ぼっち星では、4月に桜が咲かない。

 2025年12月3日に“ぼっちぼろまる”がメジャー1stアルバム『COMICAL』をリリースしました。ジャケットは、イラストレーター/アニメーション作家のまご山つく蔵が制作。収録楽曲をイメージしたキャラクターたちが登場するアートワークに。「つよがるガール feat. もっさ(ネクライトーキー)」、「鎌倉STYLE」、「NE-CHU-SHOW」など、ぼっちぼろまるの活躍が凝縮された渾身の全17曲入りアルバムとなっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“ぼっちぼろまる”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。第1弾は、収録曲「桜風」にまつわるお話です。4月に桜が咲かないぼっち星での日々や、“負け”を繰り返した受験戦争を経て、たどりついた景色は…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。


僕の地元のぼっち星では、4月に桜が咲かない。
だから卒業式でも入学式でも、桜並木を歩いたことがない。
ああいう景色は、僕にとって漫画やアニメの中にしか無いものだった。
 
ある日の取材中、記者がこんな質問をしてきた。
「人生でいちばん“負けた”ことって何ですか?」
 
オーディションに落ちたこと。
変なバンドマンにバカにされたこと。
酔ったヤンキーに急に殴られたこと。
大好きだった女の子にフラれたこと。
 
“負け”の思い出が、走馬灯のように大量にかけめぐった。
思わず「あー…」と悩んでしまったけれど、なんとか記事で使えそうな話ができた。
一番を決めるのは、やっぱりむずい。
 
その中で「受験戦争、一回も勝ってないな」と思い浮かんだ。
僕は今までの人生で第一志望校に受かったことが無い。
妥協してランクを下げたわけでもなく、ちゃんと受験して、ちゃんと合格発表を見て、ちゃんと自分の番号がなかった。
ちゃんとした“負け”を、何度も繰り返してきた。
 
高校3年生の冬。
ギターとパソコンにコピー用紙を貼って「触ったらバカ」と書き、
寒い部屋で電気ストーブにあたりながら必死に受験勉強をしていた。
図書館や自習室にも行ったし、塾や予備校にも通い詰めた。
月曜日はジャンプを読んで、たまにネットサーフィンもして、
電車の中では単語帳をめくって、
そしてやっぱりギターも触ったりして。
 
とにかく自分なりに必死に頑張った結果――
 
不合格
 
これはマジで結構かなり相当、つらいものがあった。
 
それでも後期で第二志望校に合格し、なんとか大学生にはなれた。
「僕は“第一志望”というものに一生縁がないのかもしれない…」
そんなことをぼんやり思いながら東京に向かった。
 
そして迎えた東京の入学式。
桜が舞っていた。
まるで漫画の見開きみたいな光景だった。
 
その瞬間、ふっと気持ちが軽くなった。
「ああ、これで良かったんだ」と。
 
“不合格”なんてちっぽけなことだった。
どんな場所でも、どんな状況でも、桜が咲くならそれでいいんだ。
きっと漫画やアニメみたいな、楽しい日々が待っている。
 
桜が咲いた学校での思い出がたくさんありすぎて、僕はいつまでも歌詞にして歌っている。
第一志望に落ちて、良かったな~
 
<ぼっちぼろまる>


◆紹介曲「桜風
作詞:ぼっちぼろまる
作曲:ぼっちぼろまる

◆メジャー1stアルバム『COMICAL』
2025年12月3日配信開始
 
<収録曲>
01. -目次-
02. 超!うたうぼっちのテーマ
03. 桜風 
04. タタリダンス
05. おとせサンダー
06. -質問を募集するコーナー-
07. つよがるガール feat.もっさ(ネクライトーキー) 
08. 鎌倉STYLE 
09. NE-CHU-SHOW 
10. イケてるパーカー
11. -挿絵-
12. ハロ
13. 魔法ぽい
14. さよならグリーンデイズ
15. シン・タンタカタンタンタンタンメン 
16. COMICAL
17. -あとがき-