この日を境に“人生が何倍にも楽しくなった”

 来年2024年9月18日に“SARD UNDERGROUND”がデビュー5周年を迎えます(アーティスト写真:坂本ひろ美(Key)、神野友亜(Vo)、杉岡泉美(Ba))。彼女たちは、令和の時代に“ZARD 永遠のスタンダード・ナンバー”を継なぐトリビュートバンド。2019年にZARDの数々の名曲が詰め込まれたトリビュートカバーアルバムでデビュー。そして現在に至るまで、数々のZARDのカバー曲と、坂井泉水の未公開詞によるオリジナル曲の他、ボーカル神野友亜によるオリジナル曲を発表し続けております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんなアニバーサリーに向けて“SARD UNDERGROUND”の神野友亜による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!今回は第2弾です。綴っていただいたのは、この時期になると思い出す、小学五年生の頃のお話。みなさんにも、やらずになんとなく諦めてしまっていること、ありませんか…?



十月。
 
私は夏が大好きなので、暑さが恋しくなる時期です。
この時期になるとよく思い出す、小学五年生の頃のお話をさせてください。
 
秋から冬にかけて、体育の授業で持久走(1000m)をすることが多かったのですが、私は毎年下から数えるほうが早いくらいの順位で、決して運動が得意とは言えませんでした。
かなり負けず嫌いな私は、毎年恒例でやってくるこの競技が嫌いでした。
 
小学五年生の冬、例年通り持久走の日がやってきて、憂鬱な気持ちで運動場に向かっているとき、ふと、「一回思いっきり楽しんで走ってみよう」と思ったんです。
そう決めてすぐ、隣にいた友人に「私、一位取るわ」と冗談混じりに宣言しました。
宣言したからには本気でやろうと、なんだか心がゾワっと湧き上がったのを覚えています。
 
スタートの笛が鳴って、いつも一番速い子が先頭を切って走っていきました。
私はその姿を、ただひたすら必死で追いかけました。
だんだん息が上がって、いつもなら苦しいと感じる三周目くらいのタイミング。
なぜかその日は "心臓がテンポ良く踊ってる!気持ちいい!" と感じていました。
その時点で、例年よりもタイムはかなり縮まっていて、いつもなら諦めたくなるくらい疲れている四周目には、もっと走れる!もっとペースを上げられる!と…。
嬉しくて、楽しくて、飛び跳ねるような心に引っ張られる感覚でペースを更に上げると、難なく一位の子を抜かすことができました。
その日、体育の授業で初めて一位になりました。
 
一定のラインを超えると爽快に走れることに気がついた私は“え? やればできたんだ。”という喜びと共に、今までやってこなかったことに対して、すごく後悔しました。
その日から、私は走ることが大好きで、持久走が得意競技になりました。
他にも、少しでもできるようになりたいと思ったことや、興味があることに全力で取り組むようになって、体操を始めたり、ギターを始めたり、柔軟を極めたり、水泳を極めたり…。
新しい自分を見つけることが日々の喜びになりました。
 
小さなことかもしれないけれど、
この日を境に“人生が何倍にも楽しくなった”
私にとって大切な経験だったと思っています。
この日がなければ、私は今でもなんでも中途半端にやっていたのかな…やらずに諦めていたのかな。と思うと少し怖くなります…。いや、かなり…。
こういった感覚に気づいていないだけで、私より速い子はもっとたくさんいたと思います。
結局、なんでもやってみなければわからない。“やったもん勝ち!”
諦めると言うことは、楽だけどおもしろくない。
“やらずに後悔するより やって後悔するほうがいい”この言葉の通り、私は挑戦し続ける人生にしたいと思います。
“興味が湧く”ということは素晴らしいことです。
これから先の人生、小さな興味も、大きくて届きそうにない興味も、全てチャレンジしたい。きっと、ワクワクが止まりませんね!
 
皆さんも毎日を思いっきり楽しめますように。

<SARD UNDERGROUND・神野友亜>