罪酒叶竜也 | 叶竜也 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 萩田光雄 | 酒の飲み方さえ知らずに 一人舞台の絡み酒 酔い醒めのほぞ噛むほどの後悔を 忘れるためにまた酒を呑む ああ、なんて馬鹿なことの繰り返し 愚かしいのもほどがあるよね ああ、なんて馬鹿なことの繰り返し 馬鹿は死ななきゃ治らない 罪酒 胸のむしゃくしゃを晴らせば 一年一度の暴れ酒 負け犬の火が出るほどの悔しさが 抑え効かずにまた溢れ出す ああ、なんて無駄なことの繰り返し 恥ずかしいにもほどがあるよね ああ、なんて無駄なことの繰り返し 開いた口が塞がらない 罪酒 女心さえも分からず やもめ暮らしの想い酒 置き去りの身を切るほどの切なさを 堪えきれずにまた酒を足す ああ、なんて罪なことの繰り返し 自分勝手もほどがあるよね ああ、なんて罪なことの繰り返し 煮ても焼いても食えやせぬ 罪酒 …罪酒 |
生きているのだから叶竜也 | 叶竜也 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 松井タツオ | いつもと同じような 始まりで 恋の旅へと 船出する わかりきった 別離(わかれ)の港に たとえ 辿り着こうとも 仕方ないじゃないか 生きているのだから いつもと同じような 風が吹き 心隙間を 擦り抜ける 生まれ付いた 孤独の獣が 愛に背き 突き放す 仕方ないじゃないか 生きているのだから いつもと同じような 結末で 恋の頁を 締め括る 疲れきった 優しい女が そっと 去って行こうとも 仕方ないじゃないか 生きているのだから |
灯ともし頃桜井くみ子 | 桜井くみ子 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 萩田光雄 | 寂しげに街が暮れ行く 灯ともし頃は 貴方の声が聞きたくなります 電話かけてもいいですか 何処にでもあるような居酒屋でいいんです 特別なお酒じゃなくていいんです 話を聞いてくれるだけでも 今日を佳い日と思えます 楽しげに人が行き交う 灯ともし頃に 貴方の後を離れて歩けば 二人他人に見えますか 何処にでもあるような湯の里でいいんです 日帰りの旅だとしてもいいんです 優しく髪を梳(と)いてくれたら 一人想って暮らせます 儚げに雲が流れる 灯ともし頃は 貴方といても泣きたくなります 涙拭ってくれますか 何処にでもあるような幸福(しあわせ)でいいんです 贅沢な愛じゃなくてもいいんです 愛しくそっと抱いてくれたら 明日を信じて暮らせます 愛しくそっと抱いてくれたら 明日を信じて暮らせます |
胡桃永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 河合徹三 | 道で見つけた 可憐な花の 名前さえ知らずに 生きて来た 胡桃のような 固い指先で 触れようもなら 折れてしまうだろう 真面目なだけが 取り柄だった 仕事ばかりが 生き甲斐だった 俺は本当に 無骨者 俺を支えた 優しい人の 想いさえ気づかず 生きて来た 胡桃のような 野暮な頑固さで お前無しでは 駄目になっただろう 無駄な事だと わかっていても 黒を白とは 言えなかった 俺は本当に 無骨者 夢は墓場に 疾に葬られ 在りかさえ知れずに 草生した 胡桃のような 粗野な掌で お前抱いたら 惚れてしまうだろう 急ぐばかりの 人生だった 酔ってばかりが 気休めだった 俺は本当に 無骨者 |
オイビト永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 河合徹三 | 腹から笑えることなどは この先幾度もありゃしない 長生きなんてしてみても 何の褒美も出やしない 馬鹿らしいほど必死になって いじらしいほど冷や汗かいて それが何だと言わぬばかりの 夜がちょっぴり憎らしい 心底楽したことなどは 今まで一度もありゃしない 右往左往と狼狽えて 挙句の果てのオイビトさ 見苦しいほど卑屈になって 訳もないのに得意になって それでどうだと言わぬばかりの 風がちょっぴり冷たくて 賭けて悔いない夢などを この先見ることあるだろか 立ち枯れの木と同じこと 老いて行くだけだとしたら 愚かしいほど泣き叫んで 数知れぬほど赤恥かいて そんなもんだと言わぬばかりの 酒がちょっぴり優しくて そんなもんだと言わぬばかりの 酒がちょっぴり優しくて |
めぐりあわせ永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 古寺ななえ | 今はもう色褪せた 青春の日々 共に語り合えば あの日が甦る 黄昏色染まる 放課後校庭 手を繋ぎ帰った 若き恋人 ここで再び二人めぐりあって 幼くて言えなかった 想い伝える もしも運命に逆らえるとしたなら 貴方との人生を生きてみたい 大切に仕舞ってた 交換ノートの ページを捲り合えば 笑顔がこぼれる 互いに打ち明けた 心の傷痕 夢を分かち合った 遠き恋人 ここで再び二人めぐりあって 素直に言えなかった誤解伝える もしも運命を変えられるとしたなら 残り有る人生を貴方と共に ここで再び二人めぐりあって 幼くて言えなかった 想い伝える もしも運命に逆らえるとしたなら 貴方との人生を生きてみたい もしも運命を変えられるとしたなら 残り有る人生を貴方と共に もしも運命にを逆らえるとしたなら 貴方との人生を生きてみたい |
クロスポイント永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 河合徹三 | 真っ直ぐに行けばまた違う人生が 君を待っていたかもしれない だけど君は僕と出会いこの道を選んだ それまでの何もかも捨てて 人生における交差点で 二人出会い暮らしたことを 君にもし後悔させたとしたら それは僕の望むことではなかった 毎日多くの人生が交差する それぞれに関わることなく 一億分の一の奇跡と呼ぶに相応しい 愛でなければいけなかった 人生における交差点で 二人愛し過ごした日々を 君がもし愛しく思い出すなら それは僕のせめての心の救い 人生における交差点で 二人出会い暮らしたことを 君にもし後悔させたとしたら それは僕の望むことではなかった |
