君も僕と同じように退屈な日々を過ごしていたらいいなぁ。

 2023年10月4日に“なきごと”が3曲入り7thデジタルシングル「君と暮らしの真ん中で」をリリースしました。収録曲は、「退屈日和」、「マリッジブルー」、「Hangover」の3曲。さらにリリースに伴い、初のワンマン・ツアーも実施!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“なきごと”の水上えみりによる歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「退屈日和」にまつわるお話です。この曲を聴いた友達からの意外な感想とは…。みなさんはどんな思いを抱きますか? ぜひ歌詞と併せてエッセイをお楽しみください。



10月4日になきごとから3曲リリースされる。
 
退屈日和、マリッジブルー、Hangover。
 
3種3様の暮らしがあって、その暮らしの中には
“君”が存在している。
 
配信シングルのタイトルは
“君と暮らしの真ん中で”
 
 
アルバムリリースごとにライナーノーツを書いていますが、
詩の延長としてかいているので、
せっかくならたまにはちゃんと歌詞解説をしてみようと思います。
不慣れですがどうぞお付き合いください。
 
 
 
M-1 “退屈日和”
 
 
この曲を友達に聞かせた時に
 
「えみりさんって性格悪いですね」
 
と言われた。
 
とてつもなくびっくりした。
 
 
「相手の幸せじゃなくて、退屈を望むなんてすごい歌詞だなと思いました。」
 
なるほど。
 
そう言われると確かにひどい歌詞だと思う。
 
 
こんなにもびっくりしたのは
 
この曲は私の中で
 
とってもあったかくて愛おしい曲
 
と思っていたからである。
 
 
聞いてくれたあなたはどう思っただろうか?
 
 
失恋の曲?
 
卒業の曲?
 
誰かを思う曲?
 
 
歌詞において「こう思って書きました!」
 
と断言するのは嫌いなのだが
 
ちょっと友達と話して面白いなと思ったから
 
今回は特別に話すことにする。
 
 
 
私にとっては退屈日和は
 
幸せの最中の曲だ。
 
 
水上は幸せを感じる時、不安も同時に感じる。
 
 
幸せの裏には誰かが悔しい思いをしていたり
 
誰かが不幸になっていることもあるから。
 
 
その誰かのことを考えると
 
自分が幸せでいていいのかと不安になる。
 
 
そして、
 
幸せを感じれば感じるほど
 
何かを信じてしまったり
 
期待をしてしまったり。
 
 
マイナスなことが起こった時に
 
裏切られた!と思ってしまう。
 
その度合いが比例して増える。
 
 
だからこそ、
 
マイナスな感情が隣合わせな
 
幸せという環境を
 
味わいきれないのである。
 
 
 
退屈日和は、
 
誰かの不幸を願っているニュアンスも含まれているが
 
もっともっと優しい曲なのである。
 
 
「幸せだよ。」
 
と、この曲の主人公は“きみ”へ伝えている。
 
 
退屈だと感じるこの日々も
 
きみも同じように
 
退屈だ。と、思ってくれていたら
 
幸せな日になる。
 
退屈日和だなぁ。
 
 
そんな曲。
 
 
いや、でもやっぱ皮肉だね。
 
こういう人間なんです。
 
水上えみりは。
 
 
ちなみに、水上はスピッツが好きで
 
自己解釈として
 
スピッツの歌詞には
 
“ぬるい”という言葉が
 
キーワードになっていると思っている。
 
 
暖かくもあり暖かくもない。
 
プラスでもマイナスでもない
 
少し気味悪さもあるし
 
少し心地よさも感じる。
 
不思議と人の感情に似ていると思う。
 
 
“ぬるいぬるい毎日が きみのことを思い出させる 頼んでもないのにさぁ”
 
ここの歌詞に出てくる
 
このぬるさがまさに
 
心地悪くて心地よい表現としてしっくりくる。
 
 
こんな感じのことばっか考えて歌詞を書いています。
 
言葉にしなくても
 
なんか潜在的に伝わる。
 
これが私の歌詞へのこだわりだったりします。
 
 
過去の歌詞にも
 
ぬるいところあるのでよかったら見てみてね。
 
楽曲が最高な分、
 
歌詞もしっかり味わってもらえたらいいなー。
 
<なきごと・水上えみり>



◆紹介曲「退屈日和
作詞:水上えみり
作曲:水上えみり

◆7thデジタルシングル「君と暮らしの真ん中で」
2023年10月4日発売
 
<収録曲>
1. 退屈日和
2. マリッジブルー
3. Hangover