2025年3月5日に“藤田麻衣子”がアルバム『片想い』をリリースしました。ピアノ弾き語りをメインとし、切ない歌詞と美しいメロディーで女性ファンを中心に絶大な支持を誇る才能溢れるアーティスト。今作には、昨年8月に配信リリースをし、すでに名曲と名高い「朝月夜」をはじめ、女性の心情を独特の視点で描いた全10曲が収録されております。
さて、今日のうたではそんな“藤田麻衣子”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 最終回は収録曲「SOS」にまつわるお話です。日々、胸が痛くなるニュースを目の当たりにしては、思うこと。そして、友だちから聞いた印象的な言葉とは…。今を生きるすべてのひとへ。この歌詞とエッセイが届きますように。
ニュースでは、新聞やテレビしかなかった頃は耳に入ってこなかったことまで、今は何でも流れてきて毎日のように胸が痛い見出しがあったりします。思ったり口で言ったりするだけなら簡単だけれど、胸を痛めたところで自分が誰かを救うことができるのかと考えると、たった一人でも誰かを救うなんてことは本当に大変なことだと思うのです。
それでも、その時そばに誰か話せる人はいなかったのだろうか、とか、綺麗事を思い浮かべてしまうのでした。誰かに話せたとしても根本的な解決は難しいのが現実かもしれないし、本当にただの綺麗事になってしまいますが、どんな関係でもいいから一人に対して一人、というか数人、愛して守って向き合ってくれる人が必ず居るような世の中だったらいいのに…みたいなことをふと思ってしまったり。そんなこと簡単に口にも出してはいけないことなような気もしています。今書いてしまいましたが。
そういう漠然としたことを感じる日があったり、もっと身近なことでは、何年か前に友達が言っていた言葉が心に残っています。「甘い言葉とか恋のドキドキとか、そりゃ時々は欲しくなる時もあるけど、一緒に生きていく時に一番ありがたいのは協力と共感なんだよね」と。
男と女は違う生き物だ、というところでは、女性は共感する生き物だけど、男性はなかなか難しいのかな? なんて思いながらも、協力と共感のある旦那さんを見つけたその彼女は、私から見て今もなんだかんだ言いながらも幸せそうで。あの若さの秘訣は「旦那さんの協力と共感にあり」だなと思っています。
日々の暮らしの中でパッとみれば元気そうに見えている人でも、家の中や、職場、学校などで過酷な時間を過ごしているかもしれません。幸せだったとしても忙しすぎたり疲労困憊だったり、日常って大変。
一人の人が苦しんでいる時、アンパンマンみたいにどこかからヒーローが飛んできてくれることはなかなかないから、誰もがそばにいる人同士で気づきあって笑顔が生まれたらいいなと、また綺麗事を浮かべてしまうのでした。
こんなに恋の歌ばかり書いて、いまだにときめきについて掘り下げたがっている私ですが、ふと現実に戻ると、身近な人たちの協力と共感に私自身も救われて、毎日を生きています。
<藤田麻衣子>
◆フルアルバム『片想い』
2025年3月5日発売
<収録曲>
01.片想い
02.純白
03.振り向いて
04.夢を叶える方法
05.endless
06.朝月夜
07.新しい世界
08.防御して
09.darkness
10.SOS