友チョコ。

 聞くひとの心を捉えて離さない、染み入る歌声と歌詞が多くのリスナーを惹きつけるシンガーソングライター・新山詩織。そんな彼女が、2022年12月にアーティストデビュー10周年を迎え、2023年4月17日にはメジャーデビュー10周年を迎えます…!
 
 さて、今日のうたコラムでは、メモリアルイヤーを記念して“新山詩織”による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!その第3弾です。綴っていただいたのは、懐かしくて、甘くてほろ苦い、バレンタインの思い出…。さらに今回は“音声版”もございます!新山詩織の言葉を本人の朗読でもお楽しみください。


新山詩織の朗読を聞く

2月になると
いつも高校時代を思い出す。
 
当時「友チョコ」が流行っていたのもあり
バレンタイン当日の朝クラスの戸を開けると
机の上にチョコが置かれていたり
「あげる!」とクラスの女子みんなから次々とお菓子を貰った(はず)。
 
みんなとても上手で、手が込んでいて、可愛くラッピングされていた
もし自分が男子だったら天国だったんじゃないかと思う。
 
それから「貰ったらやっぱり返したい!」と言うギブアンドテイク精神が生まれ
はりきってお返しのお菓子を作っていた。
 
なので毎年バレンタイン前になると
幼稚園時代からの親友とふたりどちらかの家の台所を占領して
それぞれ目的のレシピを元に黙々とお菓子を作った。
 
私は焼き菓子が好きだったので
クッキーを50個、60個、パウンドケーキを2、3本
とにかく大量生産出来るものをひたすらに焼いた。
 
私が何gを大雑把に計量していたのを「ちゃんとして!」と幼馴染に注意されたり
「試食しなきゃね!」と言いながら結局いくつか渡す分まで食べてしまったり
片思いしてた男の子との進展を互いに聞き合ったり…
 
あのなんとも言えない、楽しく幸せな親友とのお菓子作りの時間は
私にとって甘くてほろ苦い、忘れられない青春の思い出だ。
 
<新山詩織>