アルバムリード曲は、激ロックな「逝きそうなヒーローと糠に釘男」と、壮大バラード「母である為に」の2曲。前者は怒りが爆発した“別れ”がテーマ、後者は子を慈しむ“母としての心”がテーマです。そしてこの2つの核はアルバム全体のキーワードにもなっている模様。今日のうたコラムでは収録曲から何曲かをピックアップしてご紹介いたします。まずは“別れ”を描いた強烈＆痛快なこの2曲。
なぁ 糠に釘男
泣くよ これは悲し過ぎて
こんな結末聞いてない 夢にだってまだ見てない
他の誰でもなくあんたを信じてたってのに
なぁ、糠に釘男 goodbye
せめて立ち去ってくんない？
永遠の別れを さぁ
「逝きそうなヒーローと糠に釘男」／阿部真央
君との日々は 本当に素晴らしくて
劇的に最悪で 笑えない結末だった
だけどもう決めた 我慢はしない
守るべきものだけ持って早く 私はお暇するよ
お金も時間も返してくれなくていい
私だけ頑張る恋はバイバイ
魔法は解けた 全部終わったの
幸せになります。バイバイ。
一生の宝物をありがとう、バイバイ。
「バイバイ」／阿部真央
リード曲に登場する＜糠に釘男＞とはおそらく、こちらが何を言おうと何の効き目も手ごたえもなく、ダメな言動が一生変わらない男性のことでしょう。そんな相手に愛想を尽かし、歌のヒロインは歌詞中＜で？全部こっちのせいにして 本当いい加減腐ってんなお前＞ともぶちギレております…。そして、心に言葉が届かないという点では「バイバイ」のヒロインのお相手も同じような気がしますねぇ。彼もまた＜糠に釘男＞なのです。
言い返したいだけの言葉も
湧き上がってくる言い訳も
すり替えては拒む姿勢も 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い
一番大切ものすら 分からないような人だったんだね
信じられない だからお暇するの、したの！
「バイバイ」／阿部真央
彼の＜言い訳＞や話を＜すり替える姿勢＞から、彼女が伝えたかった言葉はこれまで何も受け取ろうとしなかった様子がわかります。ただ、別れのうたなのに「逝きそうなヒーローと糠に釘男」も「バイバイ」も、“未練”や“哀しみ”より、“怒り”や“先へ進もうとするエネルギー”の方がずっと強いため、聴くとスカッとするのです。このようなパワフルな失恋ソングになったのは、きっと＜一生の宝物＞、＜一番大切もの＞…つまり“新しい命の誕生”があったからではないでしょうか。
私があなたの母である為に
あなたが寂しい時 側に居れないかもしれない
私があなたの母である為に
あなたの母はいつでも悪口言われてばかり
母があなたの母である為に
あなたは傷つくかもしれない
母があなたの母であること
あなたはいつの日か少し嫌になるかもしれない
だけど母は幸せです あなたが来てくれて
あなたの母になれたこと 母はとても嬉しいです
「母である為に」／阿部真央
一瞬前の貴方は居ない
見つめる度に 育つ背中
生まれて初めてこんなに 1日を惜しく 愛しく感じます
「背中」／阿部真央
きっと 今までの辛い事すべて
君に出会うにふさわしい
君を守れるくらいに強い人になる為の日々だったんだな
生まれてくれてありがとう
「この時を幸せと呼ぼう」／阿部真央
これらの曲はすべて、生まれてくれたお子さんに対しての想いですよね。このような歌詞は、母になった“阿部真央”でないと生まれなかったことでしょう。とくにリード曲「母である為に」には、我が子に向けて“母である為”の意思表明、宣言、約束のようなメッセージがたくさんたくさん詰め込まれております。是非、歌詞の全文を読んでみてください。別れと出逢いを経て、また一つ進化を遂げた、ニュー“阿部真央”のニューアルバム、必聴です。
◆紹介曲「逝きそうなヒーローと糠に釘男」
作詞：阿部真央
作曲：阿部真央
「バイバイ」
作詞：阿部真央
作曲：阿部真央
「母である為に」
作詞：阿部真央
作曲：阿部真央
「背中」
作詞：阿部真央
作曲：阿部真央
「この時を幸せと呼ぼう ～弾き語りVer.～」
作詞：阿部真央
作曲：阿部真央
◆7thアルバム『Babe.』
2017年2月15日発売
通常盤 PCCA-04492 ￥3,000(税込)
Loppi・HMV限定 BRCA-00078 ￥3,500(税込)
＜収録曲＞
01.愛みたいなもの
02.逝きそうなヒーローと糠に釘男
03.Don’t let me down
04.You Said Goodbye
05.母である為に
06.この時を幸せと呼ぼう
07.You changed my life
08.Hello, Brand New Days
09.バイバイ
10.gasp
11.POSE
12.女たち
13.背中
平野莉玖
