「ばかみたい」は妹がインスピレーション。

 2021年8月25日に、デジタルシングル「歌って」でメジャーデビューを果たした“松本千夏”が10月20日にデジタルシングル「ばかみたい」をリリースしました。彼女が4年ほど前に制作し温めていた楽曲。日々過ごす中で、とくに若年層が抱える“葛藤”や“生きづらさ”を綴った、シリアスなリリックに注目です。さらに、11月24日には「さえたろう」をリリース!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“松本千夏”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾です。綴っていただいたのは、10月にリリースした新曲「ばかみたい」についてのお話です。彼女が2個下の妹を見て、歌詞を書いたというこの曲。その在り方に、自分が重なる方もいるのではないでしょうか。是非、歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください!



私には2個下の妹がいる。
 
踊ったり演じたり表現するのが好きで、動物に優しくて、料理がうまい。いつもお洒落な服を着て、どこか色気があって女っぽい。
 
だけども家族が知っている妹は、くだらないことですぐ笑って、くだらないことですぐ泣く。自分が好きなことには全力だけど、嫌いなことは一切やらない、というよりやれない。そして誰よりも負けず嫌いで、ストイックで熱い。
 
小さい頃、妹はよく、友達と遊びに行く私の後ろをついてきて一緒に遊んだ。おしゃべりな私とずっと一緒にいたせいか、妹は人見知りで、基本喋るのが苦手だ。
 
気に入らないことがあるとすぐ怒り喧嘩になる私とは逆に、妹は我慢して家で一人泣くタイプの人間だと思う。
 
昔から、悲しい時に悲しい、辛い時に辛いというのを人に言わず家まで持ち帰ってくる。なんでも家に持ち帰り心にしまい、私や母にも全然相談しない。それは多分、自分の感情を上手く言葉にできないんだと思う。そんな本音を押し殺して生きている妹を見て私が19歳の時に「ばかみたい」が生まれた。
 
あれから数年、妹は自分を表現出来る居場所を見つけた。それは舞台である。妹は舞台に立った瞬間いつも豹変する。あんなに不器用な妹が舞台では喜怒哀楽を表現してオーラを放っている。
 
 
日常で本音が喉に詰まって言えなくても、今ではそれをわかってくれる人が妹の周りにはいるし、妹にはちゃんと自分を表現できる居場所がある。
 
「ばかみたい」と思っていた世界は、「いつか変わってやる、私らしく生きていく」という気持ちと行動力で変えられる。
 
妹を見て沸いた歌詞である。

<松本千夏>



◆紹介曲「ばかみたい
作詞:松本千夏
作曲:松本千夏

配信リンク: https://chinatsu-matsumoto.lnk.to/bakamitai