さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“THE BEAT GARDEN”のUさんによる歌詞エッセイをお届けいたします!綴っていただいたのは、新曲「夏の終わり 友達の終わり」にまつわるエピソード。みなさんは、ずっと友達だったはずのひとに恋をしたことはありませんか? その恋が実った方も、実らなかった方も、その恋の真っただ中の方も、ぜひ想いを重ねながらこのエッセイを、歌詞を、受け取ってください。
~歌詞エッセイ「夏の終わり 友達の終わり」~
「夏の終わり 友達の終わり」という曲は
友達への恋心が生まれる瞬間を切り取った曲です。
今回のエッセイは自分の中で正直あまり思い出したくなかった、もはや無かったことにしていたあの頃の思い出や想いを覚えている限り、そのままに綴りました。
是非お時間のある時に読んでいただけたら幸いです。
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「へー!夢なんだね。」
夢、と言葉にされると突然
恥ずかしくなる。
夢じゃない、目標だ。
芸能人になって、有名になって
君を見返して、迎えにいく。
今に見てろ。
中学2年、夏。
このバンド初めてのライブ。
新所沢の
島村楽器のスタジオ。
チケット30枚は思ったよりもすぐにハケた。
ライブ後、
楽器屋のおじさんも
「このまま頑張ればプロになれる」と言ってくれた。
すぐに本気にした。
ライブ中、
君は僕の親友のMとずっと話してた。
君も僕の親友だから、
傷つくのもおかしい。
腹が立つのもおかしい。
帰り道、チャリ。
君は迷わずMの後ろに飛び乗る。
「武道館ライブは呼んでね!」
Mの腰に手を回して嬉しそうな、
君が言った。
夢に一歩近づいた日。
君が一歩遠のいた日。
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ミッキーとミニーのストラップを交換するのが流行った。流行んなよ。
男の子がミニーを
女の子がミッキーをつける。
僕はだれのミッキーにもなれず宙ぶらりんのまま、君の学生鞄を見て少し安心する。
僕は背が低い。
背の順は前から二番目で
ギリギリ前に習える。
君は背が高くて
ちょうど自分の目線は
君の胸辺りに来る
これをラッキーだと思える余裕もない。
掃除の時間
体育祭の予行練習
下駄箱や廊下
家の鏡
ベッドの上
階段。天井。
どこにでも君がいる。
頭がおかしくなる前に
もうおかしいけど
これ以上進行する前に
電話をかけた。
今日も
何も聞き出せなかった。
やっぱり
君の恋事情は聞けない。
恋をしていても
していなくても
落ち込んでしまうから。
-あとがき-
あの数日後に
Mが君とは違う子のミニーを
ぶら下げるようになったのを覚えています。
それでも
僕は君のミッキーにはなれませんでした。笑
バンドもギターの転校や
受験で1年足らずで解散したし、
今君が何をしているのかも知らない。
迎えにいきたいなんて
当然もう思っておりません。
ただ、
島村楽器のライブのあの日に、
この歌があったら
もう少しだけ
良かったのかな
なんて
思ったりします。
「夏の終わり 友達の終わり」
また一つ思い出を歌にできました。
歌ネットさん
このコラムに出会ってくれた皆さん
Beemerのみんな
最後まで読んでくださり
ありがとうございました。
ライブで歌詞で
また再会できることを願っています。
<THE BEAT GARDEN・U>
◆紹介曲「夏の終わり 友達の終わり」
作詞:U
作曲:U・MASATO