実らないことを知ったまま育む気持ちの中間地点。

 2024年3月20日に“SCANDAL”がNew Album『LUMINOUS』をリリース! 前作『MIRROR』以来、2年ぶりとなる通算11枚目のアルバムとなる今作は昨年リリースしたシングル「Line of sight」「ハイライトの中で僕らずっと」に加え、Rhythmic Toy Worldとの共作「あなたへ」、EOWとの共作「Plum」を含む全11曲が収録。メンバー全員が作詞作曲に携わったバラエティに富んだ1枚となっております。
 
 さて、今日のうたでは“SCANDAL”による歌詞エッセイを4回に渡りお届け! 今回は第2弾です。執筆を担当したのはRINA。綴っていただいたのは、収録曲「私たち」にまつわるお話です。未公開の歌詞を見返してみたとき、改めて「好きだ」と思った主人公像は…。あの頃より大人になった今だからこそ届けられるこの曲。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



実る恋と、実らない恋。
その境目には一体なにがあるのだろう?
ぼんやり色んな記憶を思い浮かべてみても答えは見つからないのだけど。
 
今まで書き溜めてきた数年分の未公開の歌詞を久しぶりに見返してみたら、面白かった。
こんなこと考えてたのかとか、そう言えばこれについても書いたんだったなぁとか、相変わらず何も変わってないなって思える自分が居たり。
 
その中のひとつに、やっぱり今もこの世界観やスタンスは好きだなと思うものがあった。
その歌詞の中にでてくる女の子は、お気に入りの白いブラウスを着て、大切に思う人が居て、後悔したり挽回したりしながら、自分で自分を輝かせていた。
 
こんな風に生きてる女の子がわたしはずっと好きだ。誰かに自分を幸せにしてもらうために恋をするのではない。だからこそ、全員人生報われてくれ! と祈りながら、そこにある強さと脆さに胸がぎゅっと締め付けられる。
 
この歌詞を書いた頃は、結末や答えや聴き手をリードする何かが足りないと思っていた。
なのに、今読み返してみると何故かもうずっと前からとっくに完成していたように感じた。
完全に大人になった今、曖昧で白黒つかない真ん中の気持ちや状況もひとつの形、ひとつの答え。と、感じるようになったからかもしれない。
むしろ、綺麗に割り切れるものの方が少ないくらいにも思える。
 
そこに、今の自分なりの理由を付け足すことにした。幼少期を海のない街で過ごしたせいか、いつからか海を眺めに行くのがとっても特別で好きな時間になった。太陽と波を眺めていると、両方を引き立て合うふたつの違う煌めきにうっとりする。そして、お互いが光ったまま交わることはないのだなと気付く。
 
とにかく鮮度を大切に曲を作ることが多かったけれど、こんな風に数年前のカケラと今の感覚を合わせて仕上がる曲もあるんだなと思った。
ちゃんと昇華できて嬉しかった。
実らないことを知ったまま育む気持ちの中間地点。こんなに切なくて可愛い気持ちを曲にできて良かったなと思う。
 
<SCANDAL・RINA>



◆紹介曲「私たち
作詞:RINA
作曲:MAMI

◆New Album『LUMINOUS』
2024年3月20日発売
 
<収録曲>
01.群青pleats
02.ファンファーレ
03.私たち
04.Plum
05.CANDY
06.Vision
07.LOOP
08.Line of sight
09.あなたへ
10.1:47
11.ハイライトの中で僕らずっと