夕映え空から永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 国吉良一 | どこの町にも 架かってる 古い木の橋 別れ橋 織り成しながら 流れ行く 男と女 運命川 どこの町でも 似たような 喜劇紛いの 筋書きで 身を縒りながら 別れ行く 哀れ切なき 人の恋 夕映え空から 見下ろせば 今ならわかることがある 夕映え空から 見下ろせば ただ弱虫なだけだった どこの町にも そっとある 駅裏通りの 盛り場は 手負いの鳥が 集い来て 羽を休める 癒し酒 いつも誰かが 来なくなり 見舞い程度の 噂して 急に無口に 項垂れて ふらり蹌踉けて 店を出る 夕映え空から 見下ろせば 今ならわかることがある 夕映え空から 見下ろせば 一人ひとりが 辛かった 夕映え空から 見下ろせば 今ならわかることがある 夕映え空から 見下ろせば ただ弱虫なだけだった 夕映え空から 見下ろせば 今ならわかることがある 夕映え空から 見下ろせば 一人ひとりが 辛かった |
愛はまだ輝きの中永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 国吉良一 | 暗い影が知らぬ間に 二人の隙間に 忍び込んでいたこと 気付かないでいた どこで何をしていようと 無関心でいた それが大人の男と女の流儀と 勘違いして 愛はまだ輝きの中 目映いばかりの 閉ざされた開き窓を 二人で開けよう 花はまだ枯れてなかった 窓辺のベゴニア 部屋の埃払って 暮らし始めよう 背中合わせに聞いていた 互いの寝息を いたわりの言葉さえ 掛けそびれていた いつか心もすれ違い 触れ合い失くして それが自然な男と女の結末と 諦めていた 愛はまだ輝きの中 目映いばかりの 閉ざされた開き窓を 二人で開けよう 花はまだ枯れてなかった 窓辺のベゴニア 部屋の埃払って 暮らし始めよう 愛はまだ輝きの中 目映いばかりの 閉ざされた開き窓を 二人で開けよう 花はまだ枯れてなかった 窓辺のベゴニア 部屋の埃払って 暮らし始めよう 暮らし始めよう |
当世酒場唄鳥羽一郎 | 鳥羽一郎 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 蔦将包 | 景気が悪くて いけないね カウンター隣りの 常連客の 酒が言わすか 愚痴また愚痴を 黙って聞いてる 一人酒 あぁ、当世 世の中は 小賢(こざか)しい奴等が幅利(き)かせ 俺らみたいなヨ 昔気質(かたぎ)の 馬鹿正直にゃヨ 居場所がない 安酒でなんですが よかったら 一杯受けて くれますか 時代がなんとも いけないね 酒場主人の 漫(そぞ)ろ言葉 誰に聞かすか 昔語り 黙って聞いてる 一人酒 あぁ、当世 世の中は 人情を口説(くど)けば 笑われる 人と人とはヨ 一期一会の 情けの糸でヨ 繋がれている 新参者ですが 近付きに 一杯受けて くれますか あぁ、当世 世の中は 懐(ふところ)の重さで 人量る 男の値打ちはヨ 修羅場くぐり抜けた 背中で見せるヨ 優しさにある 僭越至極(せんえつしごく)ですが 近付きに 一杯受けて くれますか 安酒でなんですが よかったら 一杯受けて くれますか |
献杯永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 萩田光雄 | ひょっこりいつも 現れた カウンター席の 端っこに イカの塩辛 肴にして 夏でも熱燗 呑んでいた 目立たないけど 目立ってた 黙って話しを 聞いていた 人の心に 寄り添った 誰にも優しい やつだった 皆んな集まり 馴染みの店で 今夜も飲んでは いるけれど お前がいなくなって 寂しくなったよ 今夜もお前に 献杯 本音言うほど 野暮じゃなく さりとて軽い 訳じゃない 涙脆さを 隠すため 乾いた風を 纏ってた 聞かずもがなを 聞いてみた 余計なことだと 知りながら 苦労重ねた 身の上を 愚痴にも語らず 旅立った 皆んな集まり 馴染みの店で 今夜も飲んでは いるけれど お前がいなくなって 寂しくなったよ 今夜もお前に 献杯 他人行儀な 顔をして 思い思いに 偲び酒 空のコップに 酒を足し お前の分まで 飲み干した お前がいなくなって 寂しくなったよ お前がいなくなって 寂しくなったよ お前がいなくなって 寂しくなったよ 今夜もお前に 献杯 今夜もお前に 献杯 今夜もお前に 献杯 |
美ら旅氷川きよし | 氷川きよし | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 丸山雅仁 | 砕ける波と 珊瑚グリーンの 海が見えたらもうそこは 憧れの島 疲れた体を 癒すため さ迷う心を 叱るため 優しい人に 会いに来ました 文庫本だけ入れて はるばると ハイビスカスは 島乙女のよう きっと叶わぬその夢は 憧れの恋 瞳で想いを 告げたなら 涙の笑顔を くれました 清々しさが 胸に広がる 美しいものに触れて はればれと 強い日射しを 遮るフクギの 木陰(こかげ)はまるでおふくろの ふところの中 小さな体を 折るように 過ぎ行く人と 面影が 美ら旅終えて 会いに帰ろう 今の素直な心の そのままに 美ら旅終えて 会いに帰ろう 今の素直な心の そのままに |
葉桜Kenjiro | Kenjiro | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 貴方のためにと 別れることに決めました 最後のお願いです 私の荷物を送って下さい 楽しい思い出ばかり 浮かんで来ます あれから随分時が 経(た)ったのですね 鏡の中の泣き顔が 似合わない年齢(とし)です 貴方私の若い日を どうぞ返して下さい 貴方のことだけ 責めるつもりはありません 私のいたらなさに 心が離れて行ったのでしょう 今さらおかしいけれど 編み掛けのセーター 仕上げて仕舞っています 着てみて下さい 私と何処か似てたことが せめてもの救いです 可愛い人と幸福(しあわせ)に どうぞ暮らして下さい 鏡の中の泣き顔が 似合わない年齢(とし)です 貴方私の若い日を どうぞ返して下さい どうぞ返して下さい どうぞ返して下さい |
顧みて永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 萩田光雄 | タバコ屋の赤い公衆電話から 三日に一度のふるさと電話 10円玉を右手一杯乗せて 左手でダイヤル回した 手紙の返事を出せない言い訳を 後ろめたさが早口にする 君は頷く「ウンウン」と何か 言い掛けて通話が途絶えた 夢さえなければ すぐに帰りたかった 夢さえなければ 君のそばにいたかった 寝台列車を降り立ったあれから 幾十年かの時が過ぎ去り 都会に憧れ僕が得たものは一体 顧みて何だったのか 虚しいばかりの諦めの気持ちと 少しばかりの要領良さと 君を失くした後悔とそれを 埋め尽くせない哀しみと 夢しかなかった 心支えるものは 夢しかなかった 君に誇れるものは 夢さえなければ すぐに帰りたかった 夢さえなければ 君のそばにいたかった |
