セッションすること。

 2023年1月18日に“松本千夏”がDigital Single「Smile in your face」をリリースしました。山下達郎の「SPARKLE」をサンプリングして制作され、2002年にリリースされた日本のR&B史に残るクラシック楽曲「Smile in your face BOO feat.MURO」をこの令和時代にカバー&リアレンジ。さらにラップパートには、KICK THE CAN CREWのLITTLEが参加!世代を超えたコラボレーションによる、豪華な1曲に仕上がっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“松本千夏”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作「Smile in your face」にも通ずる“セッションすること”についてのお話です。学生時代とも、お酒を酌み交わしながらの時間とも違う、音楽でのセッションの魅力とは…。新曲と併せて、エッセイをお楽しみください。



二十歳を超えてから、手っ取り早く人と距離を縮めるための手段としてお酒を活用している。
 
学生の頃は休み時間やお弁当の時間、放課後プリクラ撮ってサイゼで部活の愚痴や恋バナで盛り上がって、時間をかけて友達と絆を深めたけど、今は時間がないからそうもいかない。
 
この人はどんな人なんだろうと気になったら、「飲みに行こう」と誘うようになり、誘われるようにもなった。
 
飲みながら探り探り、聞いたり聞かれたりして徐々に相手を知っていく。
 
ほろ酔いじゃないと、なかなか心が開けないなんて少し面倒くさくなったな、とも思う。
 
ただ、アーティストと向き合う時だけは、唯一違ったやり方で相手を知ることが出来た。
 
この人どんな人なんだろうと思ったら、セッションをしたくなる。
音楽に乗せて気持ちよく歌ったり、演奏したりしてると、だんだんその人の癖が見えてくる。
そして目が合うと、一瞬で心が繋がるような気がする。
 
相手の表情をみながら、ブレスを合わせて歌っているうちに、その人と手を繋いでどこか歩いているような、それくらい近くにいるような気持ちになる。
 
自分と違う低く太い声や、ハスキーな声、大人な色気のある声や、なんだか懐かしい声、自分では奏でられない楽器の音色を聴くと、もっと、もっと聴かせてって気持ちになる。
 
好きな人に“もっとあなたの話を聞かせて”って思う気持ちにも似てる気がする。
 
学生の頃、時間をかけて築き上げてきた友情や絆とはちょっと違う。大人になってお酒を飲んで語り合って距離を縮める時間ともまたちょっと違う。一瞬で繋がることができる“セッション”が、今とても楽しくて仕方がない。

<松本千夏>



◆紹介曲「Smile in your face
作詞:R.SHINOZAKI・MURO・Rap lyrics:LITTLE
作曲:R.MATSUMOTO

◆配信先:https://chinatsu-matsumoto.lnk.to/smileinyourfaceSS