Do You Love Me?

 2025年5月28日に“SIX LOUNGE”が新EP『more than love』をリリースしました。6月からは同EPを引っ提げた全国6都市をまわるツアー『SIX LOUNGE “Do You Love Me?” TOUR』も始まり、最終日にはバンド初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンを予定。ぜひ、こちらも併せてチェックを!
 
 さて、今日のうたでは“SIX LOUNGE”のナガマツシンタロウによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。最終回は収録曲「You&I」にまつわるお話です。誰かと自分を比べてしまう、自分自身を愛せない、愛したい、そんなあなたへ…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



体育の授業が嫌いだった。プールは泳げないし、球技ではボールをまっすぐ飛ばせない。徒競走はいつもビリで、走り方が変だとよく笑われた。
 
みんなの邪魔になりたくなかったから、いつも一歩後ろに下がり、「早く終わってくれ」と時計ばかり見つめていた。
 
中学で入った吹奏楽では男子部員がひとりだけだったので、雰囲気に耐えられず半年もせずにやめた。なさけない。
 
授業もついていけなくて、成績は下から数えた方が早かった。一瞬だけ家庭教師が来るようになったが、毎回時間いっぱいまで寝ていたので怒られてやめた。
 
くせ毛に悩んでいたので一度縮毛矯正した。でも似合ってなかった。
 
そういえばかなり太っていた。
 
何もかもうまくいかなかったように思います。
 
高校に入ってからはろくに出席もせず、近くの練習スタジオに入り浸り、色々なバンドを掛け持ちした。ようやく居場所をみつけた。ろくでもない奴らばっかりで、息がしやすい。嬉しかった。
 
この先もずっと、このままで居れたらいいのにな。大人になりたくない、心からそう叫んだ。爆音の中なら大きな声で叫ぶ事も恥ずかしくなかったし、自分自身の存在も許してあげられた。
 
ただ、それ以外の場所での僕は、山手線みたいに同じ場所をぐるぐる回ってるだけだった。
うまく乗り換えもできない。どこへも行けない。何も成長していない。
 
なのに環境はどんどん変化していく。
みんな新幹線みたいな速さで生活している。
ああもう期待することに疲れたな。
やっぱりいつまでも1番にはなれない。
ずっと誤魔化しているだけ。
 
それでいいの?
 
ねえ、お前はさ、これからどうしたい?
 
壊れてしまう前に、もっと正直な気持ちを伝えなきゃいけないよ。
誰かと自分を比べて生きるのはやめにしろ。
もっとやさしくなりたい。
そんな強い人になりたい。
 
非常停止ボタンを押す。
列車から飛び降りる。
この足で地面を踏みしめる。
産まれた瞬間に人生のレールが決められるわけではない。
何度でもやり直す。
僕はそんな自分をやさしく愛してあげたい。
ばいばい
今日また、はじめる。
 
<SIX LOUNGE・ナガマツシンタロウ>



◆紹介曲「You&I
作詞:ナガマツシンタロウ
作曲:ヤマグチユウモリ
 
◆新EP『more than love』
2025年5月28日発売
 
<収録曲>
01 天才になって
02 どん底
03 You&I
04 死ぬほどあいたいから、だからあいに行くよ
05 グロいラブソング