親友への手紙永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | ツルノリヒロ | 俺とお前は 無二の親友だから 何かあった時は 連絡してくれよ しばらく会っては いなかったけれど 変わらぬ昔の気持ちで お前となら会える いつだって 学生時代 あいつの教室に 恋文(ラブレター)代わりに届けてくれたっけ 今度帰るさ 二人で飲もう できたらあいつも来れたらいいけど 俺はお前の 晴れの結婚式も 祝ってやれなくて 勘弁してくれよ 大口叩いて 田舎飛び出して 中途半端じゃ帰れない わかってくれるだろう お前なら 覚えているか 下宿屋の近くで 銭湯帰りに焼き鳥食べたこと 今度帰るさ みんなで飲もう 何なら上さん連れて来ればいい 身体壊していると 誰かに聞いた あんなに元気だった お前がまさかだよな そろそろ俺たち のんびりできると 思って楽しみにしていた わからないものだな 人生って これも褒美と 気楽に受け止めて 具合が良ければ旅にでも出ないか 今度帰るさ 相談しよう できたら俺たち長生きしようぜ 今度帰るさ 相談しよう できたら俺たち長生きしようぜ |
暖簾川上大輔 | 川上大輔 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 坂本昌之 | 心にポツンと 寂しさの明りが灯(とも)る やさしい人に逢いたい こんな夜には 温(あた)たかな言葉に ふれたい 暖簾を 潜(くぐ)って 立ち上(のぼ)る湯気(けむり)の行方(ゆくえ)にも さやかな人生 謳(うた)うものがある 明日を信じて 生きたい 馬鹿な 生き方しか どうせ できないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う 死ぬほど 本気で 惚れて 惚れて 惚れて 惚れ貫いた あの女(ひと)に逢いたい こんな夜には 気取った夢など いらない 酔って 男が涙 流せば 見苦しいね すべて 胸にしまえと 今夜も 酒が叱る 馬鹿な 生き方しか どうせ できないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う |
昭和名残り唄青戸健 | 青戸健 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 桜庭伸幸 | ふと湧き出づる 哀しみは 演歌流しの 弾くギター 諦めきれずに 消え残る 昭和時代の 名残り唄 傘を開いて 待っていた 改札口で 雨ん中 薬缶(やかん)沸かして 啜(すす)り合う インスタントの 粉珈琲 都会の片隅 忘られた 六畳一間の 鳥籠で 夢を黙って 聞いていた 炬燵布団(こたつぶとん)に 包(くる)まって ふと込み上げる 切なさは プラットホームの 解(ほつ)れ髪 心が潰れる 済まなさに 故郷(ふるさと)列車の ベルの音 窓を開いて 手を振った 涙笑顔で いつまでも |
風の華加納ひろし | 加納ひろし | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 海峡は 荒くれる波 カモメが 啼き騒ぐ 未練残し発つ 人のように 遠ざかる フェリーボート 温もり求め 人が寄り添う ターミナル 待合室 恋のいのち ちりぢり 儚くも 舞い飛ぶ 風の華 望郷が この胸を突く 夜汽車の 揺籃で 気丈に暮らす 母の姿 映し出す 曇り硝子 人の哀しみ そっと見て来た 鉄道 埠頭駅 愛の記憶 はらはら 寒々と 降り積む 雪の華 海鳴りが 掻き消して行く 激しい 慟哭を 漁火が灯る ぼんやりと 思い出の 集魚灯 慣れない酒に 酔い乱され 抱いて抱かれた 旅の宿 女心 こなごな 憐れにも 砕かれ 波の華 恋のいのち ちりぢり 儚くも 舞い飛ぶ 風の華 |
島の女平浩二 | 平浩二 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 船が出る 船が出る 島が 遠離(ざか)る 青い風 赤い服 貴女 遠離(ざか)る 千切れるほどに 手を振れば 名残りの涙 白い 白いハンカチに 包んでくれた お弁当 また来る また来る あゝ 島の女(ひと) 船が行く 船が行く 貴男 遠離(ざか)る 思い出だけ残して 貴男 遠離(ざか)る さようならとは 今度逢う 約束の言葉 心 こころ疲れたら いつでも島で 待っている いつ来る いつ来る あゝ 街(まち)の男(ひと) 胸を打つ 胸を打つ 初心な 優しさが 世知辛い 世の中に 純な 優しさが 相身(あいみ)互いの 支え合い 人生の旅路 酔って 唄い踊ったら 淡く芽生えた 恋心 また来る また来る あゝ 島の女(ひと) |
夢見鳥島津亜矢 | 島津亜矢 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 川村栄二 | ホームを流れて 行くは終列車 誰もが笑顔で 乗り込んだ 正月 帰省旅 ごんごん ごんごんと 除夜の鐘が鳴る さらさら さらさらと 雪が舞う 雪が舞う 幸福の 春まだき 独り 塒(ねぐら)鳥 あの人恋しと 啼くは川千鳥 人込みの中で 手を繋ぐ 納涼 夏花火 ぽろぽろ ぽろぽろと 涙が頬伝う くるくる くるくると 回る回る 風車 戻りたい 戻れない 心 乱れ鳥 故郷離れて 早幾年か 祭り囃子が 聞こえて来る 豊年 秋祭り とととん とととんと 太鼓が鳴り響く ちちちん ちちちんと 鉦(かね)を撞(つ)く 鉦を撞く 帰りたい 故郷へ 逸(はぐ)れ 夢見鳥 |
うりずんの頃坂本冬美 | 坂本冬美 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 川村栄二 | 恋破れ 夢破れ 今宵もまた涙 目を閉じて 思い出す 赤花(あかばな) 青い空 島の 無垢鳥(むくどり)に 大和(やまと)の水苦く 帰りたい 故郷(ふるさと)は今 うりずんの頃 母恋し 筆便(ふでだよ)り 潮(しお)の香 仄薫(ほのかお)る 小包(つつみ)開け 懐かしい 手作り 油菓子 南風(はえ)よ 涼やかに 小さき老人(おい)の背に 帰りたい 故郷(ふるさと)は今 うりずんの頃 若夏の 初初し 緑葉 胸を打つ 辛くても 生きて行く 宝のこの命 響け 美海(ちゅらうみ)に 三線(さんしん) 大らかに 帰りたい 故郷(ふるさと)は今 うりずんの頃 帰りたい 故郷(ふるさと)は今 うりずんの頃 |
