2025年6月18日に“ビレッジマンズストア”が、バンドキャリア20周年を記念した初のベストアルバム『re:Rec BEST 「遊撃」』をリリースしました。ほとんどの楽曲を現メンバー5人で演奏・レコーディングした再録ベストアルバム。Disc1、Disc2ごとにテーマがあり、何かとの繋がりを歌ったものがDisc1 遊 、“攻撃的”なのがDisc2 撃 となっております。
さて、今日のうたではそんな“ビレッジマンズストア”の水野ギイによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。第2弾は収録曲「御礼参り」にまつわるお話です。学生時代から怒りをエネルギーに曲を書き、常に怒り続けてきた自身。結成15年目の今、思うことは…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
<ビレッジマンズストア・水野ギイ>
◆紹介曲「御礼参り」
作詞:水野ギイ
作曲:ビレッジマンズストア
前回の解説曲「PINK」より5年、結成して15年目。おれは怒っていた。この男はしょっちゅう怒っているのかと思ったかもしれない。しかしそれは違う。安らかな時は沢山ある。嫌いな奴も年々減っていく。バンドだって続けている。女の子はかわいい。もはや具体的な何かに対してではない。というか、とりわけ何があったわけでもない。敢えて言語化するならば怒りに対して怒っていた。ここは強調せねばなるまい。
「怒りに対して怒っていた!!!!!!」
少年が曲を作り始める際に焚べる最初のエネルギーは大抵が怒りである。おれも例に漏れず有り余る不満が衝動となり見様見真似で曲を書いた。
田舎生まれで友達作るのが下手なのに高校入学して1週間で停学になり、復帰した頃にはもうクラスに居場所がなかった時の気持ち。幼少期から好きなものをずっと好きだっただけなのに周りに馬鹿にされ始めるときの気持ち。燃やした卒業アルバムがいまだ誰かの家の本棚に眠っている事実。
そんなありきたりな、でも自分だけの怒りを、可愛がっている間はいくらでもやりたいことが生まれた。よくある話である。
では今はどうか。
大人になり、学生の気持ちは遠い過去。トラウマなども女性関係以外には発揮されないくらいに回復したおれが次に進むステージは。
「鶴舞線で来る豊田の人」
「58の爆風でスカートだけでも揺らせ」
「帰る場所はない、思い出すのは自販機の薄灯り」
いや、ちがうな!めちゃくちゃ根に持ってるな!!!大人になってもやってる!!!!気持ち悪いな!!!
15年のツケ、この怒りは全て自分に向いていた、蓋をした自分にいつまでも怒っていたらしい。これはしっかりと向き合い、決着をつけねば。あの頃、羨ましかったあいつらが羨むような男達(自社比)にならねばなるまい。
奇しくも結成15年、的を絞るには丁度良い。折角なので当時イキリ散らかしていた不良グループが使っていた言葉を拝借しよう。
おれたちの御礼参りがはじまるぞ。
<ビレッジマンズストア・水野ギイ>
◆紹介曲「御礼参り」
作詞:水野ギイ
作曲:ビレッジマンズストア
◆ベストアルバム『re:Rec BEST 「遊撃」』
2025年6月18日発売
<収録曲>
【CD Disc1 遊】
01. WENDY(20th ver.)
02. みちづれ(20th ver.)
03. 1P
04. 車上A・RA・SHI(20th ver.)
05. アディー・ハディー(20th ver.)
06. アダルト(20th ver.)
07. TV MUSIC SHOW
08. セブン(20th ver.)
09. ロマンティックに火をつけて(20th ver.)
10. きみがいれば
11. People Get Lady(20th ver.)
12. LOVE SONGS(20th ver.)
13. 眠れぬ夜は自分のせい(20th ver.)
【CD Disc2 撃】
01. 夢の中ではない(20th ver.)
02. 逃げてくあの娘にゃ聴こえない(20th ver.)
03. ビレッジマンズ(20th ver.)
04. 黙らせないで(20th ver.)
05. 御礼参り(20th ver.)
06. 猫騙し人攫い(20th ver.)
07. Love Me Fender(20th ver.)
08. 変身(20th ver.)
09. サーチライト(20th ver.)
10. 墜落、若しくはラッキーストライク(20th ver.)
11. 正しい夜明け(20th ver.)
12. PINK(20th ver.)