2018年9月19日に“松室政哉”がメジャー1stシングル「海月」をリリースします。タイトル曲は、彼が10代のころに制作し、ずっと温め続けてきた大切な歌。そして、今年4月からオープニングアクトとして同行してきた、スキマスイッチの全国ツアーの中で披露しながら完成させた、珠玉のバラードソングです。今日のうたコラムでは、そんな1曲をご紹介いたします。尚、すでにMVが公開されており、歌詞も先行公開中!
松室政哉は『自分の曲の中で「海月」ほど、「何かを犠牲にしてでも誰かを愛すること」を描いた作品はないので、純粋に人を愛する気持ちを感じてもらえたら嬉しいです』とコメント。自分の存在を【海月(クラゲ)】になぞらえ、愛する<君が流した涙の海>に浮かんでいるのが、この歌の主人公<僕>です。では<僕>は海月として、何を犠牲にし、どんなふうに<君>を愛しているのでしょうか。
こんなに君のこと想えば想うほど苦しくなる
この手伸ばせば触れられるくらい近くにいても
俯いた瞳から溢れてくその記憶を拭うために
僕に出来ること ずっと探してるんだ
「海月」/松室政哉
俯いた顔、瞳から溢れてゆく涙、それに含まれた記憶…。今<君>は、深く傷つき、悲しみ、涙で出来た海の底で沈黙しているような状態であることが想像できます。それほどに大きな喪失を経験したのでしょう。そんな<君>を愛している<僕>は、たとえ<この手伸ばせば触れられるくらい近くにいても>、自分の手で直接、濡れた頬を拭ってあげることも、抱きしめることもできません。何故なら、二人はそうした関係ではないから。
強引に触れたりすれば、今にも崩れそうに脆くなっている<君>の心は、さらに傷を増やしてしまうかもしれません。だから、決してこの手を伸ばしてはいけない。そうした意味でも<僕>は<海月>なのではないでしょうか。“触手”で刺してしまわぬよう、どんなに<君のこと想えば想うほど苦しく>なっても、想いを押し殺し、恋心を犠牲にし、許されるギリギリの距離を保ち続けているのです。
例えば夜の海に映る月明かりは
波間に揺らいでも
水平線まで明日への道を描いてくのさ
「海月」/松室政哉
例えば夜の海に映る月明かりは
淡い輝きでも
闇を掻き分けて 遥か彼方を照らしてくのさ
「海月」/松室政哉
とはいえ、愛する人の傷ついている姿をただ見ているだけなんて出来ません。そこで主人公が<僕に出来ること>のひとつとして考えたのが【言葉】です。きっと<夜の海>とは、暗闇の中で<君>が流し続けている涙のこと。その涙には必ず“微かな希望”が映っていて<明日への道を描いてくのさ>と、<遥か彼方を照らしてくのさ>と、そっと<僕>は語りかけるのです。それは決して、眩しすぎる光を押し付ける類のものではなく、まさに<月明かり>のように淡く輝いて<君>に寄り添う言葉に感じられます。
君が流した涙の海に浮かぶ僕は海月
初めて覗いた深い場所には
断ち切れない想いの欠片 沈んでた
世界で一番小さな海を受け止めさせてよ
失ってから気付くものなんて僕はいらないから
君が流した涙の海に浮かぶ僕は海月
彷徨いながら もがきながらも
散らばった笑顔の欠片 集めてく
君が流した涙の海に光満ちるように
ただちっぽけな僕だとしても全て守りたいよ
君が好きだから
「海月」/松室政哉
そして、もっとも<海月>としての<僕>の深い愛情が表れているのが、サビフレーズです。触れることはできない。悲しみの海の底に沈んでいる<断ち切れない想いの欠片>を消してあげることもできない。だけど<世界で一番小さな海>のなかで<彷徨いながら もがきながらも 散らばった笑顔の欠片 集めて>、一つでも<僕に出来ること>を探し、少しでも<君が流した涙の海に光満ちるように>静かな愛を届けているのだと思います。
さらに<海月>がゆらゆら水中を漂う美しい姿は、見ているだけでわたしたちの心を癒しますよね。だから<君>にも<海月>を見ているときのように、せめて<ただちっぽけな僕>といる間だけは、力を抜いてほしい、安らいでほしい、と、そんな気持ちも表れている気がしませんか? <僕>は、自分の恋が報われることなどどうでもいいのです。それよりただ純粋に、君が好きだから全て守りたいのです。
そんな<海月>ならではの愛の形が綴られているのが、松室政哉のこの歌です。是非あなたも、歌詞から、歌声から、メロディーから、新曲「海月」の儚さや美しさ、切なさや優しさ、柔らかな光や静かな愛の温もりを感じてみてください…!
◆紹介曲「海月」
作詞:松室政哉
作曲:松室政哉
※「もがきながらも」の「もが」は、足へんに宛が正式表記。
◆1st Single「海月」
2018年9月19日発売
通常盤 UMCA-50055 ¥1,080(tax in)