2025年3月5日に“藤田麻衣子”がアルバム『片想い』をリリースしました。ピアノ弾き語りをメインとし、切ない歌詞と美しいメロディーで女性ファンを中心に絶大な支持を誇る才能溢れるアーティスト。今作には、昨年8月に配信リリースをし、すでに名曲と名高い「朝月夜」をはじめ、女性の心情を独特の視点で描いた全10曲が収録されております。
さて、今日のうたではそんな“藤田麻衣子”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 第1弾は収録曲「夢を叶える方法」にまつわるお話です。ずっと大きな夢がなかった自分が、音楽という道にたどり着くまでの軌跡は…。そしてこれからの夢は…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。
私は20歳になるまで、これといって夢はありませんでした。子どもの頃は美容師になりたかったけれど、美容師のおねえさんに、「大変だからやめたほうがいいよー」と言われたら、そうなんだ…と思って気が変わったり。結局は、歯科衛生士の専門学校に行き、免許もとりましたが、夢ではなく目標でした。
勉強したいこともないのに親に高い学費を払わせてまで大学に行きたいと思えずに(国立に行けるほどの学力はなかったので… )、“手に職を”と考えた時に、母親が県立の歯科衛生専門学校の出身だったこともあり、私も同じ道を行こうと思いついたのでした。
そんなふうに歯科衛生士の専門学校へ通い始めると、音楽好きな友達がいてイベントに一緒に出て歌ったり、私自身も学生最後の記念に趣味で声楽の習い事に通ってみたりもしました。そんな中、声楽の先生と、母がそれぞれに同じミュージカルのオーディションを勧めてくれて、夏休みの思い出に受けてみることにしました。
アンサンブルで合格して、歯科衛生士の専門学校に通いながら、ミュージカルの稽古場にも行き始めると、もっともっと音楽がやりたくなりました。楽しさも、悔しさも、いろんな事が今まで知らなかった感情のレベルで、心の整理ができずに初めて作詞作曲をしてみたところ、それが自分のはけ口になりました。
ミュージカルも国家試験も終えて、音楽をやるなら東京だ!と勢いのままに上京し、やがて“自分が作詞作曲した歌でオーケストラコンサートをしたい”という夢を見つけました。
歌手になるなんて、考えたこともありませんでした。でも子どもの頃からいつも歌っていました。10代の頃は一人で好きな歌をアカペラアレンジして録音していました。ディズニー映画やミュージカルにもハマって、いつもミュージカルの音楽を聴いていました。歌う場所が欲しいんだと、気がついたのは20歳になってからでした。遅いと思っていたけれど、今思えば全然遅くもなくて、あの時に自分が本当に欲しいものに気がついてよかったです。
夢がなければいけないとは全く思いません。夢がなかった時間も、私自身楽しかったし幸せだったし。でも夢ができるととても楽しくて、苦しくて、悔しくて、そのどれもが素晴らしい感情です。
“みんながやっているから”“誰かが言うから”そういう理由じゃなくて、本当に自分がいいと思えるもの、好きなもの、欲しいもの、やりたいこと、なりたい自分…、それを見つけられたら、幸せだなって思います。
オーケストラコンサートの夢は、上京から13年を経て2017年に叶えることができました。次の私の夢は、2026年の20周年にまたオーケストラコンサートをすることです。これからもやりたいことを言葉にして、実現させていこうと思います。
大きな夢じゃなくても、小さな憧れでも、間近な目標でもなんでも、「本当に欲しいものに手を伸ばそう」この歌が一番伝えたいメッセージです。
<藤田麻衣子>
◆フルアルバム『片想い』
2025年3月5日発売
<収録曲>
01.片想い
02.純白
03.振り向いて
04.夢を叶える方法
05.endless
06.朝月夜
07.新しい世界
08.防御して
09.darkness
10.SOS