元恋人からの一通の手紙から始まった

 2023年1月25日に“moon drop”が2nd Full Album『僕の唄で君に永遠を』を配信リリースしました。さらに3月22日にはCDリリースすることも決定。結成から約9年間、まっすぐにラブソングだけを歌い続けてきた彼ら。今作も相も変わらずラブソングだけを詰め込んだ全11曲のアルバム作品となっております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“moon drop”の浜口飛雄也(Vo.)による歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の入り口を飾る収録曲「愛の縫目」にまつわるお話です。別々の道を歩くことにしたふたり。別れて少し月日が経ったあるとき、届いた手紙に書いてあった言葉は…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



広くなった部屋
広くなった玄関
見合わない食器の数
知らない調味料の場所
唯一増えたものといえば
手持ちの合鍵の数くらい
 
少し前のはなし
恋に出会った僕ら二人
途中で立ち寄るコンビニ
酔っ払った帰り道
不機嫌になって出ていった時も
一日の最後は同じ場所へ帰る
思い返してみれば
そんな奇跡みたいなことの繰り返しだった
 
いつからすれ違ったのかなんて
いつから掛け違えてたのかなんて
分からないし、分かりたくもないけど
少しずつ、少しずつほつれていることに
二人ともとっくに気付いてたのかもね
愛を旅する二人にはなれなかったみたい
 
最後にあの部屋を出る時に振り向かなかったのは
きっと君の優しさなんだろう
知らないふりをして
分かりきったように
寄り添うように
僕らは別々の道を歩くことにした
 
少し時間が経って
貯まる郵便物に目をやると
君からの手紙が
 
出掛けた時のテーブルの上
たまにのお弁当の中
月に一回の二人がくっついた日
生活のふとした瞬間のあの手紙と同じ
相変わらずな文字だった
思い返すように
巻き戻すように
その文字を目で追った
 
手紙の最後に書かれてた言葉
 
 
 
「いつか大きくなって私を見返してね」
 
 
 
君に言われなくたって
いつかでっかくなって君のこと見返すから
ずっとみててね
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - -
 
 
愛の縫目は一体 どこにあるんだろう
知ってさえいればずっと
ほつれることは無いんだろうけど
縫い合わせることも無くなるだろう
最後に部屋を出る時
振り向かなかったのは
君の優しさなんだろう
玄関先に届いてた手紙は
相も変わらずな文字だった
 
恋に出会って 愛を旅する
そんな二人になれなかったけど
 
例えば生まれ変わっても君を探すよ
例えば僕のことを待っていなくたって
例えば他の誰かと結ばれてたって
今すぐに真っ直ぐに君の元をめがけて
迎えに行く
 
僕の瞳に今も棲みつく
君の欠片は僕を覚えてる
 
いつか大きくなって見返してよ、なんて
最後に書かれてた文字が僕を指差す
さよならが追いつけないスピードで走るよ
今更そんなこと君に言われなくたって
 
例えば君が居なくたって生きていけるよ
だけどそれじゃ生きた心地がしないんだよ
記憶はいつも曖昧で頼りないけど
今ここにある 肌の温もりを
誰よりも信じている

<moon drop・浜口飛雄也>



◆紹介曲「愛の縫目
作詞:浜口飛雄也
作曲:浜口飛雄也・坂知哉

◆2nd Full Album『僕の唄で君に永遠を』
2023年1月25日 Digital Release
2023年3月22日 CD Relaese
 
<収録曲>
1. 愛の縫目 
2. ボーイズアンドガールズ 
3. オールドルーキー 
4. 君とiらんど。 
5. 足りない
6. ふたりぐらし 
7. kiiteruno? 
8. ex. ボーイフレンド 
9. 花 
10. タイムマシン 
11. アダムとイブ

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