道標ない旅ケイタク | ケイタク | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 閉ざされた部屋の窓を 開けてごらんよ いつまでも そんな風に 塞いでいないで そこにはあの日 希望に燃えて 君が見上げた 青い空が 変わらずに 続いている筈だ 大空に群れなす鳥たちよ 君の声を見失うなよ 青春を旅する若者よ 君が歩けば そこに必ず 道はできる あてのない青春の 橋の途中で すれ違う 人の多くは 名前も知らない 見果てぬ夢を 探し求めて 出会う仲間は それだけに すばらしいのさ 言葉はいらないさ 大空を飛び交う鳥たちよ 今よりはるか高くのぼれよ 青春を旅する若者よ 君が歩けば そこに必ず 道はできる 大空を飛び交う鳥たちよ 今よりはるか高くのぼれよ 青春を旅する若者よ 君が歩けば そこに必ず 道はできる… |
愛し愛されてテレサ・テン | テレサ・テン | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 川口真 | あなたの胸の中で 抱かれて眠りたい 悲しい出来事 あったときは 仕事のこと忘れて そばにいてほしい そして優しい言葉 かけてほしいの たまには 恋人時代のように 映画に出かけて 帰りに食事をして すごしましょう いつもあなたに かわいいやつと 愛されたい 黒髪が 白い雪に染まるまで あなたの足音を 聞くまで眠れない 電話もくれない そんな時は 体のこと考えて 無理をしないでね 思っているほど もう若くないから たまには お部屋でふたりきりで お酒でものんで 思い出話をして すごしましょう いつもあなたを たよれる男性(ひと)と愛していたい 額に 深い波がよせるまで いつも二人は たがいに愛し愛されて 黒髪が 白い雪に染まるまで |
六月の花嫁(June bride)にあこがれ中澤裕子 | 中澤裕子 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 夢の続きをまるで見ている そんな気持ちなの あなたと始めた 愛の暮らしは 窓辺に花を飾ってみたり 壁に絵を掛けたり あなたの帰宅(かえり)に ときめく心 六月の花嫁にあこがれ 子供の頃から 白亜の教会 赤いバージン・ロード 寂しい思いして来た 父と母の離婚(わかれ) 二人の分まで 幸せになるの 内緒でそっとあなたが父に 手紙を書いたこと 後から聞かされ 嬉しかったわ 母も一緒に住めるようにと あなたのやさしさに 涙が溢れて 止まらなかった 愛し合っても不安に 震える心は 悲しいトラウマ 今も拭いきれない 愛の力で乗り越え きっと強くなるわ お腹(なか)に宿った 命のためにも 六月の花嫁にあこがれ 子供の頃から 白亜の教会 赤いバージン・ロード 寂しい思いして来た 父と母の離婚(わかれ) 二人の分まで 幸せになるの |
うらら中澤裕子 | 中澤裕子 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 上杉洋史 | 花のお寺に 届く ひと足早い 春便り 梅の蕾みが 煌りと光り 梢の鶯 啼くばかり 貴方を追って 小走りに 生きて来た 人生の 巣立ちの旅に 思い出を 納めに 来ました うらら 春麗ら うらうら うらら うらら 春麗ら うらうら うらら 苔の山門 上る 石段途中で 立ち尽くし 幻影の霞が 白く煙って 貴方の笑顔が 遠離る 迷う事なく 真っ直ぐに 貫いた この愛を 貴方のために 幸福を 願いに 来ました うらら 春麗ら うらうら うらら うらら 春麗ら うらうら うらら 愛し人の 心が 御百度踏んで 変わるなら 詮無い事と わかっていても 零れた涙の 波の紋 私のどこが 嫌われた 繰り返す 問い掛けに 答え出せない 愚かさを 縋りに 来ました うらら 春麗ら うらうら うらら うらら 春麗ら うらうら うらら |
暖簾五木ひろし | 五木ひろし | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 桜庭伸幸 | 心にポツンと 寂しさの明かりが灯(とも)る やさしい人に逢いたい こんな夜には 温(あた)たかな言葉に ふれたい 暖簾を 潜(くぐ)って 立ち上(のぼ)る湯気(けむり)の行方(ゆくえ)にも ささやかな人生 謳(うた)うものがある 明日を信じて 生きたい 馬鹿な 生き方しか どうせ できないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う 死ぬほど 本気で 惚れて 惚れて 惚れて 惚れ貫いた あの女(ひと)に逢いたい こんな夜には 気取った夢など いらない 酔って 男が涙 流せば 見苦しいね すべて 胸にしまえと 今夜も 酒が叱る 馬鹿な 生き方しか どうせ できないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う |
あまやどり石原詢子 | 石原詢子 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 矢野立美 | やりたいことも あるだろに 他人(ひと)のことを 先にする 苦労話を 聞かされて 涙流す そんな人 あなたの心に あまやどり 傷付いた心が 癒される そばにいても いいですか このまま ずっと 言いたいことも あるだろに 胸に秘めて 我慢する 俺が俺がと 世知辛い 世間に背を 向けた人 あなたの心に あまやどり 忘れてた心を 思い出す 付いて行って いいですか このまま ずっと 他にお店も あるだろに 同じ席で 同じ酒 偉そうなこと 口にせず 笑顔見せて くれる人 あなたの心に あまやどり 間違った心が 正される 連れて行って くれますか これから ずっと |
男と女の飲む酒は…角川博 | 角川博 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 桜庭伸幸 | 男が酒を飲む夜は 世間の辛さが身に沁みる 叱って 叱って 叱りつけ 自分の心の弱さを 運の悪さを恨んでは 人の想いを踏みにじる 男は孤独の友がいる 今日で止めよう 恨むのは 明日があるさ 明日があるさ 今がどんなに辛くても 明日があるさ 明日があるさ 信じて生きてりゃ きっといいことあるさ 女が酒を飲む夜は 別れた男を思い出す 拭(ぬぐ)えど 拭えど 留処なく 涙が溢れて零(こぼ)れる 好きで拗ねて強がって 人の優しさ傷つけた 女は抱かれて夢を見る 今日で止めよう強がりは 明日があるさ 明日があるさ 今は一人が辛くても 明日があるさ 明日があるさ 信じて生きてりゃ きっといいことあるさ 明日があるさ 明日があるさ 今がどんなに辛くても 明日があるさ 明日があるさ 信じて生きてりゃ きっといいことあるさ |
