“ほんもの”の言葉を選びたい。

 2024年7月12日に“Hakubi”が新曲「pray」をリリースしました。同曲は、2024年7月よりTBSほかにて放送開始するTVアニメ『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』のエンディング主題歌。Vo/Gt. 片桐が作品に寄り添い、ヒロインである“セラス”をモチーフに書き下ろした楽曲となっております。
 
 今日のうたでは、そんな“Hakubi”の片桐による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは新曲「pray」にまつわるお話です。タイアップアニメの原作を読んだとき、心に残ったある“言葉”。自身にとっての“言葉”という存在とより向き合ってみたとき、見えてきた気持ちは…。



お久しぶりです。
Hakubi のボーカルギター片桐です。
 
TVアニメ『ハズレ枠の状態異常スキルで最強になった俺が全てを蹂躙するまで』エンディング主題歌に「pray」を書き下ろしました。
 
オープニングは、主人公・トーカの目線の楽曲超学生さんの「Hazure」 (すごいかっこいい)。
私たちのつとめるエンディング「pray」はヒロイン・騎士のセラス目線の楽曲。
 
是非アニメ観て、セラスと「pray」のつながりを感じてほしいです。
 
原作を読ませていただき、セラスの優しさ、芯の強さ、人間らしさをストーリーが進むごとにより一層感じていた中、セラスが、自分を強く保つため、誰かを心配させないために言った「大丈夫」という言葉が心に残り、楽曲制作で特に重要なキーワードとなりました。
 
冷たくあしらうこともできただろう作中場面での、「大丈夫」は、彼女の強い意志が滲み出て、そして、とても優しい言葉でした。
 
今回は、そんな"言葉"について書きたいと思います。


- 言葉 -
 
全ての言葉は“言葉”でしかなく、相手に伝えたい意味と実際相手が受け取った意味が
同じになるとは限らないことを私たちはよく知っている。
 
うまく伝わらなかったり、全く違う方向に捉えられてしまったり。
 
言葉は大きな力を持って、人を幸せにも不幸せにもするものだと思う。
 
思えば、私はいつも"言葉"で思い悩んでいた気がする。
 
あの人に言ったあの言葉、言い方を間違えて傷つけてしまった。
 
あの人に言われたあの言葉、私にとってはとても心が痛かった。
 
あの人に言われたあの言葉、もしかしたらあの人はそんなつもりじゃなかったのではないか。
 
あの人に言われたあの言葉、もしかしてあの人の優しさだったのだろうか。
 
言葉の表側すら自分が思うようには伝わらないことを知りながら、言葉の裏側ばかり考えて、それが“ほんもの”かということばかり探ってしまう。
 
一つの言葉に一喜一憂する自分が嫌になる。
 
それでも、生まれた場所も育ってきた環境も、出会ってきた人も違う私たちは、友達になるにも、仕事をするにも、どこかへ行くにも、物を買うにも、食事をするにも、生きていく上で何をするにも言葉が必要だ。
 
一切人間関係を絶ってしまうことなんて到底できない。
 
それなら私は、できる限りの優しい言葉を選びたい。
優しい言葉として受け取りたい。
 
裏側なんてない“ほんもの”の言葉を選びたい。
"ほんもの"の言葉を受け取りたい。
 
誰かの言葉の温かい優しさに気づくこと、自分が言葉選びを間違えてしまったことに気づけること、謝れること、まずは目の前にあるそれをずっとやろう。
 
きっと傷つけて、傷ついて、きっとどれだけ年をとってもうまく伝えられず、うまく受け取れやしないのだろうけれど、生きている限りずっと悩み続けよう。
 
<Hakubi・片桐>



◆紹介曲「pray
作詞:片桐
作曲:Hakubi