悩んでいたら“彼女居たらの話~”って出てきて

2021年10月20日に“the shes gone”が1stフルアルバム『SINCE』をリリースしました。今作は、YouTube再生回数1500万回を突破している代表曲「想いあい」やシングルとして発売された新曲「ラベンダー」や先行配信曲「線香花火」などを含む、全10曲収録となっています。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“the shes gone”の兼丸(Vo.Gt.)による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「ガールフレンド」と「線香花火」のお話。どちらも彼が歌詞に悩んでいた楽曲。その曲が一気に広がったきっかけとは…? 是非、歌詞と併せてこのエッセイをお楽しみください。

~歌詞エッセイ第2弾~

今回もSINCEの収録曲について。「ラベンダー」を書いたあとに「ガールフレンド」も書き始めていきました。

「ラベンダー」が曲の分数も文字量も長めだった分、緊張感が抜けなくて、なんだかサビのドラムの四つ打ちや、曲全体のポップな雰囲気とメロディーに対して、出てくる言葉が硬いんだよな~むむむ~、なんてレコーディング数日前まで悩んでいたら

“彼女居たらの話~”って出てきて。

この曲そっちか!アホな方か!って分かって(笑)

そこから肩の力がちょっと抜けてきて、最後の“彼女居たらの話~”の1行に頼って、普段は真面目に歌ったら恥ずかしいことも詰め込んでみたり。何も見ずに聴いてくれている時と別で、歌詞カードを見てもらった時にも気付きがあるようにもできたし、おもしろいのできたー!って楽しんで書けました!

ライブでは手上げて一緒に飛び跳ねてもらえる曲になってくれたら良いな~。


あれ、やばいね。このペースだと全曲どころか新曲たちも触れていけないね(笑)。いけるところまで書きますね(笑)。


線香花火」は当初、季節を感じる曲にする予定はなかったんだけど、どうしてそうなったかと言いますと。

その日のスタジオは「線香花火」の制作で朝から夜まで続いていて。まだ歌詞や曲テーマの決定的な部分が欠けていて、うーんうーんってずっとなっている中で、ふとスタジオ外の空気吸えるベランダ(スタジオ敷地内)みたいなところでギター持ちながら、チャカチャカ弾きながらサビを何度か歌っていたんです。

そしたら、

"~ルルル~~線香花火~
ひとりでもさ 綺麗なのが余計に切なくなる~"

って。
出た。なんか自分の口から良いの出てきてくれた。
少し身体がブルっとする寒さというか寂しさを感じる。

もう、ここのワード決まってくれたらなと困ってる時に、そこに当てはまってくれる時ってそう何度もないので、「逃さないようにしないと!」と、すぐにボイスメモに録音したのを覚えています。

でも去年もコロナ禍で花火なんて久しくしてないのに、なんでポッと出てきてくれたんだろうなあ。思えば歌詞ができる前、みんなで編曲してる時にベースのDaishiが「音が花火っぽいね」なんて言っていたから自分の中に引っ掛かってたのかな。

線香花火か。夏ドストレートじゃなくて良いかも。とすぐに思えたし、夏の終わりから夏を思い出す画が浮かんで、みんなにそれをすぐ話してアレンジも膨らんで。詩やタイトルに引っ張ってもらう時ってあるんだなぁと。

そして、出てきたワードをその時に歌っていた箇所(落ちサビ)にそのまま入れてあげて。デモに「線香花火」と、タイトルを付けました。

タイミングとそれを逃さないようにメモできるツールがあって良かった、、。それにしても、夏を表すワードが歌詞の中に“線香花火”のひと単語しかないのに、細かい季節や時期を思い浮かべられちゃうなんて不思議。それほど季語ってパワーを持っているんだね。

そんなこんなで思いがけず“夏の終わり”を彩る曲が出来たのでした~!

今回はこんな感じで。急にフレーズが出てきてくれたことで、その曲が一気に広がった曲たちの制作、作詞過程のお話でした!

それでは次回はラスト!
こりゃ全曲は書けそうにないや(笑)。

またね。

<the shes gone・兼丸>

◆紹介曲「ガールフレンド
作詞:兼丸
作曲:兼丸

◆紹介曲「線香花火
作詞:兼丸
作曲:兼丸

◆1st フルアルバム『SINCE』
2021年10月20日発売

<収録曲>
1.Make my day
2.ラベンダー
3.想いあい
4.ガールフレンド
5.春の中に
6.ふたりのうた
7.シーサイドテイル
8.線香花火
9.ディセンバーフール
10.Ask him.