ルリカケス永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 波穏やかな瀬戸内の 久慈の入江に佇めば あの日幼き母さんの おてんば姿が目に浮かぶ 辛いばかりが人生と あなたを見てて思ったけれど こんな素敵な島育ち 良かったね母さん ルリカケス ルリカケス 泣いて心が晴れました 乙女十六 島を出て 帰ることなく天国へ 夜毎幼き子供等に 教えてくれた島言葉 いつか大人になった時 あなたと訪ねてみたかった 苦労ばかりを背負わせて ごめんね母さん ルリカケス ルリカケス そばにいるよな気がします 明日は旅立つ名瀬の夜 唄者奏でる島唄に 思い重なる愛加那の 悲しい別れの物語 二度と逢えない切なさに 死ぬことばかり思ったけれど こんな素敵な島の血を ありがとう母さん ルリカケス ルリカケス 生きる勇気を ありがとう ルリカケス ルリカケス そばにいるよな気がします |
夏の蝶大石円 | 大石円 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 逢いたい人に 逢えなくて 性格がいつも 邪魔をする 裸の心 曝け出したら 今すぐ 飛んで行きたい 秋が 時雨ても 冬が 吹雪いても 貴方を想えば 春の風が吹く 今が 辛くても 明日が 辛くても 貴方を想えば 夢に包まれる 恋する人に 愛されて 細やかな暮らし 生きて行く この人生を また始めから もう一度 やり直せたら 人に 踏まれても 時が 見捨てても 貴方が望めば 私 付いて行く 胸が 破れても 命 失くしても 貴方が望めば 夏の蝶に 舞う 秋が 時雨ても 冬が 吹雪いても 貴方を想えば 春の風が吹く 今が 辛くても 明日が 辛くても 貴方を想えば 夢に包まれる |
傷心キム・ランヒ | キム・ランヒ | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 国吉良一 | 愛していたと ひとこと言って 一度は私を 誰よりも それで黙って 戻って行くの ひとりぼっちの私に 人込みに 肩ぶつけて すれ違う人に 叱られて ふと 自分に返って 惨めな気持ちになる 他の誰かと 幸せの階段上る 好きだったからこそ 密かに 身を引く 愛していたと ひとこと言って 一度は私を 誰よりも それで黙って 戻って行くの ひとりぼっちの私に 突然の にわか雨に ずぶ濡れの髪を ハンカチで そっと 拭ってくれた それが初めての朝 心優しい 臆病な貴方のこと 苦しめたくないから この街 出て行く 愛していたと ひとこと言って 一度は私を 誰よりも それで黙って 戻って行くの ひとりぼっちの私に 愛していたと ひとこと言って 一度は私を 誰よりも それで黙って 戻って行くの ひとりぼっちの私に ひとりぼっちの私に |
約束愛広畑あつみ | 広畑あつみ | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 孤独な街角で 男と女 神はいたずらに 二人巡り合わせ 報(むく)われぬ 愛の行方を 知りながらも 試すつもりか この髪 この瞳(め)も この手も この口唇(くちびる)も すべて貴方のために創られた 母に抱(いだ)かれ 眠る児(こ)のように 貴方に安らぎ 与えたい 窓硝子に映る 都会の景色 人の心から それは生まれたもの 色もなく 殺伐として 愛なしでは 生きて行けない この花 この皿 この絵も この手料理も すべて貴方のために飾られた 部屋の明かりを いつでも灯して 貴方の訪れ 待っている この髪 この瞳(め)も この手も この乳房も すべて貴方のために創られた 母に抱(いだ)かれ 眠る児(こ)のように 貴方に安らぎ 与えたい |
達磨(だるま)日高正人 | 日高正人 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 桜庭伸幸 | 名前知れない 花なれど 愚痴らず誇らず 咲いている 横殴る風にも耐え 春に生命を 尽くすよう まして 人間ならば 倒れても 起き上がれ 達磨人生は いつか必ず 墨が入り 花開く 流れ険しき 川なれど 魚は休まず 溯る 岩肌に 傷付いても 明日に生命を 継ぐため まして 人間ならば 辛くても 夢を持て 忍人生は 心の刃 叩かれ 強くなる 肩に優しき 雨なれど 滴は石をも 穴穿つ ちっぽけな 水たまりも いつか大きな 海になる まして 男なら 揺るぎない 意志を持て 棘人生は ひと山越えて 情の 実をつける |
約束愛キム・ランヒ | キム・ランヒ | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 国吉良一 | 孤独な街角で 男と女 神はいたずらに 二人巡り合わせ 報(むく)われぬ 愛の行方を 知りながらも 試すつもりか この髪 この瞳(め)も この手も この口唇(くちびる)も すべて貴方のために創(つく)られた 母に抱(いだ)かれ 眠る児(こ)のように 貴方に安らぎ 与えたい 窓硝子に映る 都会の景色 人の心から それは生まれたもの 色もなく 殺伐(さつばつ)として 愛なしでは 生きて行けない この花 この皿 この絵も この手料理も すべて貴方のために飾られた 部屋の明かりを いつでも灯(とも)して 貴方の訪れ 待っている この髪 この瞳(め)も この手も この乳房も すべて貴方のために創(つく)られた 母に抱(いだ)かれ 眠る児(こ)のように 貴方に安らぎ 与えたい |
春告げ鳥山崎ともみ | 山崎ともみ | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 若草恵 | 春告げ鳥が 野山で鳴いて きらきら 雪解け水が 小川に 注ぐ 恋をしました 好きな人がいます 母さんに まだ内緒です 母さんに まだ内緒です 優しいくせに 意地っ張りで 父さんに 似ています 短い夏が 駈け抜けて行き 木の葉が 色ずく頃に 告白します おんなじ苦労 させたくないからと 母さんに 叱られるけど 母さんに 叱られるけど 海の男の 誇りが好きで 父さんを 慕ってた 絡めた腕に 形見の時計 抱かれて 堪えきれずに 涙が ぽろり 夢を見ました 子供の手を引いて 母さんと 港にいます 母さんと 港にいます 大漁旗の 船で肩組む 父さんと あの人が |
