今年もマメに。

 聞くひとの心を捉えて離さない、染み入る歌声と歌詞が多くのリスナーを惹きつけるシンガーソングライター・新山詩織。そんな彼女が、2022年12月にアーティストデビュー10周年を迎え、2023年4月17日にはメジャーデビュー10周年を迎えます…!
 
 さて、今日のうたコラムでは、メモリアルイヤーを記念して“新山詩織”による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!今回はその第2弾です。お節料理のなかでとくにお気に入りの黒豆。実はそんな黒豆には、自身の音楽にも通ずる“そこにある意味”があったのでした。今の新山詩織の想いを受け取ってください。



一年が去って、また一年
新たな日々が始まった。
 
それを祝うかのように
色鮮やかに並ぶたくさんのお節料理たち
 
毎年、数ある中でも
特に意味も知らず手を伸ばしては
ぱくぱく口に運んでいたのは「黒豆」。
 
甘くてしっとりしていて
噛めば噛むほど味が口の中に染み渡る
 
余った煮汁もコクがあって
最終的には飲み干すほど大好きだ。
 
「黒豆」は女性には嬉しい効果がたくさんあるよう
なので…罪悪感はこれぽっちもない。
 
そんな学生時代、とある日の家庭科の宿題で
お節料理のそれぞれの意味を調べる機会があった
 
そこで初めて「黒豆」がそこにある意味を知った。
 
「黒豆」
=黒く日焼けするほど、まめに健康に過ごせるように。
邪気払い。まめに働けるように。 
 
ただ美味しいから、好きだから、食べたいから
手を伸ばしていたのももちろんあるけれど
 
結局は無意識に、自分の“願い”みたいなものが
そこに惹きつけられていたのかも…なんて思いはじめた。
 
「黒豆」に限らず、自分の好きなものやお気に入りのものも
きっと、ただ気にしていないだけで、実はちゃんと意味を持っていて
自ら近づいたり、触れたり、見たり聴いたりしているのだろう。
 
今年は、自身の曲も、私にとっての「黒豆」のように
思わず聴きたくなるような存在になれたらいいなと
 
ひとつひとつ箸で摘みながら、考えていた。

<新山詩織>