしまう夏には、
いつもその隣に
ピッタリな音楽があったんじゃないかなと思ったりもして。
 
そんな今の時代に、あの頃みたいな夏を僕らは歌として唄いたくて、この楽曲をリリースすることを決めました。
 
大切なものはその時、大切にしながら生きていれば、その大切の見え方も基準も変わっていく。
でもそれは寂しいことではなくて、いつか時間が経てば全てを愛せるためにしている、屈伸運動みたいなものなんじゃないかなと思ったりもする。
焦らさず、焦らず、その時を待っていればその瞬間はきっと訪れる。
楽曲のカケラはいつでもそこに舞っている。
それといつかまた目が合う時に、
また新しい何かが僕らを巡り合わせてくれる気がする。そんな気がする
 
<Bye-Bye-Handの方程式・汐田泰輝>



◆紹介曲「夢夏
作詞:汐田泰輝
作曲:汐田泰輝