秋麗門倉有希 | 門倉有希 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 落葉の舞う 公園で 一人ベンチに 腰掛けて 貴方を想う 昼下がり 穏やかな 木洩れ日 通り過ぎる カップルの 幸福(しあわせ)そうな 足音が 瞳を閉じて 重なる あの頃の 二人に 恐くなかった 迷わなかった 永遠だと 思った この唇が 乾く間もなく 貴方と 愛し合っていた 夢のような 毎日を 哀しみ色に 変えたのは 貴方の白い ワイシャツに 着いていた 紅痕(べにあと) 何も聞かず 飛び出した 衝動と言う 汽車に乗り 今ならきっと 許せる 他愛(たわい)ない 遊びと いつか再び 二人出会って 恋を やり直せたら この髪の毛が 色褪せるまで 貴方を 決して離さない 恐くなかった 迷わなかった 永遠だと 思った この唇が 乾く間もなく 貴方と 愛し合っていた 貴方と 愛し合っていた |
すずらん通り門倉有希 | 門倉有希 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | すずらん通りを 通り抜け 灯りの途絶えた 一角に ひとつぼんやり 居酒屋の 赤提灯 揺れている 言葉少なに 男たちが 憂さ晴らしに 飲む酒 愛し あゝ あゝ あの人の 寂しい背中を 思い出す 群れに馴染まぬ 者どうし 目と目を合わせた それだけで 心通わす 夜もある 身体通わす 夜もある 情に絆(ほだ)され 女たちが 嘘を承知で 飲む酒 哀し あゝ あゝ あの人は 今頃どうして いるだろか 理屈で割れぬ 男と女 差しつ差されつ 飲む酒 可笑(おかし) あゝ あゝ あの人が そっと肩を叩く 気がする あゝ あゝ あの人の 寂しい背中を 思い出す 今頃どうして いるだろか |
想夫恋坂本冬美 | 坂本冬美 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | もしもお前が男だったら 天下取るよな 器量の男 そんな言葉の溜め息ついた 貴方の 辛さ弱さ解るけど 私が一生賭けて 惚れた人だから 愚痴る酒より 夢見る酒を 大きな男でいてほしい 強く見えても 女は女 口で言うのと 心は違う 些細な気持ちに躓く夜は 震える 身体ずっと抱いていて 親の反対押して惚れた人だから 責める酒より 許せる酒を 優しい男でいてほしい 男三十路は 小僧と同じ 女三十路に 咲く情け花 他人を踏むよな 出世なら要らぬ 言い切る 潔さが いとおしい この人ならと信じ 惚れた人だから 食らう酒より 味わう酒を 粋な男でいてほしい 粋な男でいてほしい |
女の酒場小金沢昇司 | 小金沢昇司 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 今にも降りそな 空のよう 溜まった涙 あふれ出す 人が見るのも 構わずに 思い切り 泣いた 優しい貴方の 面影を この唄聞けば 思い出す 傷つくことは 初めから 知っていたけど 恋しいよ 恋しいよ 背中が 恋しいよ 逢いたいよ 逢いたいよ もう一度 逢いたい 倚(よ)りかかる 背凭(もた)れもない 女の止まり木 心に残った 未練酒 時間が行けば 苦(にが)くなる 強がり足(た)して 薄めても 辛さに 噎(む)せた どこかに貴方の 残り香(が)が 残っていそうな あの部屋に ひとりぼっちが 寒いから 帰りたくない 寂しいよ 寂しいよ 身体(からだ)が 寂しいよ 飲みたいよ 飲みたいよ 忘れて 飲みたい 酔うほどに 想い乱(みだ)れる 女の酒場 恋しいよ 恋しいよ 背中が 恋しいよ 逢いたいよ 逢いたいよ もう一度 逢いたい 酔うほどに 想い乱れる 女の酒場 |
想い永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | どうしたなら この苦しみを 逃れることが出来るのか 何と唄えば 僕の想いが 君に伝わるのだろうか 編物を膝におき 君がまどろむ部屋に 僕は風になって 窓からしのびこみ 君の眠りの中に 溶けこんで行きたい もう幾日 過ぎただろうか 長い夜な夜なを見届けて 灯りに集う 虫達にさえ 優しくなるのは何故だろう 愛を綴る言葉は あまりに少な過ぎて 僕は手紙の中の 小さな文字になり 君の心の中に 溶けこんで行きたい 君の心の中に 溶けこんで行きたい 君の心の中に 溶けこんで行きたい |
捨て猫永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 信じた男に 捨てられて ボロボロになった 私に 何か暖まるものをください 寒くて今にも死にそうなんです 浮かれた夜の盛り場に 迷い込んだ私を あんた ほしいなら抱いていいよ 男は みんな同じだから 愛し過ぎるのが どうしていけない 教えてほしいよ 円(まる)いお月様 夜中に何度も 眼が覚めた カラカラに喉が 渇いて 明かりも消さずに 服も着替えず 眠っても誰も叱ってくれない 子供の頃の思い出が 夢の中に 甦(よみがえ)る 親の優しさが懐かしいよ 大人はとても難しいから 尽くし過ぎるのが どうしていけない 教えてほしいよ 壁のリトグラフ 三十半ばの盛りに 一人暮らしのマンション ニ度と恋なんかしたくないよ 心が辛過ぎるから 女が手酌で飲むのはおかしい 今夜も泣いてる 哀れな捨て猫 今夜も泣いてる 哀れな捨て猫 今夜も泣いてる 哀れな捨て猫 |
愛し愛されて永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | あなたの腕の中で抱かれて眠りたい 悲しい出来事あった時は 仕事のこと忘れて そばにいてほしい そして優しい言葉 かけてほしいの たまには 恋人時代のように 映画に出掛けて 帰りに食事をして 過(すご)しましょう いつもあなたに 可愛い奴と 愛されたい 黒髪が白い雪に染まるまで あなたの足音を聞くまで眠れない 電話もくれないそんな時は 体のこと考えて 無理をしないでね 思っているほどにもう若くないから たまには お部屋で二人きりで お酒でも飲んで 思い出話しをして 過しましょう いつもあなたを 頼れる男性(ひと)と 愛してたい 額に深い波が寄せるまで いつも二人は 互いに愛し 愛されて 黒髪が白い雪に染まるまで |
