覚悟の歌、東京の歌、私の歌

 2024年2月14日に“ヤユヨ”が4thミニアルバム『BREAK』をリリース! 今作には、音楽機器メーカーPRIMOの創立70周年記念CMソング「Stand By Me」、全国にある高等学校のダンス部の頂点を決める『第11回 全国高等学校ダンス部選手権』応援ソング「YOUTH OF EDGE」など全6曲が収録されております。
 
 さて、今日のうたでは“ヤユヨ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回。執筆を担当したのは“リコ(Vo.)”です。綴っていただいたのは、収録曲「チョコミンツ」にまつわるお話。覚悟の歌、東京の歌、私の歌をどんな思いで書き進めていったのか…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



上京してもうすぐ1ヶ月
部屋らしい部屋にはまだ遠い
それでもあの日、サインをしたからここが私の「家」なのである
ついこの間まで過ごしていた家族とのありふれた日常、住み慣れた堺の一軒家
あそこが私の「家」だったはずなのに
意外とあっさり住処を移していること
自分が一人きりで生活していること
不思議だ、可笑しい
 
上京、メンバーの脱退
新曲を作ることになったのはそんなポジティブでネガティヴな環境変化に
浮かれすぎず、へこたれ過ぎず、
私達の「音楽」を鳴らし続けたいという思いからだった
覚悟の歌、東京の歌、私の歌
どう書いていく?
 
【覚悟の歌】
書き出した最初の言葉は
<心と心でひっぱり合う本音の縁を築くのです>という歌い出しの部分だった
大阪にいる時、いや、今もまだ抱えている弱点だが、
私は感情や考えを言葉にして表現するのが苦手だ
だから、諦めてしまったり隠してしまったり相手に合わせたりしていた
本当に相手や自分を大切にしたいのなら
「そういうの、よくないよ。」
そういう気持ちだった
だからこそ出てきた私なりの覚悟の言葉だったのだと思う
 
【東京の歌】
小さい頃から「大人になったら東京で働く」ということは決めていた
私にとって東京は、お洒落で何でもあってキラキラしている場所だった
上京が決まって内見しに東京の街に来た時
小さい頃に抱いていたイメージを覆された
“いい意味で”
ネオでお洒落な分、冷たいイメージも持っていた
だけど実際は親しみやすい部分も沢山あった
駐車場付きのスーパーマーケットやコンビニ、住宅地、無人の駅、自然に溢れた散歩道
なんだ。堺市と変わらんやん。
そう思った時、ふとはっぴいえんどの「風をあつめて」が頭の中に流れた
風をあつめて蒼空を翔けたいのかあ
私なら、風をあつめてどうしたい?
憧れや覚悟を抱えてこの街にやってきた
<ありのままを変えて><浪漫を動かす>そうしたいんだ
私の住む街、ありふれた街
東京を少し好きになった
 
【私の歌】
テーブルに置かれた化粧ポーチ
そこから顔を出すピンク色のライター
あの日、失恋の痛みから逃げるために
何故かコンビニに駆け込んで、600円という安くはない赤い箱を買った
初めてタバコに火をつけた
そんなもので忘れられるはずもないのに
何でタバコなんて買ったんだろう
いやいや、感傷的になっている場合じゃない
恋すら捨てて新しい街にやってきた
やる事はまだまだ山積みである
ロッカバイマイブルー
ロッカバイマイブルー
 
「子どものままでいたい」
そんなニュアンスの歌詞を時々目にする
「大人になりたい」
私はそう思って生きてきた
憧れの一人暮らし
やっと本当の大人になれるのかもと思っていた
だけど、
丸焦げの卵焼き
生乾きの洗濯物
シンクに積まれたお皿
後5分で家を出なきゃ練習に間に合わない
ああ、一人で生きるって大変だ
まだまだ私は子どもで不器用だ
でも大丈夫、そのうち慣れるから
ロッカバイマイピンク
ロッカバイマイピンク
 
そうやって一つ一つ
感情や現状を言葉で繋いでできた曲
上京して初めて書いた曲
「チョコミンツ」
大人、大人、やっぱり子ども
そんな私の生活を表したとっておきの歌
 
相変わらずのアイツに届け
変わる勇気が欲しい君に届け
沢山の愛をくれたあの人に届け

<ヤユヨ・リコ(Vo.)>



◆紹介曲「チョコミンツ
作詞:リコ
作曲:リコ

◆4thミニアルバム『BREAK』
2024年2月14日発売
 
<収録曲>
1. Stand By Me
2. Anthem
3. チョコミンツ
4. YOUTH OF EDGE
5. Cosmic beatle
6. リプレイ