自分から選んだ恋の終わり。

 2022年8月でデビュー5周年を迎える“足立佳奈”が、毎月の連続配信リリースを行うことを発表。その連続リリース第6弾として9月30日に新曲「いまだけ」をリリースしました。今年4月にリリースした「オーマイガール」など数多くの楽曲を手掛けた中村泰輔とタッグを組み、作詞は足立佳奈本人との共作となっております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、アニバーサリーイヤーを記念して、5月~12月に毎月“足立佳奈”による歌詞エッセイをお届けいたします!今回は第5弾です。綴っていただいたのは、新曲「いまだけ」に通ずる想い。自分から選んだ恋の終わりだとしても、そんなに簡単に割り切れるわけじゃない。今、気持ちがぐらぐらと揺れているあなた。この歌詞とエッセイを受け取ってください。



自分から選んだ恋の終わり。
 
嫌いになったわけではないけど、
恋人同士である意味がなくなってしまった。
きっとあなたが1番驚いたと思うし、苦しんだはず。
 
だけど、
わがままな私は、
離れると、またあなたを恋しく思って会いたくなってしまう。
どこに行っても、何をしてもあなたとの思い出が頭に浮かんで、
私の邪魔をする。苦しくなる。
会ってはいけないと理解はしているのに
寂しさが勝ってしまいそうになる。
 
初めて会ったあの日、今でも鮮明に覚えてる。
白いニットを着て、カフェで少し離れた席にあなたは座ってた。
本を読んでたっけ。
 
たくさん人がいる中で、あの瞬間に二人が出会い、
あなたが私を選び、私があなたを選び、恋に落ちるなんて凄い奇跡だったと思う。
 
突然、恋は始まった。
 
「何をしても楽しい時だね」
そんなことを周りに言われながら、色んなところに出かけた。
手がいくつあっても足りないくらい、思い出がある。
 
今でも思い出すのは、初めて向かい合って食べたご飯。
別にこれといって何かあったわけじゃないけれど、そのシーンを思い出す。
 
色んな場面に遭遇して、
色んな気持ちになって、
色んな気持ちにさせた。
 
沢山成長したと思う。
 
嬉しいも楽しいも、苦しいも辛いも、全部を共に過ごしてきた。
良いことよりも、苦しいや辛いの感情が強く心に残る時期もあって、
一生忘れてやるもんかって思う時だってあった。
 
でも、恋が終わった今、
幸せだったことが頭に浮かぶようになる。
 
あの道を通ってスーパーに行ったこと、
あの店でいつもバニラアイス食べてたこと、
あの駐車場で長話したこと、沢山思い出す。
 
何が苦しかったのか、辛かったのか、今では思い出せない。
 
お揃いのリングは、あの日からずっと外せないまま。
恋って見えないものだけど、これは唯一みえる。
二人を繋げてたもの。
これだけはまだ、ここにあってもいいかな。
と思ったりもする。
 
今だけ。
今だけ。
 
そう思いながら、
今でも、
ずっとここにある。
 
この気持ちは、
まだまだぐらぐらしてるけど、
それもまた私の人生の1ページ。
 
別れがあるから、
出会いもある。
 
でも今だけは恋の終わりに少し浸らせて。

<足立佳奈>



◆紹介曲「いまだけ
作詞:足立佳奈・中村泰輔
作曲:中村泰輔