2025年1月22日に“OKAMOTO'S”がニューアルバム『4EVER』をリリース!15周年10枚目のオリジナルアルバムとなる今作には、10月に先行配信をした「Song 4 You」や、少年ジャンプ原作TVアニメ『Dr.STONE』第三期エンディングテーマ「Where Do We Go?」や少年ジャンプ原作TVアニメ『アンデッドアンラック』第二期エンディングテーマ「この愛に敵うもんはない」の他、新曲を含む全13曲が収録されております。
さて、今日のうたではそんな“OKAMOTO'S”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾。執筆を担当したのはオカモトショウです。綴っていただいたのは、収録曲「ありがとう」にまつわるお話。この曲を作るとき、目指したもの。そしてハマ・オカモトの休止によって、初めて考えたこと…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
作詞:オカモトショウ
作曲:オカモトショウ
「ありがとう」、この曲には苦戦させられた。何度戦っても勝てない相手みたいで、挫けそうになった。15周年を迎えるオカモトズがどんな歌を作るべきか、次にどんなフェーズに入るべきか、毎回新曲を書く度にその作業は砂漠で砂つぶを一個ずつ拾って確かめていく途方もない作業に思える時がある。
この方向でいいのだろうか? さっき浮かんだあっちへ行ってみたほうがいいんじゃなかろうか? いや、こっちであってるはずだ、メンバーはこの曲になんて反応するかな? 色んな想いが浮かんでは消える。
なんだかんだ言っても直感を信じるしかない!と、まっすぐボールを投げてきた(捻くれ者なりに)わけですが、今回は全部の道を通って確かめてやろうと心に決め、色んなタイプの歌を同じメロディに当てはめて行きました。完成した「ありがとう」からは想像もつかないような悲しい歌、別れの歌、怒りの歌、感謝の歌にも何個も感謝の仕方がある、それも全部全部、とにかく思いつく限り書き殴っていった。自分が想像するだけで歩くのをやめた道に答えがあるかもしれない、そう信じて。
この曲には気の利いたコードがいくつか登場する。それは、うちのコードの魔術師オカモトコウキの考案してくれたものもあるし、かれこれ5年間俺たちのサポートメンバーとして力を貸してくれてるブライアン新世界が提案してくれたもの、サビ前のリフはハマ・オカモトが作ってくれた。それからアレンジメントとプロデュースで入ってくれた佐橋佳幸さんが仕上げに携わってくれ、たくさんの魔法がかかった上で、この曲は非常にシンプルな作りになっている。
それは、俺が最初この曲を作る時、とにかくシンプルを目指していたから。みんなが足してくれた素晴らしいコード以外は非常に限られた要素だけで組み上がった超シンプルロック。オカモトズに今必要なのは、俺たちなりの新しい王道スタンダードナンバーだと思ったからだ。
散々いろんな道を試した上で、俺はシンプルに“出会い”に、そして“思い出”にありがとう!と感謝を歌うことにした。ここに至るまでの様々な試行錯誤があったから、確信を持ってこの歌を書き上げることができた。自分がこれまで出会ってきたもの、初恋の人、良いやつも嫌なやつも、バンドメンバーも、音楽も、俺たちの音楽を聴いてくれたあなたも、その一つでも欠けていたら今の俺はいない、と、心からそう思ったから。
この歌が書き上がってて、歌を入れて、あと一歩で完成というところで、ハマくんがバンドを休むことになった。15年間バンドをやっていて初めて、バンドの歩みが止まった。震災もコロナも、その他小さな困難も含めるといろんな事を乗り越えてきた俺たちだけど、天災や世の中などの外からではなく、内からこんな風に壁に当たったのは初めてのことだった。俺たちはどうなっちゃうんだろう? 先の見えない状況でその時その時できることを精一杯やりながら、また4人で演奏できる日を待つしかなかった。
俺はハマくんが休むまで、考えたこともなかった。俺たちが4人でステージに上がれることがいかに奇跡的なことなのかを。理由は簡単で、15年間どんな時も起きたことを奇跡だと思うほうが難しい。当たり前だろ、さあ一緒にやろうぜ? ってなメンタリティだった。でも違う。毎晩が奇跡だし、それが明日も起きるとは限らない。
俺がやるべきことはその奇跡が起きるように祈ることではない。ずっと続くように願うことでもない。ただ、ライブの度にそれが最後になっても良いと思えるようにライブをすること。今ここで終わっても良いと思えるような歌を作ること。最後になっても後悔がないように自分の気持ちを伝えること。
愛してる人に自分の愛を、ちゃんと伝えてたかな? かっこいいと思った時にかっこいい!って、胸に仕舞わず口に出していたかな? 15年間毎日起きていたことにだって、当たり前だろ? なんて思って良いわけじゃない。それは自分都合のダサいカッコつけでしかないじゃないか。
そう心に問いながら、ハマくんが帰ってきたツアー初日のライブをやった。実に数ヶ月ぶりの4人での演奏。新曲として「ありがとう」も演奏した。
俺はこの感謝の気持ちを、ある種誰もが当たり前に思ったことのある感謝の言葉を、こういう形で曲にすることができていて本当に良かったと心から思った。俺はきっと、この「ありがとう」を伝えられずにバンドが終わっていたら死ぬほど後悔しただろう。
そして、ハマくんが休む前にこの曲を書き上げていた自分にも驚いた。こういうことってあるもんなんだな、不思議。
歌詞はひとつも変えなかった。でも、ハマくんが休む前の「ありがとう」と帰ってきてからの「ありがとう」、俺の中では全然違う解釈が生まれたからこそ、ちょっとワガママ言って歌をとりなおした。シンプルな歌ほどこんなに変わるのか!という良い歌が録音できた。
結果俺たちは、4人で演奏できる喜びを噛み締めながら、ツアーをしている。新曲「ありがとう」とともに、文字通り日本全国を回っている。
この歌があなたの日々の中の埋もれてしまっている奇跡を照らし出してくれますように、そして、つい口に出すのをやめてしまっている感情を伝えるきっかけになりますように。
<OKAMOTO'S・オカモトショウ>
◆紹介曲「ありがとう」作詞:オカモトショウ
作曲:オカモトショウ
◆ニューアルバム『4EVER』
2025年1月22日発売
<収録曲>
1.ありがとう
2.4EVER
3.Greatest World
4.Continue
5.Skit 1: Get loaded
6.LOAD
7.Cheep Hero
8.よくないね
9.Where Do We Go?
10.カーニバル(Album ver.)
11.Skit 2: Nothing can challenge this love
12.この愛に敵うもんはない
13.Song 4 You