蛍が夜に光るのは、求愛行動のためらしい。
昼間はろくに目立てず見られもしない、夜の闇の中だからこそあの淡い光が恋のサインとして機能する。
ふと、人間も同じだと思った。
都合良い曖昧な関係と分かっていながら夜には光ってアピールをして。
「今日こそちゃんと見てもらえるかも」なんて期待しても、夜にしか価値を見出してもらえない。
朝が来たらまた、見つかることもなく夜を待つだけだ。
自分でバカなことをしてると分かってるのにやめられないのは何故なのだろうか。
いくら考えても分からないなら、いっそ夏のせいにしてもいい気がする。
「かいた汗も流せるし」なんて精一杯の理由で言い聞かせて、だらだら続けても仕方ないのではないか。
それほどまで理性じゃどうにもならない気持ちが、確かに存在する。
蛍の寿命は短いとされている。
その短い寿命の内くらい、好きに光ってもいいじゃないかと思う。
恋人じゃない。だけど、ただの友達でもない。
その間にある、名前のつかない関係。
見返りを求めない愛は、強さなんかじゃない。
ただ、そうしないと自分が壊れてしまうだけ。
平気なフリばかり慣れてきて、大した興味もないようなフリが上手になった。
この関係は醜いものだろうか。
もしくは関係が終われば醜く変化するのだろうか。
自分の気持ちを確かめるたびに悲しくなる、報われない恋に意味はないのだろうか。
答えのない愛とともに生きている、そんな曲。
<五十嵐ハル>
◆紹介曲「蛍」
作詞:五十嵐ハル
作曲:五十嵐ハル