母に謝りたかった

 2026年2月4日に“GOOD BYE APRIL”がメジャー2ndアルバム『HOW UNIQUE!』をリリースしました。配信シングルとしてすでにリリースされている「リ・メイク」、「SYMPATHY」を含む全10曲が収録され、シティポップ界の巨匠・林哲司とGOOD BYE APRILの共同プロデュースとなっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“GOOD BYE APRIL”の倉品翔による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第1弾は収録曲「ハーフムーンが見えたらさよならを」にまつわるお話です。自身が抱える子どもの頃のとある後悔。「もう誰も傷つけたくない」と思ったその理由は…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。



ある日の夕方、向かいの家の友達と僕は遊んでいた。ずっと昔、まだ保育園児くらいだった頃のこと。
夕飯の時間になって、母が玄関から呼んでいたけれど、やんちゃ盛りだった僕は母にふざけて汚い言葉を投げながら、友達の家に上がり込んで夕飯を一緒に食べてしまった。
そのあと家に戻ると、母は寂しそうな表情をしていた。
幼すぎてそのときは自分の感情に気付くことはできなかったけど、寂しそうな母の様子はずっと心に残っていた。
 
僕があの日を後悔するのは、それから何年か後のこと。
僕が小学3年生のとき、母は亡くなってしまった。
僕は、あの日のことを謝りたかった。
でもそれが二度とできないことに気づいたとき、やんちゃで何もわかっていなかった自分をひどく悔やんだ。
それから僕は、言葉や相手の感情にとても敏感になった。
もう誰も傷つけたくない、と心から思った。
 
過去の出来事は、その人の人格を変えることがある。
過去の痛みから何を学び、どうやって歩き出すか。
僕は、あの日の後悔とともに今生きている。
それは、決してネガティブなことではない。
僕のひとつのアイデンティティだ。
もしあの日がなければ、僕はもっと大雑把に生きて、人を傷つけていたと思う。
そして、僕のメロディーが時折「さよなら」を携えているのは、あの日があるからなのかもしれない。
 
これからも言葉を大切にしながら、痛みにもそっと寄り添えるような音楽をつくり続けたいと思います。
 
<GOOD BYE APRIL・倉品翔>



◆紹介曲「ハーフムーンが見えたらさよならを
作詞:倉品翔・延本文音
作曲:倉品翔

◆メジャー2ndアルバム『HOW UNIQUE!』
2026年2月4日発売

<収録曲>
1 SYMPATHY
2 悪役
3 息切れの恋
4 ハーフムーンが見えたらさよならを
5 Tokyo Weekend Magic
6 whiteout
7 Velvet Motel
8 リ・メイク
9 ユニーク
10 BIOGRAPHY