シンプルに求めてきたこと。

 2022年8月3日に“藤田麻衣子”がDigital Single「シンプル」をリリースしました。デビュー以来、発表してきたすべての楽曲の作詞/作曲を手掛けてきた藤田麻衣子が、デビュー16年目にして初めて、提供された曲に詞をつけるという試みにチャレンジ。作曲編曲はインディーズ時代からの旧友・SUNNY BOY が担当。どこにでもいるカップルの普通の日常を、藤田麻衣子の視線で描いたハートフルかつ活挑戦的な1曲となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“藤田麻衣子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「シンプル」にまつわるお話です。みなさんは恋愛に求めるもの、望むもの、理想のふたりの姿はどんなものでしょうか。藤田麻衣子がずっと“シンプル”に求めてきたこととは…?



"好き"は薄れていくものじゃなく
積み重なっていくものだって
 
変わらない気持ちがあるんだと
わかったのは 君に出会ったから
 
 
新曲「シンプル」はそんなふうに始まる。
 
私の中では"好き"は薄れていくものだとずっと思ってきたんだなぁと、ふと思った。
 
求めるもの、望むものは人それぞれにあって、例えば愛されたいだとか、人を好きになりたいだとか、浮気されたくないだとか、ケンカしたくないだとか、いろいろあると思う。私も浮気されたくないはしつこくいつも言っていることだったりする。
 
けれど、恋愛するたびにずっと求め続けてきたことがあった。薄れていかない"好き"に出会いたかった。好きになるのはたいてい自分から、そして終わらせるのもたいてい自分からだった。もちろん好きなのにフラれて悲しくてどうしようもなかったこともあるけれど。いつか終わりがくることで、新しい恋に出会えるといういいこともあったけれど。やがて終わりがくることが年を重ねるにつれてどんどん悲しくなった。
 
好きになって、戸惑って、幸せを感じて、不安になって、少し時が経つと、「あれ?」と感じる。何かが変わった…? と。いつも認めたくなかったけれど、残酷に言えば恋する気持ちが冷めたのを感じる瞬間。やがて終わらせてきたということは、恋が愛に変わることはなかったということなのだろうか。
 
何年経っても仲良しで、いつも楽しそうな二人がいる。友人夫婦は今は子どももいるけれど、二人だけの時間も長かった。ずっと燃えあがっていたわけじゃないけれど、ずっと冷めない二人を見て、私はいつもうらやましかった。
 
彼女は、「彼は共感性と協力性があるんだよね。一緒にいるのに一番ありがたいものかもしれない」と言ったことがあった。彼はいつも気持ちに頷いてくれたり寄り添ってくれる。そして、協力してくれる。それはどんな甘い言葉より、うんと愛されてると実感できると思う。いつも感謝できればずっと好きでいられそう。感謝するしないは自分だけの問題ではなく、やはり感謝したくなる相手かどうかは大きい。
 
ずっと一緒に歩いていくなら、いつまでもはドキドキしていられないし、かといって"好き"とも思えない相手とずっと一緒にいるのは…。
 
やっぱり求めるものはシンプルに、薄れていかない"好き"だと思うのだった。そしてそれは恋に落ちること以上に、うんと難しい。

<藤田麻衣子>



◆紹介曲
配信シングル「シンプル
作詞:藤田麻衣子
作曲:SUNNY BOY
 
世界的にも活躍する“SUNNY BOY”が作った楽曲に、藤田麻衣子がタイトルの通り”シンプル“に好きな人への想いや感謝の気持ちを歌詞にしたラブソング。
 
配信はこちら!
https://jvcmusic.lnk.to/simple