つまさき坂永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 爪先上がりの坂道で 偶然君と出会ったのは 春の日にしては肌寒く 日射しの頼りない午後の事 うつむき加減に坂を下りて来る君を 僕はもう疾くに立止まり見ていた ふと目を上げたその顔は まるで病葉(わくらば)が散るように 微かに揺れた その場に二人は立ち尽くし 暫くは思い出に迷い込む 再びざわめきが戻って来ると 軽く会釈をして通り過ぎた 擦れ違い様のあるなしのそよ風に 君の香水の芳りが漂う それはいつでも君からの 便りにそっとさりげなく 添えられていた 随分君も変わったね 薄く口紅も引いてたみたい お化粧嫌いの君を誰が そんなに自由に操っているのか 徒らに過ぎる時に戸惑いながら 僕はまだ君の面影に逡巡(ためら)う 足早に行く君の背は 雲に濾(こ)された日の光に 空しく消えた 雲に濾(こ)された日の光に 空しく消えた |
桜桃忌~おもいみだれて~永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 襟元に吹く風が 心地よく肌に馴染む 衣更えが恋しく思える 今年も夏が来た 帰らない青春と ともに戻らぬ人 いつもならば 忘れているのに 思い出す 桜桃忌 若さは 時として残酷で 小さな生命(いのち)さえも奪って行く 貴方は他の誰よりも素直に生きていたわ ただ ほんの少し先を 急ぎすぎただけのこと 本棚の片隅に 貴方から借りた太宰 徒らに頁を捲(めく)れば 拙い走り書き 傾いた青春に 眩しい夏日差し 思いきり 駆け出したいけど 頼りなく 後ずさり 若さは 時として残酷で 小さな過(あやま)ちさえも引き摺って行く 貴方は他の誰よりも私を愛してくれた ただ ゆくと知っていたなら あんなまでに 溺れなかった 貴方は他の誰よりも素直に生きていたわ ただ ほんの少し先を 急ぎすぎただけのこと |
暖簾永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 心にポツンと 寂しさの明りが灯る やさしい人に逢いたい こんな夜には 温たかな言葉に ふれたい 暖簾を 潜(くぐ)って 立ち上る湯気(けむり)の行方にも ささやかな人生 謳(うた)うものがある 明日(あした)を信じて 生きたい 馬鹿な 生き方しか どうせ できないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う 死ぬほど 本気で 惚れて 惚れて 惚れて 惚れ貫いた あの女(ひと)に逢いたい こんな夜には 気取った夢など いらない 酔って 男が涙 流せば 見苦しいね すべて 胸に蔵(しま)えと 今夜も 酒が叱る 馬鹿な 生き方しか どうせ できないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う 心にポツンと 寂しさの明りが灯る やさしい人に逢いたい こんな夜には 温たかな言葉に ふれたい |
蘇る夏永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 夏空に響き渡る 蝉の鳴き声が 人の心打つのは 命の儚(はかな)さ のんべんだらり 時の峡間(はざま)で 当てもなく揺れて 現実(いま)を生き抜く 情熱もなく 未来(あす)を憂えてる 暗い倉庫の中で 息を潜(ひそ)めてた 近づく鬼の足音を 聞いてた隠れんぼ 見つけられずに このまま夜に 忘れられたら そんな恐怖と戦いながら 闇の中にいた 呼び戻せ 無垢な魂を あの日の光の中に 取り戻せ 失(な)くした誇りを この手の中に 水道の蛇口に 口を押し付けて 喉の渇き癒(いや)した 十五歳の夏 泥に塗(まみ)れて 膝を擦り剥き 暗くなるまで たった一つの 白いボールを 追い掛けていた 呼び戻せ 無垢な魂を あの日の光の中に 取り戻せ 失くした誇りを この手の中に 夏空に響き渡れ 俺の歌声よ 君の心 揺さぶれ 熱く、熱く、熱く 呼び戻せ 無垢な魂を あの日の光の中に 取り戻せ 失くした誇りを この手の中に 呼び戻せ 無垢な魂を あの日の光の中に 取り戻せ 失くした誇りを この手の中に この手の中に その手の中に |
カトレア永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 新聞受けの音で 目が覚めて ねむけ眼(まなこ)で お湯を沸かして 珈琲の香りを 嗅いだなら 僕の一日が 始まる やり掛けの仕事が テーブルに 散らかったまま 時を急(せ)かして 積み上げた 本の間から 君の写真が 微笑(ほほえ)む 声高に聞かせるほどの 夢はなく 毎日が穏やかに 過ぎて行けばいい 振り向いてただ 後悔しないように 僕は生きて行きたいだけ 踏切を待つ人の その中で 髪の寝癖を そっと直して 駆け出した 風の冷たさに 季節の変わり目を 感じる 街の景色が移る 電車窓 人間(ひと)の生活(いとなみ) 愛しく思う 駅前の花屋で 立ち止まり 君を少しだけ 想う 幸福(しあわせ)を競うほどの 欲もなく 毎日を直向(ひたむ)きに 過ごせたならいい 振り向いてただ 後悔しないように 僕は生きて行きたいだけ 声高に聞かせるほどの 夢はなく 毎日が穏やかに 過ぎて行けばいい 振り向いてただ 後悔しないように 僕は生きて行きたいだけ |
飛鳥永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 何処までも続く 青空はない 森羅万象(すべてのもの)に 限りある 生命(いのち) 人は 喜びの日を 人は 哀しみの日を だから 共に 花で 飾る 飛鳥 遥かな 旅立ちに あなたの魂よ 安らかに 瞑(ねむ)れ 窓辺に 落ちた 日溜りのような みんなが あなたの 笑顔に 集まった 夢を 抱(いだ)き続けて 愛を そのままに生きて そして 永遠(とわ)へ 生まれ 変わる 飛鳥 遥かな 旅立ちに あなたの 魂よ 安らかに 瞑れ 飛鳥 遥かな 旅立ちに あなたの 魂よ 安らかに 瞑れ 飛鳥 遥かな 旅立ちに あなたの 魂よ 安らかに 瞑れ 飛鳥 遥かな 旅立ちに あなたの 魂よ 安らかに 瞑れ |
お遍路永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 鈴を打ちならし 日翳を選んで通る あれはお遍路よ 島を巡り歩く 人生の重みを杖一つで やっと支えながら 老いた身体(からだ)には 山路は嘸(さぞ)や辛かろ 畦の紅蓮華 乾いた心に染みる 死んだお遍路の 生まれ変わりの姿 人生に幾たび騙されても じっと怺えてきた 旅の草疲(くたび)れを 落ち着ける場所を尋ねる |
