父にずっと言いたかった言葉がある。

 2024年2月28日に“Gacharic Spin”がNew EP『Ace』をリリースしました。彼女たちは結成15周年アニバーサリーイヤーに突入! そんな勢いが表れている今作は、ハイスピードで熱く激しく、押せ押せなサウンドを収めたEPとなっております。デジタルシングル「BakuBaku」を含む全5曲を収録!
 
 さて、今日のうたでは“Gacharic Spin”による歌詞エッセイを3回に渡りお届け! 第1弾はF チョッパーKOGAが執筆。綴っていただいたのは、収録曲「Lin-Lin-Lan」にまつわるお話です。自身の父との別れを経験して、想いを込めたこの歌。あなたにとっての大切なひとを思い浮かべながら、歌詞とエッセイを受け取ってください。また今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。


F チョッパーKOGAの朗読を聞く

この歌詞は
大切な人とのお別れの時間を経験して、思ったこと感じたこと溢れた気持ちをLin-Lin-Lanに込めました。
 
時間は無限じゃないということ。
大切な人に伝えたいことは「今」伝えること。
後回しにしちゃいけないんだよってことを。
残された時間なんて、寿命なんて、誰もが明日なんて分からない。
生きてる間に、伝えたいことはしっかり伝えなきゃ!
「ありがとう」「ごめんね」「好きだよ」一言でもいいから。
 
 
 
その私の大切な人とは、父親のことです。
 
「ちょっとお父さんが調子が悪そうで、病院に行くように説得してほしい」っていう電話が母親から来てから、その3ヶ月後には父は天国へ旅立ちました。
 
 
私が電話で説得したところで言うことを聞くわけがない頑固者のお父さん。
病院へ連れていくにはもう強行突破しかない。
即、病院の予約を入れて、次の日には東京から実家のある名古屋へ帰って、無理やりお父さんを車に乗せ病院へ。
 
そこから、急展開。検査入院からの余命宣告。
 
父は自分の残された時間がわかっても平然としていた。
いや、平然のふりをしていたのかもしれない、、、 けど、どこか覚悟が決まっているようにも見えた。
 
時間が許す限り、父に会いに行った。
名古屋から東京へ戻る新幹線の中では、毎回涙がツーと流れた。
 
 
会うたびに痩せていく父を見て、本当にお父さんはいなくなっちゃうっていう悲しい気持ち
自分にしてあげられることが、何もないっていう虚しい気持ち
旅行にもっと連れていってあげたかった、お酒を一緒に飲みたかったとか、孫の顔見せてあげられなくてごめんね、とか
そういう「もっとこうしてあげたかった」っていう気持ちがグルグル頭の中でまわって、それが涙という形になって静かに流れた。
 
その中で父にずっと言いたかった言葉がある。
それは、「あなたの娘でよかった、今までありがとう」
 
でも、、ずっとその言葉を言えずにいた。
言ったら、本当にサヨナラの時がきてしまうようで、諦めるみたいで、まだ生きててほしいっていう思いが強くて言えずにいた。
 
父が入院して1ヶ月経ったくらいに
急変することもある状態だから面会に、って兄からの連絡。
ライブがあった私は、帰れずにいた。来週すぐに帰ろうと決めて。
 
心配で母に連絡を入れたらタイミングよくお父さんの隣にいると。
母を挟んでお父さんと話すことができた。
 
でも、意識が朦朧しているからなかなか会話は成り立たない。
 
「来週帰るから頑張ってよー!」
って何度も伝えた。
 
よく分からない返答がかえってくる。
やっと何を言ってるか伝わったと思ったら
お父さんからの返答は
 
「来週じゃ間に合わないかもな。生きとるかわからん」
っていう弱々しい声が聞こえた、
 
涙が溢れた。それを我慢する圧で喉が痛くなる。
 
「もう俺のことは気にせんでいい。あなたはあなたのことを頑張りなさい」
 
、、、、、
 
「うん、お父さんありがとう。」
 
 
やっと言えた。
 
ずっと言いたかったんだ。
 
 
客観的に見たら
会話の流れでの「ありがとう」だけど
私の中では、たくさんの思いがつまった「ありがとう」だった。
 
こんないろんな気持ちがつまった「ありがとう」を伝えるのは初めてだった。
 
 
結果的にこの電話が、お父さんとの最後の会話になった。
 
直接会っては、伝えられなかったけど
電話だとしても、、自分の言葉でお父さんに伝えられてよかった。
言えなかったら後悔がいっぱい残ったと思う。
 
 
 
自分の気持ちを伝えるって
恥ずかしかったり
勇気がいったり
素直になれないと言えなかったり
人によっては
簡単なことじゃないかもしれない。
私も得意な方ではない。
 
 
でもね、この父とのお別れの時間を経験して
 
誰もが残された時間なんて、明日なんて分からないんだよなぁって
「今」伝えたいことはしっかり伝えなきゃ!って強く思ったんだよね。
 
 
Lin-Lin-Lanは、そんな思いが詰まった歌詞になっています。
今、これを読んでもしあなたの頭の中に浮かんだ大切な人がいたら
自分が思っている気持ちを伝えてみてね。
 
 
 
そして、思うのはまた出会える。
 
今そばにいる人は、何かしらの縁でずっと繋がってる気がするんです。
 
だからまた違う形で出会えると信じて。
 
 
今までありがとう。
また会えるのを楽しみにして「今」を生きるね。
あなたの娘で本当によかった。
これからもよろしくね!
お父さん。
 
Gacharic Spin・F チョッパーKOGA>


◆紹介曲「Lin-Lin-Lan
作詞:Gacharic Spin
作曲:Gacharic Spin

◆New EP『Ace』
2024年2月28日発売
 
<収録曲>
01.Let It Beat
02.BakuBaku
03.ストロボシューター
04.オドリオドレ
05.Lin-Lin-Lan