1位は、現在のところCD発売が未定のMr.Children「かぞえうた」。本作は、東日本大震災支援のチャリティーソングとして4月4日に急遽配信限定でリリースされた楽曲で、"曲を作って人を感動させるという行為も、この災害を前に不純に思えてしかたなくて、どうしたらいいのか何日か悩んでいた"という公式のコメントにも大きな共感を得た。ap bankなどこれまでの地道な支援活動を知っていれば、"不純"に思えないものだが、ここまで説明しないと心なき誹謗中傷が起こってしまう、というのも現代の哀しい一面も垣間見える。それにしても、Mr.ChildrenのCDシングルは08年9月の「HANABI」から止まっており、以降のシングルはいずれも配信限定となっている。90年代からパッケージの魅力を牽引してきた彼らだけに、その動きは業界全体にも影響を与えそうだ。
2位はソナーポケットの新曲で、第20回「数字うたTOP15」でランクインした2曲でそのシンプルでハートフルな歌詞が浸透し、上位常連となったようだ。彼らがORANGE RANGEやAqua Timezが築いてきた男の泣け歌路線を継承していくのか注目したい。ちなみに、アルバムではORANGE RANGEやAqua Timezと同様に、よりテクニカルでファンキーな楽曲も披露している。そういえば数字うたではRakeの「100万回の「I love you」」もヒット中。そろそろどこかの番組が"今年は数字うたに注目!"という特集をしてくれないか期待している(そうすれば、当コーナーの読者の皆さんが、最もトレンディになるので(微笑))
ランキング中のタイアップを調べてみると、TV関係が4作(次点、次々点を含めて6作)、映画が3作で、やはりCD発売前からお茶の間で楽曲が流れるものは歌詞検索にも繋がりやすいことが分かるが、その一方でノンタイアップ曲が過半数となっていることも興味深い。90年代と比べるとCDランキング上でもヒット曲のタイアップは減っているが、それはジャニーズやAKB関連などアイドルグループの上位入りが顕著となっていて、歌詞検索で人気のノンタイアップ・アーティストとはやや異なっている。歌詞検索上位のノンタイアップ組を具体的に見ると、震災復興への関心と大御所感で上位のMr.Children、同年代女性の憧れである西野カナ、"お祭り男"として認知を高めているナオト・インティライミ、"ポスト・ファンモン"の座を狙えるシクラメン、K-POPのTOPグループにいる少女時代、歌詞での評判が常に高い奥華子、EXILEの妹分となる7人組のHappiness、女性アーティストとのコラボが人気の男性ラッパーWISEなど、ヤング層に人気のアーティストという共通点以外は、ジャンルも経歴もバラバラだ。
つまり、CDや着うたよりも、よりリベラルな環境で、人気曲をいち早く知ることが出来るというのが歌詞検索ランキングの一つの特徴ではないだろうか。確かに、コアファンに向けてCDの初回盤の種類を増やしたり、イベントの回数を増やしたりすれば露骨なまでにCDランキングは上がるが、歌詞検索ではより幅広いリスナーに関心を持たせることがポイントとなっており、それぞれのヒットの意味は大きく異なっている。ヒットの仕方と作品の優劣は決して比例するものではないが、少なくとも歌詞検索で上位となれば、そこから大衆に広がりうる可能性は十分にあるのだ。以上、歌詞検索で人気の最新曲は、多彩な顔ぶれとなることが分かった。このようなランキングが、CDランキング並みに多くの人に注目されるようになれば、より大衆的なヒット曲が増えるのではないかと期待している。