恋はゆっくり時間をかけて永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 恋はゆっくり時間をかけて 愛の余韻を楽しむように ロマンチックに 追ってほしいの ふざけ過ぎた 真夜中パーティー 月明りに 波の甘いざわめき ノスタルジックな 気分に任せ 港を離れる 船の汽笛にも 二人の憧れ 果てしなく広がる 恋はゆっくり時間をかけて お伽噺に夢中な今夜 アバンチュールな 潮風に誘われ 戻れない 気紛れゲーム メリー・ゴー・ラウンド 男と女は ドラマチックに 愛してほしい 埠頭に輝く 星の光にも 何億光年 旅が今 始まる 恋はゆっくり時間をかけて お伽噺に夢中な今夜 恋はゆっくり時間をかけて 愛の余韻を楽しむように 恋はゆっくり時間をかけて 愛の余韻を楽しむように ラララ…… |
屋台永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 愛想の足りないこの俺を お前は健気(けなげ)に庇うのか 故意(わざ)とふざけて 羽目はずし お客と笑う声がする 博多で 屋台を初めて十ヶ月(とつき) この頃少し 慣れてきたけど 雪の雪の雪の降る 寒い冬の 水がお前には 冷たかろう 慣れない手つきで 串を焼く 無口なあなたについて行く 馬鹿がつくほど 正直で 上手(うま)く心を 騙(だま)せない 突然 会社を辞めて来たよと ゴロンと横に なって眠った 好かん好かん好かん と思っても そんなところに 惚れている 女がひとりで 酔い潰(つぶ)れ 別れた男を想うのか 人生舞台の 裏側に 人間(ひと)の真実(ほんと)の顔がある ラーメン屋台の 湯気の中から 泣いて剥(はが)れた 化粧が見える きっときっときっと来る 春の日が 笑って話せる 時が来る きっときっときっと来る 春の日が 笑って話せる 時が来る |
メリー・クリスマス永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 待ちわびて 白い雪は今年も クリスマスの朝には 間に合いそうにない 鉢植えの 赤いポインセチアを どこへ飾れば 貴方の気をひくかしら 部屋の灯りを 少し暗くして キャンドル・ライトに 顔を寄せ合い 朝が来るまで お話ししましょう 特別な夜だから メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス 贈り物 素敵なカードを添えて 気に入ったなら 頬にキスして くれるでしょうか 部屋の灯りを 少し暗くして キャンドル・ライトに 顔を寄せ合い 朝が来るまで お話ししましょう 特別な夜だから メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス メリー・クリスマス |
道標ない旅永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 閉ざされた 部屋の窓を 開けてごらんよ いつまでも そんな風に 塞(ふさ)いでいないで そこにはあの日 希望に燃えて 君が見上げた 青い空が 変わらずに 続いている筈だ 大空に群れなす 鳥達よ 君の声を 見失うなよ 青春を旅する 若者よ 君が歩けば そこに必ず 道はできる 当てのない 青春の 橋の途中で 擦れ違う 人の多くは 名前も知らない 見果てぬ夢を 探し求めて 出会う仲間は それだけに 素晴らしいのさ 言葉はいらないさ 大空を翔び交う 鳥達よ 今より遥か 高く上れよ 青春を旅する 若者よ 君が歩けば そこに必ず 道はできる 大空を翔び交う 鳥達よ 今より遥か 高く上れよ 青春を旅する 若者よ 君が歩けば そこに必ず 道はできる ラララ…… |
女の酒場五木ひろし | 五木ひろし | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 今にも降りそな 空のよう 溜まった涙 あたれ出す 人が見るのも 構わずに 思い切り 泣いた 優しい貴方の 面影を この唄聞けば 思い出す 傷つくことは 初めから 知っていたけど 恋しいよ 恋しいよ 背中が 恋しいよ 逢いたいよ 逢いたいよ もう一度 逢いたい 倚(よ)りかかる 背凭(もた)れもない 女の止まり木 心に残った 未練酒 時間が行けば 苦くなる 強がり足して 薄めても 辛さに 噎せた どこかに貴方の 残り香が 残っていそうな あの部屋に ひとりぼっちが 寒いから 帰りたくない 寂しいよ 寂しいよ 身体が 寂しいよ 飲みたいよ 飲みたいよ 忘れて 飲みたい 酔うほどに 想い乱れる 女の酒場 恋しいよ 恋しいよ 背中が 恋しいよ 逢いたいよ 逢いたいよ もう一度 逢いたい 酔うほどに 想い乱れる 女の酒場 |
暖簾大月みやこ | 大月みやこ | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 心にポツンと 寂しさの明かりが灯(とも)る やさしい人に逢いたい こんな夜には 温たかな言葉に ふれたい 暖簾を潜(くぐ)って 立ち上る湯気(けむり)の行方(ゆくえ)にも ささやかな人生謳(うた)うものがある 明日を信じて 生きたい 馬鹿な 生き方しか どうせできないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う 死ぬほど本気で 惚れて 惚れて 惚れて 惚れ貫いた あの女に逢いたい こんな夜には 気取った夢など いらない 酔って 男が涙 流せば 見苦しいね すべて 胸にしまえと 今夜も 酒が叱る 馬鹿な 生き方しか どうせできないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う |
ひと握りの幸福永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | 永井龍雲 | | 新しい靴を買って貰って 喜び勇んで 少年が駆けて行く 気を付けるんだよ ぬかるんでいるから 明日は きっと 晴れるだろう 君が飛び越えた 水溜まりにも 青空が きらめき広がる 息衝いているね すべて皆 一握りの幸福に… 公園の隅の 僅かな日溜まりで ベンチに凭れて 老人がうとうとと 遊ぶのに飽きた 小犬が膝元で “帰ろうよ”と鼻を鳴らす 独り照れながら ブランコを漕ぐ 大空へ心よ 羽ばたけ 大切にしたい この時を 一握りの幸福を… 君が飛び越えた 水溜まりにも 青空が きらめき広がる 息衝いているね すべて皆 一握りの幸福に… |