栞にあの子の名前をつけよう。

 2023年7月26日に“reGretGirl”がDigital Single「ページワン」をリリースしました。「ページワン」はreGretGirlの約6ヶ月ぶりとなる新曲で、「告白」がキーワードになったリズミカルで軽快なギターロックナンバー。今後のライブでも楽しめるような曲に仕上がっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“reGretGirl”の平部雅洋による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「ページワン」にまつわるお話です。十三になったばかりの少年の、一世一代の告白の結末は…。また今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。


平部雅洋の朗読を聞く

この度、我々reGretGirlは7月26日に「ページワン」をデジタルリリースさせていただきました。それに伴い、この今日のうたコラムでページワンに纏わる文章を掲載させていただきます。是非ご一読ください。
 
 
 
それはもう風の如く自転車を漕いで帰った。
 
「え、一緒にプリクラ撮ったやん」「え、誕生日にプレゼントくれたやん」様々な思いが脳内を駆け巡り、通学ヘルメットを前カゴに突っ込み逃げるようにその場を立ち去った。
まさに一世一代。まだ十三になったばかりの少年は、己の人生で初めて愛を人に打ち明けたのだ。
 
 
あの子のことを考えると何も手につかなかった。教室の前ですれ違い、目が合うと微笑みかけてくれた。部活の先輩の愚痴を話し、家に帰ってもメールで他愛ないことをずっと話していた。あの子の家の方向にわざと遠回りして帰ったりもした。勉強も部活もそっちのけで、募らせた想いで今にも胸が張り裂けそうだった。
 
だからほとんど勢いで告白をした。
 
「まだ付き合うとかよくわからないから付き合えない、もう少し待っててほしい」
 
思春期真っ只中。周りの見えていない少年は、恋人になれるものだと思い込んでいたので、突然梯子を外され今にも泣き出しそうだった。「ここで泣いたら超カッコ悪い。余計嫌われる」と幼いプライドでグッと堪え、「そうかぁ、じゃあずっと待ってるわ!」とヘラヘラしながら答える事で精一杯だった。
 
募りに募らせた想いは、口に出して伝えてしまうと呆気なく、一世一代の恋は有耶無耶になったまま終わってしまった。
 
 
今だに僕の心のページには栞が挟まっている。その理由は、今になってもわからない。大人になっても色褪せず、むしろ色鮮やかになってゆくこの初恋のページを、事あるごとになぞり返し思い出す。
 
栞にあの子の名前をつけよう。
 
この物語は十数年の時を経て、再び読み進める事になるかもしれない。
 
いや、これはまた別の話だ。
 
<reGretGirl・平部雅洋>



◆紹介曲「ページワン
作詞:平部雅洋
作曲:平部雅洋